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業界予測: 見通しはポジティブ

SEMIが8月19日に開催したSilicon Valley Lunch Forumで、3人の業界トップアナリストが、「世界半導体不況は底を打ち回復がはじまった」という見方が強まっていることを確認しました。IC InsightsのBill McClean氏、GartnerのDean Freeman氏、TechcetのJohn Housley氏は、半導体製造の回復を示す最近の兆候を検討した上で、2010年の製造装置受注額は30%以上成長すると予測しました。

IC産業を左右する大きな力とは

Bill McClean氏

Bill McClean氏
(IC Insights)

「現在の産業サイクルは、2009年第1四半期に底を打ち、半導体産業の2009年後半の設備投資は前半に比べて33%も高くなる。過去を振り返ってばかりいてはだめだ。今は目の前に控えた成長期に備えるときだ」と、IC InsightsのBill McClean氏は述べました。McClean氏は業界関係者に「四半期をベースに考えなさい」と呼びかけます。氏の指摘するところでは、世界規模の不況の後には必ず押さえ込まれていた需要の山が残され、「半導体の素晴らしい成長が2年間続く」ことになります。

来年について、彼は少なくとも15%、おそらくは20%の成長を見ています。「これほど酷い不況の後では … しかしこれが逆に働いて、下降期と同じくらい急激な上昇期となることもありうる」とMcClean氏は結論づけました。

2009年の前半と後半について

2009年の前半に、McClean氏は世界不況が最悪化するのを目撃しましたが、後半には電子機器販売の季節変動、IC在庫調整の完了、GDPの好転があると述べました。世界のGDPも米国のGDPも、マイナスからプラスへと転じています(世界のGDPは-3.6%から+2.0%へ、米国のGDPは-3.7%から+1.3%へと変化)。また、あらゆるカテゴリ(携帯電話出荷台数、PC出荷台数、IC市場、ICファウンドリ市場、半導体設備投資)において、2009年後半では既に前半に対して大きな伸びを示しています。

McClean氏は半導体「トップ20」の主要企業については、売り上げは2009年の前半から後半で21%上昇したと指摘します。

「需要が崩壊してしまった。潜在需要を上回る出荷をしていた2001年とは異なる。今回は潜在需要が落ち込んだのだ。2009年第1四半期が底だった … 市場は底に向かってまっしぐらだった」とMcClean氏は述べ、続けて次のように語りました。「この産業がこのような動きをしたことは信じがたい。2四半期連続で記録的な下落をするなどとは。」

2000-2009F Quarterly IC Unit Volume Shipment Trend

潜在需要を見極める

McClean氏は、2009年の最も悲観的な予測として、PC出荷台数(-12%)、携帯電話(-12%)、テレビ(-2%)を示しながら、半導体の出荷数が、2005年水準から2006~2007年水準にまで、どのように回復するかを説明しました。四半期毎にIC出荷数動向を示した下図が示すように、2009年第1四半期に2005年レベルで底を打った出荷数は、第2四半期では2007年の最低ラインまで上昇をしています。

2005-2009F Quarterly IC Unit Volume Shipment Trend

氏はTSMCが1四半期の間に売り上げを倍増したことに言及し、第3四半期までにはTSMCの売り上げは2008年第3四半期水準まで回復するだろうと述べました。

McClean氏、デバイスメーカーおよびファウンドリの過去にない低水準の設備投資は、2010年から2011年にかけて、装置発注額の大幅な回復をもたらすと主張します。「設備投資額は売り上げの12%まで落ちている。これは過去になかったことだ。信じられないほど低い。これまでにも不況はあり、二桁の大きな設備投資の減額も経験してきた。その後には何があったのだろうか。その翌年には設備投資額が上昇をしたのだ。1987年には23%、1997年には14%、2003年には14%上昇したが、当社の予測では2010年は18%、2011年は36%の上昇があるだろ。」

メモリ分野の投資動向に目を向けると、状況は「まったくもってショッキングだ」とMcClean氏は言います。メモリ分野の設備投資の総額は、2007年が323億ドル、2008年が208億ドルであったが、2009年は72億ドルと予測されています。IC生産能力の稼働率は1四半期の間に20ポイント跳ね上がり、2009年第1四半期の57%が翌第2四半期には78%となりました。年内はこのまま上昇を続け、第3四半期には86%、第4四半期には90%が予測されています。

「生産能力は記録的な量が減少している。新規の生産能力に投資をしていないだけではなく、古いファブを閉鎖しているのだ … 多くの200mmファブが閉鎖の方向だ。SEMIによるとおよそ30のファブが閉鎖される。生産能力は減少するばかりで、新規の追加はそれより少ない。今後待ち構えている大きな需要では、あらゆるものがエレクトロニクスだ ― 医療も通信もコンピューターも … さらに多くのICが必要となる」と、McClean氏は最後に述べます。しかし、ファウンドリは投資に消極的です。氏は、ICの供給量、平均価格、そして需要という3つの力が重なり合うことで、半導体の将来の成長率は大きく影響されると主張しました。

Worldwide IC Wafer Capacity Changes (200mm Equivalents)

ブームの到来: 製造装置メーカーにとってのチャンスだ

Dean Freeman

Dean Freeman
(Gartner)

GartnerのDean Freeman氏は、今回の金融危機の影響について「前例のない下降に続く揺れのはげしい回復」と特徴づけました。半導体セールスの成長率という点では、2009年は18%のマイナス成長が見込まれています(2009年第2四半期時点での予測はマイナス22.4%でした)。2008年~2013年の収益は0.4%のプラス成長を氏は予測しています。

2009年第2四半期に、金融危機は半導体製造装置に大打撃を加えました。Freeman氏は、2008年に31%減の307億ドルとなったテスト装置を含む半導体製造装置の収益は、2009年にさらに45.8%減減少し166億ドルになると観測しています。2009年は予測されていたより若干低迷しますが、2010年は逆に予測を少し上回るようです。これはタイミングの問題であり、需要全体が先にシフトするわけではないとの見解をFreeman氏は示しました。半導体製造装置の収益について、2010年は前年比29%増の214億ドルに達すると氏は見ています。

ウェーハプロセス装置に関して、Freeman氏は「この低迷から抜け出せば … 第3四半期にはかなり力強い成長をみせ、その後は穏やかな成長が続く … 数字的には2009年第3四半期が40%~50%、第4四半期が18%~20%と予測する」と述べました。

ファウンドリの稼働率を示しながら、Freeman氏は半導体の需給動向を次のように分析しました。

  • 2009年第2四半期の稼働率68%はさらに上昇し、第3四半期は78%に達する。
  • パソコンや通信機器が需要を力強くけん引。先端デバイスの需要が最も伸びる。
  • 45/40nmの生産は、2009年後半に大きく立ち上がる。
  • 2009年から2010年の生産能力は、先端デバイスを主に年率7-8%増加する。
  • ウェーハ出荷量は、2009年は14%減少するが、2010年は26%成長する。
  • 年間稼働率は、2009年の63%に対し、2010年は74%。

Forecast Growth Scorecard

Freeman氏は半導体サプライチェーンの予測を、次の表にまとめました。

Forecast Growth Scorecard

Freeman氏は、マクロ経済予測は今後も改善を続けると述べ、「二歩前進して一歩後退する状態だ。ほとんどの産業分野がよい数字を示している」と続けました。半導体は第2四半期に力強い回復を示しましたが、これが継続するかは消費者しだいです。設備投資は依然として抑え込まれますが、ファウンドリやロジックなど、明るい部分も見られます。彼は米国経済の回復は2009年第3四半期におそらく始まるだろうと考えます。装置メーカーにとって成長の大きなチャンスであると彼は考えますが、しかし、チャンスを活かすには柔軟で創造的なビジネス・プランが不可欠だと警告します。最も有望な成長市場は、太陽光発電、LED、Si貫通ビア技術の3つであると述べました。

材料サプライチェーンに対する戦略が重要だ

John Housley氏

John Housley氏
(TechCet Group)

TechCet GroupのJohn Housley氏は、不況がサプライチェーンに及ぼす影響について講演し、詳細な材料市場予測を提供しました。

レジストおよび関連材料について、Housley氏は10社以上のメーカーが15億ドル市場で競い合っており、レジストユーザーに有利な状況が続いていると指摘しました。EUVにはまだ問題があり、また非常に高価だといいます。しかし、彼はレジストの世界市場の大きさを考えるよう聴衆に求めました。

レジストは大きな打撃を受け、市場規模は2008年の14億ドルからわずか9億5千万ドルに縮小しますが、彼は193nmレジストを使用した場合「一回の塗布あたりのコストは上昇する」といいます。さらに高価なレジストはその4~5倍の価格となります。

シリコンについて、Housley氏は、世界全体のウェーハ出荷面積に着目し、3ヶ月移動平均が上昇傾向にあり、60%増加したと述べました。シリコン・カーバイド(SiC)については、2008年に2億1,100万ドルあった市場が、2009年には1億4,900万ドルに縮小し、その後2011年は2億1,200万ドルまで成長すると彼は予測します。CMP材料市場では、20社以上がしのぎを削り、スラリー価格に対する値下げ圧力も存在はするが、一社が圧倒していると述べました。銅配線ビジネスでは、2社のサプライヤが独占しています。High kおおび原子層堆積(ALD)用材料に関しては、Housley氏は最先端RAMのキャパシタや、45nm以下のMPUデバイスによる成長を見込んでいます。ALDは「素晴らしいが、極めて高価だ。ALDの価格が実際に利用できるレベルまで下がるまでは … 次の世代へ先送りされるだろう」と彼は述べます。

太陽電池をのぞくと、2009年の前工程プロセス材料は、全体で144億ドルとなるとHousley氏は予測します。2008年からは21%の減少です。内訳は、マスクが21%、ガスが19%、フォトレジストが10%、CMPが10%、その他間接材料が7%、ケミカルが6%、レジスト補助材料が6%、石英が6%、誘電材料/SOGが5%、ターゲットが4%、グラファイトが2%、セラミックが2%、めっきが1%、SiCが1%、となっています。ガス・ケミカルは、他の材料に比較すると大きな打撃を受けていません。

太陽電池市場では、材料はデバイス市場に大きく依存しており、その点では半導体と同様です。今後数年間は、薄膜系太陽電池は市場の20%には届かないでしょう。Housley氏は、太陽電池の複合年間成長率(CAGR)を35%とする考えには異議を唱え、今後5年間のCAGRを20~25%と予測しています。

初出: SEMI Global Updates 2009年9月号