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9月 25, 2026
9月 25, 2026

半導体サプライチェーンにおける真正性を再考する OBSIDIA Semiconductorsへのインタビュー

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偽造半導体市場の規模は数十億ドルに達すると推定されています。しかし、半導体ハードウェアセキュリティ技術を開発する米国スタートアップのOBSIDIA Semiconductorsが実施した顧客ヒアリングによれば、その実際の損失額は年間1,000億ドルを超える可能性があります。ファウンドリーが偽造品によって売上の5%以上を失うケースから、下流工程で発生する故障による企業の信用失墜や事業損失、さらには人命に関わる事故まで、その影響は広範囲に及んでいます。

半導体デバイスは、AI、重要インフラ、車載電子システム、国家安全保障などを支える中核技術となっており、そのハードウェアの信頼性が戦略的課題として浮上しています。業界では材料追跡やサプライチェーン管理、サイバーセキュリティ対策の強化が進んでいるものの、「デバイスが真正品であることをどのように証明するのか」「どこで製造されたものなのかをどう確認するのか」「そもそも本当に信頼できるのか」といった課題は依然として残されています。

こうした課題を探るため、SEMIのMayura PadmanabhanとNishita Raoは、OBSIDIA Semiconductorsの創業者兼CEOであるErik Hosler氏にインタビューを行いました。対談では、偽造電子部品、トレーサビリティ、信頼できるハードウェア、AIインフラ、そして半導体エコシステムの安全性向上に向けた業界連携の重要性について議論しています。

 

OBSIDIAについてあまりご存じでない読者のために、貴社が解決しようとしている課題について教えてください。

Hosler氏は、OBSIDIAの使命を多くの技術者に理解しやすい例えで説明しました。「OBSIDIAは半導体業界向けに、ハードウェアレベルのセキュリティを提供することに取り組んでいます。ソフトウェアにおけるアンチウイルスのような存在と考えていただくと分かりやすいでしょう。」

ソフトウェアの世界では、システムの検証や保護を行うツールが長年活用されています。しかし同氏は、ハードウェアに対する同等の仕組みについて次のように指摘します。「半導体エコシステムには、大規模に利用できるハードウェアセキュリティの仕組みがほとんどありません。私たちが日常的に依存している半導体デバイスが、真正品であり仕様どおりであることを保証する手段が不足しているのです。」

OBSIDIAは、このギャップを埋めることを目指しています。同社はデバイスの物理的特性を分析することで、半導体ライフサイクルのさまざまな段階で真正性を検証します。「当社の技術により、ウェハーレベルから最終アプリケーションに至るまで、サプライチェーン内のあらゆる統合レベルにおいて、デバイスの完全性と品質を検証することが可能になります。」

同社の技術は、DARPA(米国防高等研究計画局)のSBIRフェーズIIプログラムのほか、MITREやKostas Research Institute for Homeland Securityとのプロジェクトでも実証されています。

 

なぜ今、半導体の真正性がこれほど重要視されているのでしょうか。

Hosler氏によれば、半導体の真正性はもはや一部の業界に限られた問題ではありません。社会全体の電子機器への依存が高まるにつれ、偽造品や非適合品がもたらす影響は拡大し続けています。「過去数年間、多くの調査で、こうしたデバイスが実際にどれほど市場やサプライチェーンに入り込んでいるかが分析されています。米国国防総省のような極めて厳格な環境でさえ、電子機器の10〜15%に偽造部品が含まれているというデータがあります。非常に憂慮すべき数字です。」

同氏はさらに次のように続けます。「今この瞬間も、あなたの手の届く範囲にある電子機器のどこかに、偽造部品が使われている可能性は十分にあります。」

興味深いことに、同氏は偽造品問題を高度な攻撃や巧妙な工作として捉えているわけではありません。「これは特定の標的を狙ったものではありません。隙を突く機会犯罪なのです。」

同氏は、サプライチェーンの混乱による部品不足が、非適合品の流入を招く典型例だと指摘します。「偽造品はトラックの荷台から売られる怪しい部品だけではありません。サプライチェーンのさまざまな場所に紛れ込み、一見するとランダムに現れるのです。」

 

SEMI Traceability Phase Zero Projectでは、原産地情報、真正性、ライフサイクル可視化、サプライチェーン保証への懸念を重視していますが、半導体業界が現在直面する最大のトレーサビリティ上の課題は何だとお考えですか。

トレーサビリティについて語る中で、Hosler氏は、その課題は高価な半導体を追跡するだけでは解決できないと指摘しました。「例えば3万ドルのNVIDIA製GPUがあるとします。こうした高価な製品をサプライチェーンの中で追跡することは、自動車を追跡管理するのと同じくらい重要です。誰もが、その資産がどこにあるのかを常に把握しておきたいと考えるでしょう。」

しかし、真の課題はその後にあります。現代の電子機器は数百もの部品で構成されており、高性能プロセッサが厳密に追跡・検証されていても、わずかな補助部品が大きなリスクをもたらす可能性があります。「この考え方が崩れるのは統合プロセスです。プリント基板上の5セントの部品が偽造品だった場合、その基板全体の機能や信頼性が損なわれ、結果として3万ドルのGPUにも影響が及びます。」

そして同氏は、この対談を象徴する次の言葉でその問題を表現しました。「3万ドルのGPUが、5セントの部品によって機能を損なわれる可能性があるのです。」

同氏にとって、本当の意味でのトレーサビリティは主力チップだけで完結するものではありません。個々の部品から実装基板、さらにはシステム全体にまで及ぶものでなければならないのです。

 

OBSIDIAは最近、米国CHIPS法に基づくコンピューティング・サプライチェーン研究開発のLOI(意向表明書)に署名した7社の1社に選ばれました。この選定は、半導体エコシステムにおいてハードウェアの信頼性とセキュリティの重要性が高まっていることをどのように示しているとお考えですか。

Hosler氏は、今回の選定は業界がハードウェアの信頼性にこれまで以上の関心を寄せていることの表れだと考えています。「CHIPS法の研究開発資金によって、当社の技術の商業化を加速することができます。現在すでに商用サイトでシステムを稼働させています。顧客とともにデータを収集し、その結果を顧客やサプライヤーへフィードバックしています。」

また同氏は、現在業界で一般的な検査方法にも課題があると指摘しました。「1,000個のデバイスを受け取った場合、通常は3個程度を第三者試験機関に送って検証します。そして残り997個も本物だと仮定しているのです。」OBSIDIAはサンプリング検査からの脱却を目指しています。「当社の技術なら、受け取ったすべてのデバイスを測定できるのです。」

サンプルベースの検証から脱却することで、企業は製造プロセスに投入されるすべての部品に対する信頼性の確認精度を高めることができます。
 

多くの企業はすでに認証、追跡(トラッキング)、セキュリティの技術を導入しています。半導体ライフサイクル全域にわたる真のエンドツーエンド・トレーサビリティを実現するうえで、何が不足しているでしょうか。

トレーサビリティを巡る議論では、情報共有と知的財産保護の両立が常に課題となります。Hosler氏も、企業が製造ノウハウやプロセスデータ、歩留まり情報を慎重に扱うのは当然だと認めています。OBSIDIAは、この現実を変えるのではなく、それを前提に技術を設計しています。「私たちは、自社技術をいかにIPやデータに依存しないものにできるかを考えました」と述べましたが、その考えを象徴するのが「当社は何も知らない会社です」という印象的な言葉です。

同氏同は、顧客は既存の業務フロー、プロセス、管理体制を維持したまま、機密情報を開示することなく利用できると説明しました。「現在運用している体制やルール、手続きをそのまま維持することができます。当社はそれに付加される存在であり、お客様が何をしているのかを知る必要もありません。」

OBSIDIAは、画像データの解析や設計情報の取得ではなく、分光測定に基づくアプローチを採用しています。これにより、顧客の機密情報や知的財産を開示させることなく、デバイスの真正性や品質に対する信頼性を高める仕組みを目指しています。

 

AIシステムが商業分野や国家安全保障分野でますます重要になる中、基盤となるハードウェアへの信頼は、AIそのものへの信頼にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

今回のインタビューでは、AIインフラや先進コンピューティングシステムへの大規模投資を背景に、AIが繰り返し話題に上りました。Hosler氏は「AIインフラの構築は、製造業の観点から見て、ここ数十年における米国最大級のプロジェクトです」と述べました。

同氏は、「AIは、飛行機や自動車をはじめ、私たちが日常的に利用するシステムにおいて稼働するようになる」と述べ、それゆえこの拡大を半導体業界にとって大きな機会であると同時に、大きな責任でもあると捉えています。

AIが交通システム、産業オートメーション、重要インフラ、さらにはコンシューマ製品にまで組み込まれていくにつれ、それを支えるハードウェアの信頼性はこれまで以上に重要になります。Hosler氏は、その状況をサイバーセキュリティの歩みになぞらえて「サイバーセキュリティ分野で見られたように、重大インシデントを後になって業界全体の大きな失敗だったと振り返るような事態は避けたいのです」と説明しました。そして「ハードウェアセキュリティにおいても、同じような重大インシデントが起こる可能性はあります」と、警鐘を鳴らしました。

 

今後3年間で最も大きな進展が期待できる分野はどこでしょうか。また、SEMIはその進展をどのように支援できるのでしょうか。

課題はあるにせよ、Hosler氏は「最も大きな進展は、この問題そのものに対する認識が広がっていることです」と述べ、業界の将来について楽観的な見方を示しました。

同氏は、政府、業界、技術プロバイダー間における、ハードウェアの信頼性やインフラ保証への関心の高まりこそ、その証左だとしています。「これは業界全体が結集し、AI分野だけでなく社会インフラ全体を対象とした解決策を提供する大きな機会です。」

また、標準化団体の役割も重要だと指摘します。「SEMIは理想的な場です。必要なパートナー、最終顧客、そして関係者がすでに集まっているからです。」

同氏は、SEMIが実施したTraceability Phase Zero Projectについても重要な第一歩だったと評価しています。「このプロジェクトは、課題と潜在的な機会を把握するうえで非常に有意義な第一歩でした。次の段階では、寄せられた意見を集約し、解決策について業界全体で方向性を共有するPhase Oneが求められます。」

さらに今後注目すべき動向として、チップレットおよびマルチベンダーによる先端パッケージングへの移行が加速している点を挙げました。現在では、一つの完成パッケージの中に複数のサプライヤーが提供したダイが組み込まれ、それを第三者がパッケージングするケースが増えています。こうしたサプライチェーン構造の変化から、新たな原産地情報や真正性に関する課題が発生しています。

 

結び

対談の最後に、Hosler氏は品質、信頼性、サプライチェーンセキュリティに取り組む企業に向け、「疑う姿勢をもちましょう」という、シンプルながら強いメッセージを送りました。

同氏は、文書や前提条件だけを信じるのではなく、工場の現場で実際に何が起きているのかをより深く理解する必要があると強調します。「外から見る限り問題なく見えても、工場の現場で起きていることはまったく別の現実かもしれません」。さらに、「すべてが順調だと決めつけてはいけません。もう一段深く掘り下げて確認してください」と述べました。

半導体サプライチェーンがますます複雑化し、AIシステムが社会のあらゆる場面に浸透していく中で、信頼はもはや書類やコンプライアンス、あるいはプロセス管理だけで担保できるものではありません。Hosler氏が対談を通じて繰り返し強調したように、現代のテクノロジーへの信頼は、最終的にはその基盤となるハードウェアへの信頼から始まるのです。

 

Erik Hosler氏について

Erik Hosler氏は、OBSIDIA Semiconductorsの創業者です。同社は、高周波(RF)ベースの先進的なデバイス検証技術を活用し、半導体の真正性確保、ハードウェアの信頼性向上、およびサプライチェーンセキュリティの強化に取り組んでいます。OBSIDIAの使命は、電子機器のライフサイクル全体を通じて、半導体デバイスを非破壊かつスケーラブルに検証できる仕組みを実現することです。

 

著者紹介

Mayura Padmanabhanは、SEMIのテクニカルプロジェクトマネージャーです。業界標準化活動や共同プロジェクトを通じて、半導体のサイバーセキュリティ、トレーサビリティ、およびサプライチェーンレジリエンスの向上に取り組んでいます。

Nishita Raoは、SEMIのプロダクトマーケティングディレクターです。半導体バリューチェーン全体における業界エンゲージメント、ソートリーダーシップの発信、および認知向上を目的としたグローバルマーケティング活動を統括しています。