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2025-04-23
2025-04-23

2025年シリコンウェーハ市場:循環的限界と構造的変化の境界線に立つ

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半導体産業は長年、明確なサイクル構造をたどってきました。価格下落が設備投資の縮小を引き起こし、その後在庫の正常化を経て最終的に回復に至るパターンの繰り返しです。この価格調整、投資縮小、在庫調整、市場回復のサイクル構造は、現在の不確実な市場環境を理解する上でも有効な視点を提供します。

2025年4月現在、業界は相反する2つのシグナルに直面しています。AI関連の需要は既にピークアウトしたのではないかという懸念が高まる一方で、DRAM価格が年後半に回復するという慎重でありながらも楽観的な見方も根強く残っています。こうした市場動向は、米中貿易摩擦の再燃、関税リスクの再燃、そして持続するインフレ圧力といったマクロ経済の不確実性の高まりによってさらに複雑化しています。このように複雑で不安定な環境において、サイクルに基づいた構造分析の重要性がかつてないほど高まっています。

モメンタムの観点から見ると、2024年半ばから半導体製造装置投資の前年同期比成長率(12ヶ月移動平均)が回復を始めたのは、需要回復の兆候と解釈できます。しかし、この一見確実と思える状況が誤解を招く可能性もあります。世界の企業が2023年後半から2024年前半にかけてファブ投資を大幅に削減したのに対し、中国だけが逆の方向に進み、半導体自給率向上を目指す政府主導の投資を強化しているからです。

中国の投資行動の相違により世界の設備投資の状況は歪められ、広範な回復の印象を与えている可能性がありますが、そのモメンタムは市場のファンダメンタルズによるものではなく、実際はひとつの地域の政策によって推進されているのです。

同様に、最近のDRAM価格の上昇は、需要側のモメンタムよりも減産の影響が大きいように見受けられます。主要DRAMメーカーは、在庫管理と価格維持のため、意図的に生産量を縮小しています。最終市場の需要に支えられていない価格上昇が、ウェーハ調達の実質的な回復を持続させる可能性は低いでしょう。

2025年下半期の予測をベースにしたシミュレーション結果は、2025年第3四半期および第4四半期のDRAM混合平均販売価格が、両四半期とも前期比20%以上の上昇をしない限り、前年同期比の価格トレンド(12ヶ月移動平均ベース)の有意な上昇はないことを示しています。これは、現在の価格回復の脆弱性を浮き彫りにしており、エンドマーケットでDRAMの需要が大幅に改善しない限り、供給側で対策を講じても、DRAM生産用ウェーハの調達が持続的な回復をする可能性は低いでしょう。  

SEMIの最新のSilicon Wafer Market Monitorレポートで強調されているように、ウェーハ市場をより深く理解するには、材料在庫のトレンドを綿密に調査する必要があります。メモリメーカーの在庫動向は、その圧倒的な規模と高い透明性から、半導体業界全体の動向を映す指標として広く認められています。パンデミック後、メモリメーカーの材料在庫は、売上に対する比率が、過去平均の5倍まで急増しました。この比率は2023年から2024年にかけて大幅に減少したものの、依然として在庫水準はパンデミック前を大きく上回っています。大手各社がさらなる在庫削減を示唆しており、持続的な需要回復の明確な証拠がない限り、シリコンウェーハを含む材料在庫の再構築を促す要素はありません。

この在庫の変動は、ウェーハ出荷面積の伸びと密接に関連します。過去のデータを見ると、メモリメーカー上位3社(Samsung、SK hynix、Micron)の材料在庫の対売上比率とウェーハ出荷面積の間には強い逆相関関係があります。この比率が前年比で低下すると、ウェーハ出荷量の伸びが改善するのが通常です。しかし、在庫比率の低下ペースが鈍ると、その後にウェーハ出荷面積の停滞または減少する可能性が高まります。

また、在庫比率の低下は継続しているものの、ウェーハの平均販売価格(ASP)は未だに回復の兆しがありません。この価格と在庫調整の乖離は、需給に構造的な不均衡が存在することを示しています。供給面では、世界上位5社のウェーハメーカーはいずれも、新規工場の生産能力を確保し、生産拡大の準備を整えています。減価償却圧力が高まる中、各社は経済的に採算の取れる稼働率を維持する必要に迫られており、これがASPの低下をけん引しているのです。

一方、中国における主に200mmアプリケーションの需要に牽引された生産能力拡大が、さらなる価格下落の圧力となっています。中国の200mm市場で一定のシェアを占めている国内ウェーハメーカー各社は、投資の重点を300mmウェーハ生産に移しており、これにより価格圧力が高まり、世界のウェーハメーカーは、長期的なはげしい競争圧力にさらされています。この動きは、中国以外では需要が依然として低迷する中、同国の成熟プロセスノードへの広範な進出と一致するものです。中国ウェーハメーカーは激しい価格競争をしかけており、海外の大手メーカーの中国における競争力は低下しています。

その結果、競争環境に構造的な変化が起こりつつあります。世界のウェーハメーカーは、中国以外の市場において、互いに価格面で厳しい戦いをしていますが、同時に中国市場では国内メーカーからの圧力が高まっています。この二極化した競争は、業界が限界点に到達しており、従来の価格モデルと市場力学が根本的に揺らいでいることを浮き彫りにしています。

さらに、かつて価格安定に効果的な手段であった長期供給契約は、徐々にその妥当性を失っていくことが予想されます。長期供給契約でウェーハを購入している半導体メーカーが、より短期のカスタマイズされた調達モデルへと移行し、価格変動が大きくなるにつれて、長期供給契約のメリットは着実に失われていくでしょう。

したがって、市場はまだ力強い回復期には至っておらず、持続的な不均衡による構造的な転換が進行していると思われます。最新のレポートでは、DRAM価格、在庫正常化、半導体製造装置投資、そして中国の影響という4つの主要変数を中心とした3つのシナリオに基づく見通しを提示しています。現在最も可能性の高いシナリオは、2025~2026年に緩やかな成長をし、2027年に調整局面があり、そして2028年に回復期に入るというものです。このシナリオにおけるウェーハ出荷面積の成長率は、それぞれ+5.1%、+5.4%、-6.2%、+9.8%と予測されています。

しかし、このベースシナリオでさえ、潜在的なマクロ経済の混乱に対しては脆弱です。2025年4月に米国が発表した大規模な関税措置は、企業需要の減退やインフラ投資の先送りから、DRAM価格の下落やウェーハ調達の抑制に至るまで、エコシステム全体に連鎖的な影響を引き起こす可能性があります。過去のサイクルでは、OECDの景気先行指数などのマクロ経済指標がDRAM価格の変動を先導する傾向がありました。マクロ経済の勢いが鈍化すれば、市場はベースシナリオから離れ、ダウンサイドシナリオに近づく可能性があります。このダウンサイドシナリオは、2026年までの低成長またはマイナス成長、2027年の緩やかな回復、2028年の需給状況の正常化に伴う力強い回復を前提としています。

現在の市場の軌道は、急激な減速や回復が発生する余地は限定的であることを示しています。次の局面がどうなるかは、DRAM価格のモメンタム、在庫調整のペース、各地域の投資、そして政策リスクの4つがどのように相互作用するかにかかっています。明確な変曲点は、これらの要因が揃った時にのみ現れます。言い換えれば、上昇であれ下降であれ、大きな変化は、これらの力が同じ方向に動き、互いに補強し合う場合にのみ発生します。つまり、減速にせよ加速にせよ、いかなる方向へのシフトも、前述の半導体サイクルという大きな枠組みの中で展開していくことになります。その意味で、これらの指標はサイクル自体を逆転させるものではなく、サイクルが展開するタイミングとペースに影響を与えるに過ぎません。

本稿は、SEMIのSilicon Wafer Market Monitorレポートの2025年第1四半期版を要約したものです。今回の版では、マクロ経済の不確実性が高まる中、シナリオ分析を活用してウェーハ需要の潜在的な転換点を評価しました。この分析をサポートする、2000年まで遡る10の主要な定量チャートと長期データシリーズも掲載しています。これらのデータは、半導体売上高、投資、価格サイクルを単一の視覚化で分析できるように特別に選定されています。レポートでは、シナリオベースの分析を用いて、マクロ経済の不確実性を乗り越え、ウェーハ需要の潜在的な転換点を評価しています。この分析を裏付けるため、市場アップデートセクションでは、10の主要定量チャートと2000年まで遡る長期データシリーズを掲載し、半導体の売上高、投資、価格サイクルを可視化し分析しています。

レポートの詳細や購読のお申し込みについては、SEMIカスタマーサービス([email protected])までお問い合わせください。SEMI市場データの詳細は、 SEMI市場情報のウェブページをご覧ください 。

Sungho Yoon は、SEMI市場情報チームの主席アナリストです。