欧州の半導体エコシステムは、EUチップ法の野心的目標にけん引されて、発展を続けています。欧州の技術的リーダーシップを強化し、2030年までに半導体製造市場シェアを20%に倍増させるというゴールを達成するためには、バリューチェーン全体の協力体制構築が必要です。この協力精神が具体化したものが、EU の研究・イノベーションのフレームワークプログラム「Horizon Europe」が資金提供するプロジェクト「Heterogeneous Integration for Connectivity and Sustainability(HiCONNECTS)」です。 このプロジェクトは、ヘテロジニアス・インテグレーション(異種チップ集積)の先進的なコアテクノロジーを使用した次世代の電子部品およびシステムの開発を目指しています。
HiCONNECTSコンソーシアムは、多様な専門性を持つ65のパートナーが参加し、社会や産業の重要課題に取り組んでいます。その重点となっているのは、高性能/低消費電力なワイヤレスおよび有線のクラウド/エッジコンピューティング、そして車載レーダーシステムにむけた先進的コアテクノロジー・ソリューションです。
「65のパートナーと協力することは、並大抵のことではありません。複雑なITネットワークを編成するようなものです」と、HiCONNECTSプロジェクトのコーディネーターであるIlan Englard氏は語ります。「私たちは、タスク、作業パッケージ、それらの調整を中央管理するフレームワークを介してパートナーのローカルネットワークを相互接続することで、進捗を能率化しています。このような大規模コンソーシアムは込み入ったシステムとなり、その複雑性がノベーションを促進し、驚くべき変革をもたらす可能性があります。
3年間のプロジェクトが進行する中、HiCONNECTSは重点分野にむけたパイロットライン構築に取り組んでいます。
- RF電子ヘテロジニアス・インテグレーション
- ヘテロジニアス・インテグレーション用光コンポーネント
- ヘテロジニアス・インテグレーション用先進パッケージング
フェルディナンド・ブラウン研究所、imecなどの組織が主導するこれらのパイロットラインでは、先進的装置の開発、製造の最適化、そして電子および光コンポーネントの統合を通じた、システムやモジュールの開発が行われます。統合されたプロセスフローにおける装置の検証が進めば、ヘテロジニアス・インテグレーションの展望はさらに強化されるでしょう。
3年目を迎えたHiCONNECTSは、引き続き新規メンバーを歓迎しています。この開放性によって、プロジェクトの柔軟性と、新たなトレンドや課題への取り組み姿勢が明確に示されています。昨年2月にイタリアのカターニアで開催された年次会議では、森林データのデジタル化を進めるArbonautの入会が、森林火災のユースケースに貢献し、プロジェクトのスコープをさらに拡大するとして、全会一致で認められました。
「モジュール、システム、デモ機の提供が近づくにつれ、今後数か月間が重要となります」と、Englard氏は述べます。「私たちの目標は、モジュールおよび装置メーカーの支援を受けながら、次世代のRF、電子、光コンポーネントをヘテロジニアス・インテグレーションによりネットワーク、通信、レーダーシステムに組み込むことです。」

伊カターニアで開催されたHiCONNECTS年次会議参加者(2024年2月)
この野心的なプロジェクトが進行する中、コンソーシアムが社会的、政治的、経済的に有意義な影響を生み出すために、プロジェクトの成果と実績を共有することが引き続き最優先事項となっています。プロジェクトの成果に注目を集めることで、コンソーシアムはこうした進捗の認知、理解、実装を促進しています。最近でも、パートナーのExcillum、TNO、SANLAB、Centria University of Applied Sciencesが、SEMI Europe主催のウェビナー「Heterogeneous Integration for Future High Speed Communication(ヘテロジニアス・インテグレーションによる未来の高速通信)」に参加しました。このウェビナーは現在、世界中の視聴者がオンデマンドで視聴できます。
さらにSEMICON Europa 2024でも、HiCONNECTSの重要性がハイライトされ、コンソーシアムのメンバー企業7社が先進パッケージングからフォトニック集積まで、さまざまなトピックの進捗を発表しました。展示会場内のTechARENAでは、SEMI Europe、Excillum、Centria、Arbonaut、AT&S、imec、Applied Materialsの代表者が、プロジェクトの半導体エコシステムへの貢献を紹介しました。
「TECHArenaに登壇し、HiCONNECTSのパートナーと交流できたことを嬉しく思います」と、Excillumのセミコンダクター&エレクトロニクス部門の責任者であるJulius Hållstedt氏は述べました。「特に、私の講演を多くの方に聴講いただき感謝しています。これは、半導体アプリケーション向けのX線ソリューションに強い関心が示されたことを意味します。SEMICON Europaの展示会や先進パッケージング会議での見識に富んだ議論は、非常に有益なものでした。」

SEMICON Europa 2024の講演者
HiCONNECTSは、出版、ウェビナー、カンファレンスなど、さまざまなチャネルを通じて研究成果やブレークスルーを広めることで、半導体エコシステム全体での知識共有とコラボレーションの促進を図っています。このオープンな姿勢が新しい技術の採用を促進し、欧州企業が重要な進歩の最前線に立ち続ける支えとなります。さらに、これら成果の共有により、最先端研究開発のハブとしての欧州の地位を強固にし、世界的な経済成長と技術的リーダーシップを推進します。
SEMI Europeは、Chips Joint Undertaking(Chips JU)のHiCONNECTSコンソーシアムメンバーであることを誇りに思います。Chips JUは、EU Horizon Europeプログラムによって資金提供され、オーストリア、イタリア、ドイツ、スウェーデンなど多数の国々からサポートされています。
HiCONNECTSについて:
HiCONNECTS(Heterogeneous Integration for Connectivity and Sustainability)は、サステナブルでエネルギー効率の高いクラウドおよびエッジコンピューティングプラットフォームの開発を目的とした、65のパートナー企業が参加する3年間のプロジェクトです。このプロジェクトでは、ハイパフォーマンス・コンピューティング、ストレージインフラ、ネットワークインターフェース、IoTセンサーおよびビッグデータのリアルタイム分析に重点的に取り組んでいます。
Kartikey Srivastavaは、SEMI Europeのコミュニケーション担当シニアスペシャリストです。