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11月 4, 2026
11月 4, 2026

シリコンフォトニクスを量産規模でテストする

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人工知能(AI)や高性能コンピューティング(HPC)の普及により、データ移動に対する需要がかつてない規模で拡大しています。帯域幅への要求が高まる一方で、従来の電気インターコネクトは消費電力、レイテンシ、伝送距離の面で限界に直面しています。こうした中、シリコンフォトニクス、ニアパッケージドオプティクス(NPO)、コパッケージドオプティクス(CPO)は、次世代データセンターを支える重要技術として存在感を高めています。

業界の注目はこれまで主に光デバイスの技術革新に集まってきました。しかし、高性能な光集積回路(PIC)の実証は、この課題の一部に過ぎません。PICを、信頼性と経済性を両立しながら大量生産できる製品へと発展させるには、それに対応できるテストインフラが不可欠です。

これは半導体業界にとって大きな転換点でもあります。半導体製造では、何十年にもわたり自動化された電気的テスト技術が磨き上げられてきました。一方、シリコンフォトニクスでは光という新たな要素が加わるため、ファイバーアライメント、結合効率、偏波制御、光学計測といった新たな要件が生じます。その一方で、従来の電気的特性評価も引き続き必要です。

シリコンフォトニクスが研究開発段階から量産段階へ移行する中、テストは単なる品質保証工程ではなく、製造戦略そのものを構成する重要な要素になっています。


量産に対応したテストソリューションには、ハードウェアとソフトウェアの包括的な整備が必要。

 

被試験デバイス(DUT)との信頼性が高い光接続の確立が、最も根本的な課題のひとつとなります。電気プロービングでは物理的な接触によって比較的容易にインターフェースを構築できますが、光学テストの場合は、極めて微細な構造へ正確に光を入出力する必要があります。

この光結合には、デバイス間およびウェーハ間での再現性が求められます。ファイバーの位置や角度がわずかに変化するだけでも挿入損失や測定結果に影響を与え、ばらつきがデバイス固有のものか、テスト環境に起因するのかの区別が難しくなる可能性があります。

このため、量産環境におけるテストでは、光学インターフェースを迅速に位置決めし、光結合を最適化する自動アライメント機能が求められます。具体的には、画像認識やビジョンシステムによってファイバーアレイユニットをグレーティングカプラ近傍へ配置し、それに続くエリアスキャンと勾配探索のフィードバック制御によって最適位置を特定します。一般にこの手法は「アクティブアライメント」と呼ばれています。また、結合効率を最大化し、チャネル間のばらつきを最小限に抑えるために、X、Y、Z軸の位置決めと3つの回転軸という6自由度にわたる最適化が必要となる場合もあります。

光インターフェースのチャネル数が増えると問題はさらに複雑になります。単一チャネルの性能を最大化するアライメントでは不十分で、複数チャネル全体で均一な結合を実現しなければなりません。例えば回転方向の調整は、光ビームと複数のグレーティングカプラとの重なり具合に影響を与えます。また他の角度調整は、挿入損失だけでなく中心波長にも影響を及ぼします。

偏波も重要な変数です。フォトニック構造は入射光の偏波状態によって異なる応答を示すことがあるため、再現性の高い量産手法には偏波の特性評価と制御を組み込む必要があります。こうした要件を総合すると、アライメントは単なる機械的位置合わせではなく、能動的な測定・最適化プロセスとなります。製造現場における課題は、この一連の機能を自動化しながら、アライメント時間がスループットのボトルネックにならないようにすることです。

 

アライメントは課題の一部に過ぎません。PICにはフォトディテクタ(光検出器)、モジュレータ(変調器)などさまざまなコンポーネントが集積されており、光学測定と電気測定を組み合わせた評価が必要になります。一般的な評価項目には、挿入損失、チャネル間均一性、光減衰特性、フォトディテクタ感度、波長依存性などがあります。

これらの測定を順番に実施すると、テスト時間は大幅に増加します。量産に対応したアプローチでは、電気テストと光学テストを統合し、可能な限り並行して実行することになります。例えば、電気的アライメントを光学アライメントの前に実施したり、自動光学プローブのアライメント中に導通試験などの電気的テストを並行して実施したりすることができます。このような並列処理は、デバイスの複雑化やテストカバレッジの拡大に伴い、ますます重要になります。

光学計測機器にも同じ考え方が当てはまります。各計測機器を個別のリソースとして扱うのではなく、レーザー、パワーメータなどの機器を統合的に制御すれば、大量生産環境において複数の機器やチャネルを並列運用することが可能になります。また、テストセルの複雑化が進む中で、測定の一貫性を維持するためには自動校正や補正機能も重要になります。アドバンテストはこの分野における開発を通じて、共通のテスト環境内で複数の光学計測機器やパワーメータの並列運用をサポートしています。

より広範な目標は、おなじみの半導体テストと同じく、テストカバレッジを最大化すると同時に、テストコストを最小化することです。シリコンフォトニクスで変わるのは、その実現のために調整しなければならない物理領域や測定領域の数が大幅に増えることです。

 

量産向けPICテストに必要なすべての要素を単独でコントロールできるサプライヤーは存在しません。完全なソリューションには、自動テスト装置(ATE)、ウェーハプロービング、光学位置決め、ファイバーインターフェース、光学計測機器、デバイス設計、そして製造プロセスまで幅広い要素が含まれます。

そのため、エコシステム全体での協業が極めて重要になります。テスト装置メーカーは、プローブ技術・位置決め技術の専門企業、フォトニックデバイス開発企業、ファウンドリ、製造企業と連携し、それぞれの技術インターフェースを個別の実験装置としてではなく、統合された生産システムとして機能させる必要があります。

その一例として、アドバンテストはFormFactorと緊密に協力し、電気テスト装置、ウェーハハンドリングシステム、光学計測機器、自動ファイバーアライメント機能を統合したウェーハレベルのフォトニクステスト環境を開発してきました。重要なのは個々のコンポーネントそのものではなく、再現性の高い製造ワークフローを構築するために必要なシステム統合です。

シリコンフォトニクス、NPO、CPOの普及が進むにつれ、こうした協業の重要性はさらに高まるでしょう。業界は進化するデバイスアーキテクチャに対応しながら、半導体製造に求められる再現性、スループット、経済性を実現できる実用的なテスト手法を確立しなければなりません。


今後登場するフォトニクス技術の実用化には、業界全体での取り組みが必要となる。

 

有望なフォトニクス技術を量産対応の商用製品へと発展させるためには、デバイス自体の進歩だけでは不十分です。テスト技術もそれに歩調を合わせて進化しなければなりません。光学アライメント、電気・光複合測定、自動化、さらにはエコシステム全体の相互運用性を、単一の製造課題として統合的に捉えることで初めて、シリコンフォトニクスを本格的な量産時代へ導くための基盤を構築できるのです。

 

Clemens Leichtle博士は、アドバンテストのシニアディレクター兼V93000フォトニクス事業責任者です。半導体業界で25年以上の経験を持ち、Siemens、Agilent、Verigyなどでエマージング技術向けテストおよびアプリケーションソリューションの開発に従事してきました。アドバンテストでは15年以上にわたりV93000の技術中核組織(Center of Expertise)をリードしており、近年はデータセンター用途を対象としたシリコンフォトニクスおよびコパッケージドオプティクス向けテストソリューション開発の共同リーダーを務めています。Leichtle博士は、ドイツ・ウルム大学で物理学博士号を取得しています。