半導体産業の人材難が続く中にあっても、増大するチップ需要に対応するため、欧米を中心に多くの大手チップメーカーが新工場を建設しています。
5月1日に英国ウェールズ南部のスウォンジー大学ベイキャンパス大ホールで開催されるSEMI Talent Forumに先立ち、スウォンジー大学統合半導体材料センター(CISM)の化学部長兼教育主任であるOwen・J・Guy教授に、マイクロエレクトロニクス業界における優秀な人材確保にむけた課題とSEMIのフォーラムの重要性について話をお聞きしました。
Guy教授は、サウス・ウェールズ・クラスターにおける半導体産業とそこでのキャリアチャンスについての見解を述べられました。
SEMI:半導体産業で学生を最もワクワクさせるものは何でしょうか?
Guy教授:最新の半導体材料やデバイスを研究し、学生に半導体について教えてきた経験から、学生はマイクロエレクトロニクスの実践的な側面を非常に高く評価していることがわかりました。英国有数の半導体ファブである当校のCISMのような環境は、半導体について学び、斬新なデバイスを製造するのに理想的な場所です。また、半導体デバイスがスマートフォンから電気自動車まであらゆるものに不可欠であり、クラウド・コンピューティングやAIを動かすハードウェアを提供していることも、学生を刺激しています。
SEMI:半導体業界は現在、欧州だけで10万人以上の新規雇用を求めていますが、達成はおぼつきません。新たな人材を確保する上で、業界最大の課題は何でしょうか?
Guy教授:最大の問題の一つは認知度です。半導体という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれませんが、南ウェールズに重要な半導体産業があることを知っている人はほとんどいません。実際には、ウェールズはあらゆるスマートフォンに技術を提供しています。
半導体産業がいかに学際的であるかを、軽視している人が見受けられます。物理学、化学、工学だけでなく、コンピューターサイエンス、数学、ビジネス、マーケティング、金融など、さまざまな学歴を持つ人材に、英国だけではなく世界で半導体のチャンスが広がっているのです。
SEMI:この課題を克服するために、業界や教育センターは何ができるでしょうか?
Guy教授:若いうちから教育と刺激を与え、半導体デバイスがどのように作られるかを示し、その応用に目を向けさせることができるかが課題です。学生が引き付けられる職業分野のひとつに医療がありますが、そこでも半導体が重要な実現技術として貢献しています。さらに、教育機関と業界関係者のパートナーシップを育むことも不可欠です。
このような協力関係を通じて、CISMのような施設で実践的なコースを開催し、一流のトレーニングを提供することが可能となり、そこで学生は実地体験や実際のアプリケーションに触れられるのです。教育センターと産業界とのこのような結びつきを確立し、維持することは、専門家を目指す学生のスキルセットを向上させるだけでなく、半導体産業への人材のシームレスな流入を促進し、この分野に一流の人材を確保することにつながるのです。
SEMI Talent Forum 2024会場のスウォンジー大学グレートホール
SEMI:なぜ産学連携が重要なのでしょうか?
Guy教授:産学連携は、大学の研究が最新技術や将来のトレンドと高い関連性を保つために不可欠です。例えば、CISMの同僚のMike Jennings教授は、最新のパワーデバイス技術の開発において、Vishay Semiconductorと緊密に協力しています。また、KLAとのパートナーシップもその一例で、同社の社員はスウォンジー大学で博士号取得に向けて、実際の商業用途につながる最先端技術の開発に取り組んでいます。
SEMI Talent Forumがスウォンジー大学で開催される理由のひとつは、半導体業界との強いつながりにあるのです。
SEMI:SEMI Talent Forumは、どのような点で学界と産業界の橋渡しに貢献しているでしょうか。
Guy教授:SEMI Talent Forumは、学生に直接関わる機会を与えることで、学術界と産業界のギャップを埋める重要な役割を果たしています。参加する学生は、世界有数の半導体企業における最新技術の進歩について見識を深めるだけでなく、イベント期間中に業界のシニアリーダーと直接交流する機会も得られます。
今年は、16歳から18歳の学生から修士・博士課程の学生まで、さまざまなレベルの学生に機会を提供するという当校のコミットもあり、参加者が増えました。さらに、多様な専攻分野の学生を招待しており、業界が学生に幅広い選択肢を提供していることが実証されることになりました。
SEMI Talent Forum 2019の参加者
SEMI:SEMI Talent Forumへの参加を検討している学生にアドバイスをお願いします。
Guy教授:チャンスをつかむことです。スウォンジー大学の業界パートナーは採用に積極的であり、学生との交流を熱望しています。事前に企業の背景を調べておくと、より適切な質問ができます。熱意を持って議論に臨み、半導体について学ぶ姿勢を保ちましょう!
Owen Guy教授について
Owen・J・Guy教授は、スウォンジー大学の統合半導体材料センター(CISM)化学部長兼教育リーダーです。専門は半導体材料で、特にバイオセンサーやマイクロニードルMEMSデバイスなどのヘルスケア技術に精通しています。クリーンルームでのデバイス製造に20年以上携わり、癌バイオマーカー検出用エピタキシャルグラフェンバイオセンサーのパイオニアです。Guy教授は30人以上の博士課程および修士課程の学生を指導し、産業界と幅広く協力をしています。
Maria Daniela Perezは、SEMI Europeのコミュニケーション・マネージャーです。