セミコン・ジャパン アナリストの視点 第一回 野村證券 和田木哲哉の視点

集中連載
セミコン・ジャパン アナリストの視点

第一回 野村證券 和田木哲哉の視点

野村證券株式会社

金融経済研究所
企業調査部
シニアアナリスト

半導体製造装置市場は、回復の入口に入った。TSMCの積極投資、三星電子の設備投資再開、東芝などの先端投資で、半導体製造装置メーカーの受注は大底を脱し回復に向かっている。

回復局面入りした中で迎えるセミコン・ジャパン2009の見所は、その出展規模である。かつて、出展規模そのものに、外部関係者がこれほど気を揉むことはなかったのではないか。それほどまでに、09年7月のセミコン・ウェスト2009の状況は、業界の先行きに不安を抱かせるものだった。

前年の後工程ブースを全てインター・ソーラーに譲ったにも関わらず、ガラガラな展示ブース。カーテンで端のブースを区切って物置にして、いたるところに休憩スペースを設け、それでも、まだ空きスペースが沢山あった。色々な意味で寒かった。セミコンショーがもう1度盛り上るのかどうか、今度の、セミコン・ジャパンが試金石になると考えている。

セミコン・ウェスト2009には出展しなかった企業も、セミコン・ジャパン2009には出展を計画していると聞く。「出展の費用対効果が見えない」などと野暮なことは言うのを止めてほしい。これは、お祭りなのである。古来より、祭りに費用対効果などないのである(除、屋台関係者)。ネアカが取柄のこの業界らしく、不況な時こそ元気を出して、このイベントを盛り上げて欲しい。

一時的に、「経費削減努力が甘いのではないか」と企業に詰め寄らねばならない立場を忘れて発言してしまったが、業界に対する愛情では、企業で働く方に負けてないつもりである。

さて、次に技術面の見所について。

まずは、次世代のパターニング技術。先端露光市場を席巻しているASMLに、ニコンがどこまで追いすがれるかに注目である。セミコン・ウェスト2009ではASMLが計算機リソグラフィの新技術を大々的に発表して耳目を集めた。今回は、ダブル・パターニング用の新型露光装置の発表・発売が前後しているはずで、どういう結果になっているのか非常に楽しみである。ナノインプリント、EUVL、電子ビームなどでも、何か進展があるかも知れない。実用化に入ったサイドウォールプロセスに絡んだ発表があるかも知れない。

次の興味は、環境関連デバイスである。太陽電池製造装置は、太陽電池市場の大調整に加え、コストパフォーマンスで劣位にあるシリコン薄膜用の製造装置が窮地にあるが、日本製のシリコン結晶型用やCIGS用製造装置は、この調整局面でもかなり盛り上っている。太陽電池の需要そのものは、日本の環境保護政策、中国の導入政策を背景に徐々に、局所的には相当盛り上っている。

LEDの需要も旺盛である。LEDテレビへの期待から、LEDメーカーが大増産に走っており、製造装置メーカーが恩恵に浴している。ダイサ、MOCVD、エッチング装置、果てはターンキーなどで発表がないか期待したい。

そして、装置だけでなく、デバイス側の発表にも期待したい。BiCSと呼ばれる3次元メモリは、実用化に向けたバリアはまだまだ高いが、成功すればフラッシュメモリの微細化限界を破り、コストパフォーマンスで他のストレージとの競争関係を一変しうる可能性を秘めている。閉塞感が出てきたシリコンサイクルを活性化するポテンシャルがある技術ではないか。

また、セミコン・ジャパンの時期には、来年の半導体製造装置需要のドライバとなりうる三点セット、Windows7、DDR3DRAM、LEDバックライト搭載型PCの評価が下される頃である。来年は、Vistaパソコン不況の反動で明るい年になり、その兆候が今年の12月には見えていることを願っている。