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Inna Skvortsova

新型コロナウイルスのパンデミックが広がった時、産業界ばかりでなく世界経済全体が急ブレーキを踏みました。サプライチェーンのロジスティックス混乱や政府による規制といったさまざまな不確実性や困難に見舞われた企業は、緊急の感染リスク対策やビジネスモデルの変更を強いられました。このような状況下においては、持続的成長の見込みは疑わしいと考えられました。しかし、パンデミックによる意外な副作用として世界経済のデジタル化が加速したことで構造転換が進み、すでに成熟していた半導体産業を過去最高へ押し上げたのです。 新型コロナウイルス、地政学的緊張、サプライチェーンの制約がもたらしたあらゆる波乱にもかかわらず、2021年は半導体業界全体にとって2年連続の記録的成長の年となりました。現代デジタル経済を支える多種多様な半導体デバイスからのシリコン需要は依然として旺盛で、2021年のシリコン出荷面積は過去最高を記録しました。半導体材料市場も、2020年の最高値を更新しています。世界的な産業のデジタル化進行による半導体の長期的需要が、この目覚ましい成長を導いたのです。 SEMIの半導体製造装置市場統計レポート年間購読(EMDS)のデータを見ると、2021年の装置業界はアクセルを強く踏んでいたことが分かります。需要に対応する生産能力増強は、前工程/後工程の両装置分野の販売額を押し上げました。半導体製造装置の世界市場は44%もの成長を記録し、2020年の過去最高記録を更新する1020億ドルに到達したのです。装置市場の成長をけん引したのは、先端ロジックとファウンドリの生産能力拡張、DRAMの投資回復、そしてNANDの堅調な投資です。2021年の装置投資は全ての地域で旺盛となり、はじめて中国、韓国、台湾の上位3地域の装置年間投資額が揃って200億ドルを超過しました。 装置のトータル市場の86%を占める前工程(ウェーハファブ)装置は43%の成長を遂げました。前工程装置への投資拡大は、ファウンドリ/ロジック分野と、力強い回復を見せたメモリー分野がけん引したものです。ファウンドリ/ロジック分野の投資は前工程装置の投資全体の半分以上を占めており、2021年は前年比50%の増加をしました。同時に、メモリー分野のNANDおよびDRAM製造装置も旺盛な需要を示し、DRAMは2021年に前年比52%という最高の伸長率となり、NANDも24%増となりました。 一方、後工程装置は、組立及びパッケージングとテスト装置の両分野とも過去最高額となりました。2020年に34%成長した組立及びパッケージング装置は、2021年にさらに前年比87%増の70億ドルとなりました。組立及びパッケージング装置に対する需要は主にフリップチップやウェーハ・レベル・パッケージング等のアドバンストパッケージング技術、そしてワイヤーボンディングの生産能力拡大によるものです。テスト装置は2020年に20%の増加を記録した後、2021年は前年比30%増の78億ドルに達しました。テスト装置の長期需要は安定して5G、自動車、IoT、高速メモリーがけん引しています。これに加えて、チップの複雑化とチップレット構造の採用拡大が成長を急速に押し上げています。 以上の結果、産業構造はより高い資本集約度と著しい成長へシフトしており、これを制限しているのはサプライチェーンの需要への対応、生産能力拡大ペースへの追随の能力となっています。半導体売上高に対する設備投資水準は、2020年の16.2%から2021年には18.5%まで上昇しています。 経済のデジタル化によって、半導体産業は資本集約度と設備投資規模という点で新たな高みへ向かっていますが、その進路には上下動もあるでしょう。パンデミックが始まって以来、半導体産業は、労働力、材料、部品の不足や、物流の遅延、生産能力の不足といった様々な困難に見舞われてきました。こうした困難にサプライチェーンが制約を受け、半導体デバイスを製造するために必要な装置の納期が長期化しています。さらに地政学的緊張と政治的輸出規制が障害に加わって、サプライチェーンや法規制の不透明感を強める恐れがあります。しかし、サプライチェーンネットワークの根本的な再構築には、それが政治的なものでも市場原理によるものでも、数カ月ではなく数年を要するでしょう。 最近の半導体業界はアクセルを踏み込んだり道の穴を迂回したりしながら進んでいますが、まだ成長のガソリンは残っているかが当然の疑問となります。しかし、枯渇の心配は当面ありません。2022年の半導体製造装置市場は、10~12%の堅調な成長見通しがコンセンサスとなっており、SEMIの市場予測においても、先端技術への投資とメモリー分野の旺盛な装置支出に支えられた市場は1140億ドルに達する見込みです。歴史的に見ると、複数年にわたる連続成長は容易ではなく、連続成長の後には、増加した生産能力を消化し、需給バランスを整えるために投資が抑制されるのが通常です。しかし、今日の環境では、デジタルトランスフォーメーションに関連する様々な新技術の台頭により、市場がさらなる成長の道をたどる可能性があり、指標は業界の長期的な拡大路線を指し示しています。 半導体製造装置市場の地域別、装置カテゴリー別のトレンドの詳細については、SEMIの半導体製造装置市場統計レポート年間購読(EMDS)他のレポートをご参照ください。SEMIの市場データ製品についてはこちらをご覧ください。 Inna SkvortsovaはSEMI市場情報チームの市場アナリストです。
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2020年は人類の歴史に残る年となりましたが、半導体にとってもそうでした。COVID-19によって企業も個人も混乱し、サプライチェーンが分断し、そして各産業がパンデミックによって課せられたニューノーマルへの即応に追われた年でした。それにもかかわらず、半導体製造材料を含めた半導体業界にとっては、驚異的な成長の年となりました。 ここ数年の半導体材料世界市場は継続成長を記録しており、2018年以降の年間市場規模は500億ドルを超過しています。この市場成長はチップ出荷量の増加だけではなく、ウェーハプロセスとパッケージングの両分野における先進プロセスからの要求が背景にあります。2020年の半導体材料世界市場は、前年比5%増の553億ドルに到達し、過去最高記録を更新しました。成長の勢いは、長引くパンデミックをよそに、2021年も衰えないことが予測されています。 増加傾向が続く主たる要因は、世界経済のデジタル化の進展、5G技術の導入、データセンターやクラウドサービスへの旺盛な投資にあります。微細ノードIC、3Dメモリー構造、ヘテロジニアスインテグレーションの製造では製造工程が増え、その結果、ウェーハプロセスおよびパッケージングの材料消費量も増加します。 2020年には、ウェーハプロセス材料の売上高が6.5%上昇し、349億ドルとなりました。中でも成長率が高かったのは、フォトレジストおよびその関連材料、ウェットケミカル、CMP(スラリー及びパッド)でした。 フォトレジストのカテゴリーでは、2020年に22%の伸びを示した先進フォトレジストが最大のシェアを占めました。微細化の弛まぬ探求により先進的リソグラフィー技術の必要性を高まり、そのため、クリティカルレイヤーに対するEUVやマルチパターニングの使用が拡大し、193nmおよび13.5nmのフォトレジストの消費量が増加しました。特にEUVは、最先端のロジックデバイスの量産への導入が急速に進んでおり、2020年末までに85台以上の装置が設置・稼働をしています。 CMPとウェットケミカルは、製造工程の増加に伴う消費量の増加に加え、最先端デバイスの製造に対応した先進的な配合成分のCMPのコスト増が、CMPおよびウェットケミカル市場の拡大に寄与しています。2020年にはCMPが15%、ウェットケミカルが17%の成長率を記録しました。 2020年のウェーハプロセス材料は、スパッタリングターゲットとシリコンを除き、全体として記録的な売り上げとなりました。シリコンウェーハ市場は過去よりサイクル変動があり、通常、需給バランスに敏感に反応します。2020年のシリコンウェーハの出荷量は前年比で5%上昇しましたが、2020年の前半に価格が軟調であったため、売上高は横ばいとなりました。300mmエピウェーハに対する旺盛な需要や、200mmおよび300mmポリッシュトウェーハの成長回復により、2021年のシリコンウェーハ市場は、大きく反発するでしょう。 2020年のパッケージング材料市場は、前年比2.3%増の204億ドルとなりました。材料種別では、有機基板が依然として最大のパッケージング材料分野となります。基板市場の堅調を支えているのは、高性能コンピューティングや5Gの導入です。しかし、現在のタイトな供給状況は、様々なアプリケーションの成長の可能性にマイナス影響を与える可能性があります。 ワイヤボンディング材料は、家電、ラップトップPC等の在宅勤務や在宅学習関連のアプリケーションの後押しにより、2020年に需要が回復しました。OSAT(半導体後工程請負企業)はこうした需要に対応しようとワイヤボンディングの生産能力を増強しており、今後のワイヤボンディング材料の成長を支えることになるでしょう。2020年のリードフレーム市場は前年から横ばいとなりました。これは車載分野を筆頭としたパンデミックによる混乱による前半の不調によるものです。2020年末からの急激な回復に力を得て、車載分野は2021年のリードフレーム市場拡大をけん引するでしょう。その他のセラミックパッケージや封止材等のパッケージング材料も、やはり2020年は低調でしたが、2021年は上昇するでしょう。 地域的には、台湾が10年以上にわたって世界最大の半導体材料消費地となっています。中国は積極的に生産能力を増強した結果、2020年は世界第2位の材料市場となりました。韓国は第3位となりました。台湾の大規模なファウンドリ生産能力と先進パッケージング基盤、中国の大規模な政府投資、韓国の強力なメモリー生産力を考慮すると、各地域とも今後数年間は同様の傾向が予想されます。最近の貿易および地政学上の緊張や輸出規制は、サプライチェーンや法規制の不確実性を助長する可能性がありますが、ハイテク分野は全体的に堅調で長期的な成長が見込まれており、半導体材料への大きな投資に結びつくと考えられます。 いずれにしても、新型コロナウイルスのパンデミックは、多くの企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、それが半導体の消費を劇的に増加させた結果、半導体製造のエコシステム全体に利益をもたらしています。地政学的な貿易摩擦やマクロ経済全体の不確実性を念頭に置きながらも、2020年の半導体材料市場は好調であり、パンデミック後のニューノーマルに適応していく中で、今後も健全な成長が期待されます。 半導体材料の、地域別、分野別の詳細な市場トレンドについては、SEMIの半導体材料市場統計レポート年間購読(MMDS)をご参照ください。 イナ・スクヴォルツォヴァは、SEMIの市場調査統計部門の市場アナリストです。
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