アジアのファウンドリが今年後半の設備投資回復をリード
アジアのファウンドリが今年後半の設備投資回復をリード
SEMI Taiwan 市場調査統計部門 クラーク・ツェン(Clark Tseng)
今年、私たちは前工程ファブ装置への投資額の急激な減少を目の当たりにしました。SEMIのWorld Fab Forecastレポートによると、2009年第1四半期の装置支出額は昨年第4四半期から26%減少し32億ドルとなりました。しかし、同レポートは投資額が2009年第2四半期に底を打ったことも示しています。サプライチェーン全体で、業績改善の兆候が現れはじめています。
この6月に、TSMCは先陣を切って2009年の設備投資ガイダンスを、2008年レベルの19億ドルに戻すことを発表しました。これは、それ以前のガイダンスから26%の増額となります。さらに同社の2009年第2四半期決算発表では、2009年の設備投資計画を23億ドルに引き上げました。設備投資は主に40/45 nm以下のノードの生産能力に集中すると考えられています。
2009年第3四半期にはいると、アジアの主要ファウンドリ各社から、2009年第2四半期は、収益と稼働率の両面での力強い回復が発表されました。各社は第3四半期についても連続成長を見込んでいます。Chartered Semiconductorを例にとると、65 nm以下のテクノロジーで大きな需要を予測し、Fab 7の生産能力増強を主に設備投資を33%引き上げ、5億ドルとする決定をしました。一方でUMCも4億ドル未満であった設備投資額を5億ドルに引き上げ、先端プロセステクノロジーに対する需要増加に対応します。
主要ファウンドリの2009年設備投資計画
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ファウンドリ |
2009年設備投資計画 |
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4月時点 |
7月時点 |
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TSMC |
15億ドル |
23億ドル |
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UMC |
4億ドル |
5億ドル |
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Chartered |
3億7,500万ドル |
5億ドル |
メモリー分野に目をむけると、2010年の製造装置市場をけん引すると期待されるこの分野にも、2年近く縮小を続けた今、投資回復の兆候が現れています。メモリーメーカー全社が最近までとってきたトレンドは、生産能力縮小と設備投資額削減でした。しかし、このトレンドは幸いにもDRAMとNANDフラッシュの供給過剰を徐々に解消しており、その結果、メモリーチップ価格は2009年第1四半期以降、安定をしています。
韓国のSamsungとHynixも、2009年後半の設備投資計画を変更しています。安定した価格と主要PCメーカーからの需要の改善を見て、両社はテクノロジーアップグレードの計画を加速し、この勢いに追随して需要増に応えようとしています。Samsungは競争で先行するために今年後半の半導体部門の設備投資を増額する意向です。またHynixも、NANDとDRAMに対する今年後半の設備投資を増加し、44 nmのDRAMと32 nmのNANDの開発を年末までに完了しようとしています。これは、最先端のテクノロジーノードに対する投資が、予想を上回るスピードで行われることを意味するといえるでしょう。
台湾のDRAMメーカーに目を向けると、統合の動きはまだ明確にはなっておらず、遅れをとるとは思われますが、NanyaとInotera(NayaとMicronのジョイントベンチャー)は54 nmのDRAM生産能力への大型設備投資計画によって市場に復帰する構えです。投資は今年開始する予定で、その大半は2010年に支出されます。
後工程業界に目を向けると、2009年第2四半期から稼働率が急速に立ち上がっており、これは上流のファウンドリ各社からの旺盛な需要に呼応したトレンドです。台湾の大手テストおよびパッケージング各社も、同様に今年に設備投資計画を変更しています。これはウェーハパンピングとウェーハレベルCSP(WLCSP)などを中心とした、アドバンストテクノロジーでの需要拡大を見込んだ動きです。
別の視点として、SEMIの北米地区Book-to-Billレポートに着目すると、BBレシオは2009年1月から5ヶ月連続で着実に改善を続けています。最新レポートでは、受注額に改善が見られ最低レベルを脱しています。現在の投資はテクノロジーアップグレードに向けられており、生産能力に対するものではありませんが、装置への支出は2009年の後半には最低レベルを脱し、2010年に向けて上昇を続けることが予想されます。
半導体サプライチェーン全体が今年は大きく変動することになります。第1四半期には厳しい不況を経験し、第2四半期にはファウンドリの旺盛な回復がありました。これは季節変動のパターンとしては異常なことです。今年後半にはいると、業界は健全な成長の兆候を示し始めています。しかし、私たちはこの改善が2010年にまで継続することを慎重かつ楽観的に見通しています。
本稿のデータはWorld Fab Forecastレポートから引用したものです。このレポートは半導体前工程ファブの投資および生産能力動向をトラックするビジネスツールです。詳細については、http://www.semi.org/fabsをご覧ください。
初出: SEMI Global Update 2009年8月号
