半導体業界は、先進的なコンピューティング、消費者向け電子機器、防衛、環境持続可能性といった主要なアプリケーションのニーズを満たすために、限界に挑戦し続けています。業界が直面しているいくつかの重要な課題がありますが、これらの課題をより効果的かつ迅速に解決するためにはどうすればよいでしょうか?
SEMIは、東京エレクトロンのアドバイザーである真白すぴか氏に、業界連携の強化の重要性と、真白氏が企画委員会の議長を務める初開催のSEMIグローバルスタンダードサミット「未来を創る!次世代半導体生産に必要な業界標準とは?」についてお話を伺いました。
Trio:SEMIグローバルスタンダードサミットとは何ですか?また、このイベントが「今」開催される理由とは何ですか?
真白氏:先端パッケージング、サイバーセキュリティ、サプライチェーン、革新的な材料(およびそれらが環境に与える影響)等のトピックスは、業界の連携がより必要とされる戦略的分野と見なされています。これら分野の多くは標準化の恩恵を多いに受けており、次世代の仕様とガイドラインは、現在および将来の技術的課題に対応するために設計される必要があります。これらの標準化の取り組みには、設計から製造までのバリューチェーンのすべての利害関係者の関与が必要であり、複数の標準化機関(SDO)が協力し合うことが求められます。
これこそが今回のサミット開催の推進力です。業界の利害関係者を集めて標準化が重要となる分野を特定し、次の3年および7年の時間枠で業界の標準化戦略を策定する必要性があるのです。私たちは、2024年12月12日にSEMICON Japan 2024に合わせて、この初のイベントを開催することを楽しみにしています。
Trio:サミットの焦点は何ですか?
真白氏:グローバルスタンダードサミットでは、次世代半導体生産のためのスマートマニュファクチャリング、パッケージング設計と材料、環境持続可能性の3つの主要テーマを取り上げます。
生産現場では、生産性と歩留まりを向上させるために、デジタルツイン、予知保全、AI/MLを活用することが増えてきています。これらのアプローチを最大限に活用するためには、工場におけるサイバーセキュリティリスクを軽減し、知的財産を保護しながら、サプライチェーン全体で「スマート」データの転送を確保する必要があります。それには、これらのリスク領域に対処するための標準が必要であり、工場の生産性を向上させるために多様な高度分析システムが相互運用できるようにする必要があります。『次世代工場におけるスマートマニュファクチャリング』セッションでは、自律型ファブ、サイバーセキュリティ、フロー指向の製造に焦点を当てます。
同様に、パッケージング技術は、70年以上前の半導体デバイス開発の初期段階から進化してきました。最近では、半導体製造プロセスでのパッケージングの位置付けが進化し、一部のパッケージングプロセスは前工程の延長として行われるようになりました。今後、パッケージングの設計と材料は、より複雑な機能と低消費電力の要求に対応するために、異種統合 (heterogenous integration) を採用することによってますます重要になるでしょう。また、チップレット統合も可能にします。『パッケージング設計と材料』セッションでは、銅-銅(Cu-Cu)直接接続、ハイブリッドボンディング、パネルレベルパッケージングの標準化に業界が求めるものについて議論します。また、ガラス基板や半導体組立およびテストの自動化を可能にするために必要な標準についても探ります。
今や、半導体業界はネットゼロ時代に突入しています。環境パフォーマンスの定量化は、大きな財務的影響をもたらす可能性があります。ですが、製造や製品における二酸化炭素排出量や懸念物質の存在等の環境影響を測定し算定する方法は、業界全体で一貫したものがありません。半導体業界がこの分野でより良いナビゲーションをし、ポジティブな影響を与えるためには、一貫した標準のセットの存在が重要となります。3つめの『環境サステナビリティ』セッションでは、懸念物質(SOC)の伝達、工場からのプロセスエミッションの報告、そして装置を含む半導体製造に使用される材料や物質のライフサイクル評価について、ソートリーダーが発表します。
最後に、これらのトピックスをパネリストと共に議論するパネルセッションを行います。
Trio:誰がサミットに参加すべきですか?また、その理由は何ですか?
真白氏:これらの標準化トピックスに関心のある業界リーダーがこのサミットに参加し、そして積極的に関与してくれることを望んでいます。参加者は、将来の半導体製造の進展に重要となる課題や、そういった課題に対処するためにどのようなことが行われているかについて聞き、学び、そしてそれらに対処するための新規標準の開発について知ることができます。
参加者の関与は非常に重要です。参加者が貴重な洞察を提供してくれることによって標準開発の方向性に影響を与え、次世代の半導体製造の最適化に貢献してくれることを期待しています。また、業界の連携を促進するために、サプライヤーやソリューションプロバイダーからエンドカスタマーまで、利害関係者が集うネットワーキングイベントも用意しています。サミットは、業界の利害関係者やソートリーダーがSEMICON Japanに集う絶好の機会のひとつです。Global Standards Summitで取り上げるトピックスに関連するセッションもSEMICON Japanではいくつか提供されています。最終的には、サミットの終了時に重要な標準分野のリストを特定し、リーダーがこれらの標準化の取り組みにリソースを割り当てることができるようしていただけたらと考えています。
初開催のSEMIグローバススタンダードサミットの詳細についてはSEMICON Japan 2024のサイトをご覧いただき、是非ご参加ください!
真白すぴか氏は、東京エレクトロン株式会社のインダストリーイニシアティブグループで戦略企画アドバイザーを務めています。2016年のIRDS(国際半導体技術ロードマップ)の発足以来、ファクトリーインテグレーション(FI)IFTに関わり、2017年からは共同議長を務めています。彼女の関心と関与の領域は、製造装置における「スマート」技術の応用、ファブ運用との共同最適化、そしてESH/S(環境、安全、健康/サステナビリティ)のロードマッピングおよび関連する業界標準の開発に及びます。後者に関しては、SEMIスタンダードプログラムやIEC TC/44の複数のグループでリーダーを務めています。
Paul Trioは、SEMIスタンダードプログラムのディレクターです。