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新型コロナウイルスが半導体産業を襲ったとき、SEMI会員は自社の従業員の安全確保と事業の継続という新たなハードルに直面しました。SEMIはただちに世界の会員を支援するフォーラムを立ち上げ、事業継続や安全確保のベストプラクティス、サプライチェーンの問題、事業の影響と回復についての会員の見方を発信しました。 このフォーラムは会員アンケートという形をとり、第1回のアンケートは2020年3月に行われました。結果はSEMI会員全体で共有され、パンデミックの影響拡大への対処に役立てていただきました。 以下は、2021年5月に行われた第4回会員アンケートのまとめです。 回答者の地域および分野比率 回答者の40%は北米に本社がある企業の社員でした。 その他の回答者の所属企業の本社所在地域は、欧州/中東が20%、日本が13%、台湾が10%、中国が10%、韓国が5%でした。 回答者の40%が半導体製造装置メーカー、21%が材料サプライヤー、14%がデバイスメーカー、6%がソフトウェアおよび設計サービス、3%がOSAT、EMS、ODMでした。 事業継続のための方策 5月の調査では、生産を長期的に停止した企業はほとんどありませんでした。事業を継続するためには、図1に示すように、会員企業は程度の差こそあれ、ソーシャルディスタンス確保、マスク着用、体温チェック、勤務時間変更、接触者の追跡を実施しています。なかには、強制検査、人同士の近接センサー、空気清浄機、サイトの人数制限なども組み合わせて実施し、海外から入国した外国人労働者を宿泊施設に隔離して必要な検疫を行っています。 図1 いずれの対策もSEMIのEHSS COVID-19ワーキンググループのオンライン会議で定期的に検討を繰り返してきたものになります。このグループは、会員企業において安全性のモニタリングとコンプライアンスを担当するファシリティマネージャーや人事マネージャーで構成されています。 企業のワクチン接種方針 ワクチン接種のペースは世界の地域で大きく異なるため、職場復帰前にすべての従業員にワクチン接種を要求している回答者はわずか5%でした。また回答者の12%はワクチン接種方針をまだ検討していませんでした。大多数の企業は従業員のワクチン接種を奨励していますが、要求はしておらず、26%は従業員個人の判断に委ねています。 図2 北米では、ワクチン接種を要求あるいは奨励している企業が大半を占めています。欧州では、従業員判断に委ねるか奨励する企業はありますが、接種を要求している企業はありません。日本の企業は主に従業員に接種の判断を委ねており、中国の企業は要求する企業、奨励する企業、従業員に委ねる企業に分かれています。これらのガイドラインは各地域の法律で要求されたのではなく、雇用主や地域の政策立案者の判断によることが明らかです。 デジタルトランスフォーメーションへの準備状況 デジタルトランスフォーメーションの技術や手法の導入に投資したことがあると回答したメンバーが過半数を占めましたが、来年もデジタル投資を継続すると回答したのは約14%にとどまりました。多くの回答者は、オンライン会議ソフトウェアを導入しており、また半導体製造における遠隔診断や予測モデリングのために、バーチャル・リアリティ・ツールを導入しているか、その計画をしています。 図3 職種別の勤務ロケーション 当然のことながら、パンデミック時に自宅から仕事ができなかった製造部門や配送部門のスタッフは現場に戻っており、研究開発部門やエンジニアリング部門がまもなくリモートワークを終了し、次いで財務や調達の復帰が続くことを回答は示唆しています。営業およびマーケティング部門が、リモートワークの割合が最も高く、営業部門は今後もしばらくリモートワークを続けるスタッフが最多となるでしょう。 図4 今後の不透明な経済への対応 回答した274社のうち、84%にあたる229社が、COVID-19への対応を経て、これから経済的不確実性に直面した場合の回復力が強化されたと感じています。しかし、継続するサプライチェーンの問題や原材料の不足は最大の懸念事項となっており、その他にも顧客からの需要の増加、稼働率を上げる可能性、従業員数や施設全体の増強要求などが上位に挙げられています。 図5 回答いただきました会員企業の皆様に感謝申し上げます。今後のアンケート調査についてもお知らせしてまいります。 SEMI EHSS COVID-19ワーキンググループの活動の詳細については、こちらのWebサイトをご覧ください。 Heidi HoffmanはSEMIの技術コミュニティマーケティング部門シニアディレクターです。
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フォトマスクでの曲線形状の使用が進み、設計への曲線形状使用も現実的になるなど、製造分野に変化が訪れています。これは四角形から曲線形状への革命のほんの始まりなのかもしれません。物理的な設計インフラを曲線に変更するのは、気が遠くなるようなことに思えますが、曲線形状を使った設計は実現可能なのでしょうか。 D2SのCEOである藤村晶(ふじむらあき)氏に、未来の設計の形状についてお尋ねすることにしました。D2SはSEMIの技術委員会のひとつであるESD Allianceのメンバーです。 Smith:四角形と曲線形状の違いはなんでしょうか。 藤村氏:製造されたマスクとウェーハ上の形状は、たとえ入力されたCAD形状が四角形だったとしても、どれも曲線的です(図1)。自然界では直角にはまがらないのが常ですから、鋭角に見えるのも、どれだけ目を凝らしているかで変わります。現在の最先端ノードサイズと必要な解像度では、図2の左図のように、ウェーハやマスク上の形状が目に見えて曲線的になっています。 1980年代以降、チップの設計および製造システムでは、座標軸に平行な四角形が使用されてきました。これは、1)トランジスタや配線の設計には四角形で十分であること、2)CPUベースのコンピュータアルゴリズムで計算するには四角形の方がはるかに効率的であること、などの理由によるものです。曲線形状には、ある解像度で区分した線形ポリゴンや、スプラインのような任意の曲線、円や楕円などの特定の曲線パターンがあります。 図1:マスクやウェーハ上の全ての形状は、入力される形状が四角形であっても曲線的になる。 出所:D2S Smith:曲線的なマスクの利点はなんでしょうか。 藤村氏:半導体の製造現場では、マスク上の形状を四角形ではなく、曲線で補正することで、リソグラフィの最適なプロセスウィンドウが得られることが知られています。このテーマについては、数十年にわたって数多くの研究が行われてきました。純粋に曲線的なマスク形状を生成する技術は、光近接効果補正(OPC)の発展形であるインバースリソグラフィ技術(ILT)として知られています。 2020 年 2 月に開催された eBeam Initiative のイベントで、Micron Technology は、曲線的 ILTによって、先進的メモリ設計のプロセスウィンドウが最大で85%改善されたという研究結果を発表しました(図 2 参照)。さらに、D2S社のRyan Pearman氏は、Photomask Japan 2019において、ILTは優れているだけでなく、製造されるマスクのばらつきも低減されるため、完全な曲線化というパラダイムへ向かうことが望ましいという研究結果を発表しました。 図2:Micron Technologyは2020 SPIE Advanced Lithography ConferenceのeBeam Initiativeイベントにおいて、曲線的マスク形状を先進的メモリに使用する利点を説明した。 出所:Micron Technology Smith:利点は何十年も知られているのに、今まで動きがなかったのはなぜでしょう。 藤村氏:いくつかのことが同時に発生したのです。マルチビームマスク描画装置が利用可能になったこと。汎用コンピューティングのGPUアクセラレーションが主流になったこと。そして、ウェーハプロセスウィンドウ(製造のばらつきに対する耐性)が、5nm からさらに3nmに進もうとする先端ノードで問題化していることです。曲線ILTの必要性はこれまでになく高まっており、今後はEUVリソグラフィにも波及するでしょうが、これがマルチビームマスク描画やGPUアクセラレーションの登場で利用可能となったのです。 Smith:曲線的なマスク形状によって、曲線的な設計形状も可能になりますか。 藤村氏:曲線的なマスク形状の採用は、ウェーハ上の曲線形状をターゲットにするための最初のステップです。曲線形状のマスクがなければ、曲線的設計をターゲットにし、これを高い信頼性で製造することは困難です。曲線 ILTは、ピクセル空間で計算され、ウェーハリソグラフィのプロセスウィンドウを最大化するために必要なマスク形状を出力します。曲線ILTの副次的効果として、曲線形状もターゲットとして入力することができます。ILT(おそらくGPUアクセラレーションを使ったILT)は、入力データをラスターデータ(ピクセル画像)に変換して計算するため、ILTアルゴリズム自体は、曲線的なデザインデータの量が増えても、実行時間を含めて影響を受けません。 できあがったマスク形状は、マルチビームマスク描画装置に書き込まれ、これがピクセルを電子ビームで描画します。四角形も曲線形状も描画速度に違いはありません。突然、約30年間ではじめて、曲線設計がチップ製造で何の変りもなく扱えるようになったのです。 Smith:しかし、曲線的な設計は難しいのではないですか。多くの装置は四角い形状を前提にしています。 藤村氏:その通りです。突然、チップのあちこちに曲線的な配線が施されたり、スタンダードセルやメモリーセルに曲線的なイントラコネクトが施されたりすることはないでしょう。自動レイアウト、タイミング解析、カスタムレイアウト、寄生素子の抽出、デザインルールチェックといった、フィジカルデザインのインフラ全体が一斉に曲線デザインに移行する可能性は極めて低いと思います。では、これらの問題の一部を「ホットスポット」ソリューションとして、特定のケースに時間をかけて取り組むことはできないでしょうか。例えば、GPUアクセラレーションによるSPICEシミュレータが登場していますが、GPUアクセラレーションが設計に採用されれば、製造業で起きたような変革が設計でも(徐々に)起きる可能性があります。問題は、それに見合うだけの価値があるかどうかだと思います。 Smith:見合うとお考えですか。 藤村氏:インフラ全体に手間をかける価値があるかどうかはわかりません。様々な理由で「ホット」になっているスポットには、確かなメリットがあります。32ビットのバスを1グリッド分折り曲げるには、曲線形状の方がスペース上ははるかに効率的であることは間違いありません。スタンダードセルやメモリーセルの中には、曲線的な設計の方がうまく詰め込める機能もあります。一般的には、配線がチップサイズ縮小の限界となっていることは言うまでもありませんが、シュリンクの鍵となる重要なエリアは常に存在します。 また、製造上のメリットもあります。一般的に、今回のように30年ぶりに何かが大きく変われば、その不連続性を利用したイノベーションが起こるはずです。そこで、コミュニティの資本力を結集して、どんなことができるのかを考えてみましょう。最初にすべきことは、曲線的な設計が製造可能になるであろうことを、広く知らせることです。 著者について ロバート(ボブ)・スミスは、SEMIの戦略的アソシエーションパートナーのESD Allianceの専務理事です。半導体設計エコシステムで製品およびサービスを提供する企業の国際工業会であるESD Allianceの管理運営を担当しています。
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半導体業界で自分がLGBTQIA+(性的マイノリティ)であることを表明することはどういうことなのか?これは興味深い質問ですが、回答することは容易ではありません。私たちは、身体的性と性自認が一致し、異性愛を前提とした世界に生きているので、LGBTQIA+であることを自認していても、公表をしない場合があります。同僚や上司は、自分の同僚や部下がゲイ、レズビアン、トランスジェンダー、あるいはノンバイナリーであることに、まったく気づいていないかもしれません。有色人種のような他のマイノリティとは異なり、LGBTQIA+の人は、自分のアイデンティティを隠す選択をすることができます。 この記事を執筆するために周りの人に話を聞こうとしたのですが、自分の潜在的な弱みを同僚、あるいはSEMI会員という広範囲の人々にさらけ出すことを望まない人もいるだろうと考え、相手に安心してもらう工夫をしました。私自身がレズビアンであることを伝えることにしたのです。また、公開前に内容を彼らに見てもらうことも伝えました。しかし、LGBTQIA+に対する考え方やアイデンティティが、文化的にも法律的にも大きく進歩しているにもかかわらず、それだけでは不十分なことがすぐにわかりました。2020年のギャラップ調査によると、米国の成人の5.6%がLGBTQIA+であると認識しており、わずか3年前の4.5%から増加しています。また、2004年にはマサチューセッツ州が米国で初めて同性婚を合法化し、2015年には連邦最高裁判所が50州すべてで同性婚を合法化しています。それでもです。 半導体業界は歴史的に保守的です。しかし、時代は変わりつつあります。AMD、Intel、Lam Researchなどの大手企業は、LGBTQIA+を含むダイバーシティ&インクルージョンへ積極的に取り組んでおり、それは良いことだと思います。しかし、それだけでは不十分でしょうか。もしそうでないとしたら、半導体産業の人々がLGBTQIA+であることを安心して公表できる環境づくりのために、SEMI会員はどんな行動を起こせるでしょうか? Lam Researchのインクルージョン&ダイバーシティ部門のグローバルヘッドであるAntoinette Hamilton氏によると、LGBTQIA+の従業員の46%以上が職場では公表をしていないとのことです。このことは、Lam社にはまだやるべきことがあることを示しています。同社のプライド従業員リソースグループ(ERG)が先導し、PFLAGやOut Equalなどの組織とのパートナーシップ、oSTEMなどの組織を通じた採用活動により、Lam Researchはヒューマン・ライツ・キャンペーン財団の企業平等指数で100点を獲得し、LGBTQの平等において最高の職場に選ばれました。 「Lamでは、従業員が本来の自分を発揮できるようにすることの重要性を認識しています」とHamiliton氏は言います。「従業員が自分の価値を認められていると感じることで、一人ひとりが潜在能力を最大限に発揮できると信じています。」 1992年、インテルがJudi Goldstein氏とそのパートナー、そして息子をニュージャージー州からオレゴン州に移住するための費用を負担したとき、ゲイやレズビアンに対する文化的な考え方の主流は、今とは大違いでした。1992年6月のギャラップ調査によると、「成人同士が同意したゲイやレズビアンの関係は合法にすべきだ」と考えているアメリカ人はわずか48%で、44%が「違法にすべきだ」と答えていました。2020年5月のギャラップ社の世論調査では、同性間の関係の合法性を肯定する人が72%、反対する人が24%と、意識が大きく変化しています。 1990年代後半になると、インテルは家庭内パートナーの特典を同性カップルにも拡大しました。「私はパートナー(現在の妻)と息子を登録し、これから先、家族全員がインテルを通して健康保険に加入できることを実感しました」とGoldstein氏は言いました。Goldstein氏は女性同性愛者であると認め、「she/her」のジェンダー代名詞を使っています。「家族を移住させたことと、家族に健康保険を提供したことで、当時他社よりも進んでいたIntelの愛着が深まりました。」 1995年、Goldstein氏はIntelのLGBTQ+社員のための従業員リソースグループであるIGLOBEの最初のメンバーの一人となりました。それ以来、彼女は、Intelのハラスメント防止ポリシーに性自認とその表現が追加されたことや、全米の主要拠点に性別を問わないトイレを設置するなど、Intelでのさらなる進展を目にしてきました。進化はそれだけではありません。 「現在では、世界にIGLOBE支部があり、6月のプライド月間の開催、平等法やその他の法律への会社の支援、トランスジェンダー向け医療給付の規定、2017年のセルフIDの取り組み開始などへ展開しています。」 32年以上前にソフトウェアエンジニアとして入社したGoldstein氏ですが、現在はオープンソース・オーディオおよびセキュリティ・エンジニアリング・チームのディレクターを務め、新技術の開拓やインテルの他のエンジニアの指導に尽力するとともに、LGBTQIA+の従業員のロールモデルとしても活躍しています。現在、5歳の孫娘を持つ祖母となった彼女は、30年以上連れ添った妻と2匹の犬と一緒にオレゴン州で暮らしています。 場所こそが全て 社会的動物である私たち人間は、住む場所に安全で友好的な場所を選ぶ傾向があります。LGBTQIA+の場合は、多様な指向や文化を受け入れやすい都市部に引っ越すことになるかもしれません。 宇宙物理学の修士号を取得したChuck Chung氏は、ある決断を迫られました。宇宙物理学を続けることで住む場所の選択肢を狭めるか、工学博士号を取得して選択肢を広げるかの決断です。 「私がこの選択をした90年代は、今とは状況が大きく違い、どこで働き、どこに住むかによって、自分がどれだけオープンになれるかが全く変わることは分かっていました」とChung氏は言います。「天体物理学の分野でキャリアを積みたいと思っていましたが、都市部で仕事を見つけられる可能性が高いエンジニアの方が現実的な選択であると気づいたのです」。 個人的にも職業的にも、エンジニアという選択はChung氏にとって良いものでした。彼は18年間、サンフランシスコとシリコンバレーに暮らしていますが、ここでは職場でカミングアウトすることはほとんど問題になりません。「例えば、海外にいる同僚が何気ない会話の中で家族の話をするときなど、必要に応じて私生活と仕事を区別しています。しかし、ほとんどの場合、私がゲイであることは問題ではありませんし、私の勤め先も本当に気遣ってくれます。」 Chung氏は自身がパイオニアとなったMEMSと遺伝子配列の研究から、現在のIBMでの次世代マイクロアーキテクチャーの研究まで、エンジニアとして長きにわたり成功を収めています。現在、A.M. Fitzgerald AssociatesのAlissa FitzgeraldとCarolyn Whiteの両博士との共著で、新著「MEMS Product Development」を出版したChung氏のキャリアの頂点は、まだこれからなのかもしれません。彼は夫と2人の子供と一緒に(サンフランシスコの)ベイエリアに暮らしています。 Kunal Garg氏は、半導体業界に入った当初は、同性愛者であることを自分も他人も気づいていなかったため、性自認がキャリア選択に影響を与えることはありませんでした。しかし、以前の会社でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせて数年後、Garg氏は自分が同性愛の男性であることを自覚したのです。その頃は、同性婚に関する全国的な議論が頂点に達していた時期で、職場では居心地の悪い状況が続きました。「同僚や上司の中には、同性婚について公然と議論する人もいましたが、職場にLGBTQIA+の人たちがいることには気づいていないようでした」とGarg氏は言います。「その時、私は思ったのです。このような会話を、この業界に従事する自分の性自認に忠実な私のような人たちが、安心し心地よいと感じられる形でできるようにしたいと。」 家族や友人にカミングアウトした後、特に夫と結婚した後、Garg氏は職場で黙ってはいられなくなりました。「同僚にカミングアウトするには勇気が必要で内なる葛藤もありましたが、私のゲイとしての性自認を、もう隠したり否定したりすることはできませんでした」と彼は言います。「私が夫の話をすると、笑いものにする人もいました。エンジニアであり、インドからの移民であり、男性である同僚の私が、ゲイであり、男性と結婚しているというのは、あまりにも異質であり、滑稽だったのでしょう。幸いなことに、このようなことがあっても、私は職場で自分らしさを保つことができましたし、時が経つにつれ、このような会話はほとんどなくなりました。」 それでもGarg氏は、LGBTQIA+のエンジニアのコミュニティに加わる方法を探し回りました。オースティンにあるAMDへの転職に際し、彼は白紙の状態でスタートしたかったのです。「今のマネージャーからAMDに誘われたとき、私は何気なく、夫がオースティンで新しい仕事を探すことになると話しました。すると、上司は何気なく夫の職業を尋ねてきて、オースティンは私たちが住むのに最適な街だという話になったのです」とGarg氏は言いました。「このような普通の会話ができたことが、AMDへの転職を決める大きな要因となったのです。」 AMDで設計エンジニアとして働き始めて間もなく、Garg氏は自分が探し求めていたLGBTQIA+エンジニアのコミュニティを見つけました。彼はAMDのプライドERGに参加し、現在はそのグループの議長を務めています。「このERGの一員であることは、私にとって個人的なレベルでの変化をもたらし、科学技術への共通の嗜好以外のところでも、仲間のエンジニアや業界の人々とつながることができました。」 チェンジエージェントになる LGBTQIA+の従業員を積極的に受け入れ、多様性を促進している半導体企業がある一方で、多くの企業にとってまだ道のりは遠いでしょう。SEMIとSEMI Foundationは、マイクロエレクトロニクス業界におけるLGBTQIA+の公平性の問題を前進させる上で、ユニークな立場にあります。 SEMI Foundationの事務局長 Shari Lissは次のように述べています。「SEMI Foundationは、従業員と会員企業の利益のために、この業界の多様性、公平性、受容性(DEI)の推進に全力を傾けています。私たちは、人事部、企業リーダー、DEI支持者のための活動計画を策定し、より高いDEIの実践によってLGBTQIA+やその他の過小評価グループ(集団の中で人口比率よりも有意に小さな割合しか持たないグループ)の人々を惹きつけ、維持し、昇進させるための主張をしています。近々に発表を予定しているDEIロードマップとDEIツールキットには、企業がLGBTQIA+を含むすべての人が歓迎されていると感じ、最高の仕事ができるような職場文化を育てるためのツールも含まれています。」 「半導体産業が世界レベルで本当の繫栄をするためには、LGPTQIA+やその他のマイノリティ―の従業員が公平に扱われるように後押しをする必要があります」と、Lissは述べます。「SEMIは特に欧米以外において、業界リーダーに対し生産性を維持するためには、企業の方針にダイバーシティ&インクルージョンを取り入れることがいかに大切か啓蒙し、これを支援することができます。そのためのワークショップやトレーニングは、データに基づいたプログラムにして、企業がLGBTQIA+の従業員をより多く雇用し、すべての従業員の幸福を促進するポリシーを作成するよう働きかけるべきです。」 重要なのは、会社や業界団体のレベルだけではありません。女性や有色人種の間で公平性を高めるためには、一人ひとりがチェンジエージェント(変革の担い手)になることが必要ですが、LGBTQIA+の人々を支援する場合も同じです。 「多くの人がそうであるように、私も性同一性や性的指向に基づく差別をなくす魔法の杖があればと思っていますが、文化が変化するのと同様に、ほとんどの変化は大きな飛躍ではなく小さな一歩の積み重ねです」と、カーネギーメロン大学のMetro21: Smart Cities Instituteの事務局長であるKaren Lightman氏は述べています。「幸いなことに、LGBTQIA+を自認する人々の味方になることで、その小さな一歩を助けることは簡単です。不正を目の当たりにしたら、黙っていてはいけません。あなた自身が声をあげてください。それだけでも、力となるのです。私は小さな一歩として、自己紹介の際にジェンダー代名詞を使うようにしています。デジタル署名にもジェンダー代名詞を入れるようにしました。これだけで、LGBTQIA+を自認する人々の味方であることを簡単に表現することができるのです。」 変化を起こすために協力してください。あなたの声を使ってください。仲間になりましょう。LGBTQIA+の多様性と受容を提唱するよう、あなたの会社に働きかけてください。 Vetrano Communicationsのプリンシパル Maria Vetranoは、SEMI FoundationのPRコンサルタントです。
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2021年第1四半期に過去最高の出荷面積を記録したシリコンウェーハ産業は、市場の需要と平均販売価格が上昇する中、年内にも新工場建設に着手し、この先2年間の生産能力の増強を図る必要があると考えられます。 供給不足に悩まされているのは300mmエピタキシャルウェーハで、この不足によって、今後数四半期の価格は上昇を続けることが予測されます。反対に300mmポリッシュトウェーハは、現在もサプライチェーンに十分な在庫が残っていますが、最近のメモリ需要の急増によってポリッシュトウェーハ市場の回復が進んでおり、余剰在庫も減少するでしょう。メモリメーカーは、軟調であった2019年とパンデミックに襲われた2020年に生産能力をほとんど増強しておらず、これから需要増に対応するための生産能力投資を増やすでしょう。歴史的に見て、メモリの価格動向、特にDRAMの平均販売価格(ASP)は、シリコンウェーハ全体のASPと強い相関関係があります(図1)。 図1:DRAMとシリコンウェーハのASPの前年比成長率の比較 DRAMの価格は2021年第1四半期に底を脱して上昇に転じましたが、NANDフラッシュの価格も同様に、第2四半期には価格の改善が始まることが予測されます。メモリメーカーの最近の決算発表でも、今後数四半期にわたりメモリの旺盛な需要を見込んでおり、DRAMとNANDフラッシュの価格上昇が、2021年後半から2022年にかけてメモリの生産能力拡大につながることが予想されます。300mmポリッシュトウェーハの需要が拡大すると、現在の300mmエピタキシャルウェーハの不足がさらに悪化する可能性があります。 需要は予想以上に早く回復していますが、一部のシリコンウェーハメーカーは、市場のブームに対応できない可能性があります。2019年に始まった価格の下落により、長期契約(LTA)による価格安定が図られたにもかかわらず、多くのウェーハサプライヤーは新規工場建設の投資を行いませんでした。しかし、こうしたメーカーの動きが変わろうとしています。2021年と2022年の半導体ファブ建設投資は、前回のピークである2018年と2019年を上回ると予測されています(図2)。これらの新規ファブは、今後数年間の300mmシリコンウェーハ市場成長の大きな原動力となるでしょう。しかし、既存のシリコンウェーハ工場のクリーンルーム面積に限定されていては、大幅な生産能力拡大の妨げとなるでしょう。つまり、デバイスメーカーの設備投資のペースと、ウェーハメーカーの新規工場建設投資のペースに差があるため、需給バランスが不足に傾く可能性があるということです。 図2:300mm半導体ファブの建設投資予測 ウェーハメーカーが今後2年以内にクリーンルーム面積を拡大しなければ、ウェーハ市場は2017年から2018年のような供給不足に直面するため、複数のウェーハメーカーが、遅くとも年内に、新規工場建設計画を確定するか、建設に着工することになるでしょう。一方、チップメーカー、特にファウンドリやメモリ企業は、2021年に新規建設されるファブに向けた追加長期契約を締結する必要があるでしょう。需要の増加に対応するために、一部のチップメーカーは、規模と技術力の両面で競争力のあるウェーハメーカーと戦略的パートナーシップを結ぶことも考えられます。 短期的には、メモリ需要の増加が見込まれることから、2021年後半に入ると300mmポリッシュトウェーハの需給バランスはタイトになります。しかし、自動車、携帯電話、ネットワーク、GPU、データセンター向けのICや部品の不足が2021年末まで続くと、これらのアプリケーション市場におけるメモリ需要全体が妨げられ、300mmポリッシュトウェーハ市場の成長が鈍化する可能性があります。もう一つのリスクは、SK Hynixが最新の決算発表で示したように、製造装置の納期が長期化する可能性です。ファウンドリとメモリファブの両方で装置の納期が遅れると、今後数四半期に予定されている生産能力拡大も遅れる恐れがあります。 重要な情報として、今年、ウェーハ製造装置への投資額が増加することが予測されています(図3)。いくつかのウェーハメーカーが旧工場への投資の中で、300mmエピタキシャルウェーハの生産能力の拡大を図っているのです。こうした機運は、新規ウェーハ工場建設によるクリーンルーム増床の準備開始にもつながるでしょう。 図3:半導体ファブとウェーハ生産工場の装置投資額の比較 シリコンウェーハ市場の動向の詳細については、SEMIのSilicon Wafer Market Monitorをご参照ください。 Sungho Yoonは、SEMI市場調査統計部門のシニアマネージャーです。
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2021年の第2四半期が進むにつれ、世界はようやく正常に戻りつつあるようです。しかし、私たちの生活やビジネスが昔どおりになるとは思えません。新型コロナウイルス流行前のように出張できるのは、何年も先になるでしょう。オンライン会議が低コストで有効なことが明らかになったため、多くの企業が出張の方針や予算を引き締めることは間違いありません。遠隔医療に懐疑的であった患者や医師も、これを活用するようになり、完璧とはいかなくとも、医療のギャップを埋めています。オンライン学習は基本的に週末に行われていましたが、今後は多くのカリキュラムで採用されるようになるでしょう。 こうした全ての要素が、半導体産業をスーパーサイクルへと駆り立てました。そして、チップ需要は、半導体製造装置の需要増へとつながったのです。半導体製造装置への2020年の投資額は630億ドルを超過し、2021年には700億ドルに達すると予測されています。中古装置市場は、通常その5%~10%を供給します。当社への引き合いは、今年は間違いなく増加しています。これを前提として、今年の残りの期間についての私の考えをお伝えしようと思います。 半導体製造装置の不足は今に始まったことではない 半導体業界では、半導体製造装置の不足がしばらく続いています。装置メーカーにとって、これほどの多様な製品と技術をサポートするのは容易ではありません。半導体メーカーによっては、150mm、200mm、300mmのウェーハ用装置を全て生産に使用しています。ファブでは150mmウェーハに、30年前の技術をいまだに使用している一方、300mmウェーハには最先端の技術を使用しています。また、小口径ウェーハでは、シリコンカーバイド(SiC)のような新しい技術も開発されています。 残念ながら、装置メーカーによっては、150mmや200mmの装置をすでに止めてしまったところもあり、また小口径市場に戻った企業もありますが、それも最近のことです。こうした企業の主力製品は300mm装置ですから、小口径装置の需要を満たす上で、その技術的進歩、価格、生産量のバランスをとる必要があります。サードパーティの中古再生装置サプライヤーもまた、過去数年間に需要の増加を経験しています。当社では、全ての技術レベルにおいて、需要が今後3年~5年にわたり増加すると見ています。これが意味することは、装置価格が新品であれ中古であれ上昇し、納期が長期化するということです。 レガシー装置の高まる需要 私たちの周りにある電子機器の多くは、最先端技術を使ってはいません。例えば、携帯電話、電気自動車、ウェアラブル、モニター、産業用製品に使用されているチップの多くは、いまだに200mm装置を使用して200mmウェーハで製造されています。世界には現在約200の200mmファブが存在しており、全てのウェーハサイズをあわせたチップ生産能力の約25%を担っています。こうしたファブで製造されるのは、アナログデバイス、MEMS製品、パワーIC、RFデバイス、ディスクリートデバイス、センサーです。また、200mm装置の納期も延びています。通常3〜6ヶ月の納期が、1年以上になるケースもあります。 このような状況の中で、半導体製造装置の価格は劇的に上昇しており、これが大きく緩和される見込みはありません。多くの装置メーカーは、2010年までに装置の300mmへの移行をすませています。各社にとって、売上や利益率は300mm装置の方がはるかに大きくなっています。そのため、200mm装置はしばらくの間、サードパーティによる中古市場によって供給がされていました。しかし、2016年には200mm装置の需要が復活し、装置メーカーの多くが供給を再開しました。装置メーカーは、200mmの新たな装置のためのサプライチェーンを構築し、技術をアップグレードし、場合によっては新たに訓練されたエンジニアを雇用するために、ある程度の時間が必要でした。こうしたコストをカバーするために、新しいレガシー装置の価格は今後も上昇していくと思われます。半導体メーカーが高価なレガシー装置を購入できない場合も考えられますから、当社では強固なサードパーティ・エコシステムが今後も継続すると予測しています。 小口径装置需要へのSurplusGlobalの対応 当社の中古装置市場における強みは、リサイクル技術にあります。当社は、プロセスノードのアップグレード、200mmから300mmへの大口径化、製造製品の変更をする企業から出る大量の装置の購入機会をこれからも求めていきます。 当社では年間およそ6,500万ドル~1億ドルの装置を購入し、場合によっては適切な顧客に備えて在庫を保持しています。例えば、メモリー企業がプロセスノードを変更する際には、所有する装置が不要になる可能性があります。これまでは、こうした入れ替えが予測できるスケジュールで発生しました。不要になった装置をスクラップにする代わりに、SurplusGlobalが購入し在庫にするのです。時には1カ月在庫にするだけで、転売できることもあります。しかし多くの場合は、1年以上在庫することになります。当社では装置の電源を入れて状態を確かめ、新しいユーザーのために、装置メーカーやサードパーティに依頼して再生することもあります。 中古市場の装置へのニーズに対応するため、当社では日本およびシンガポールに新しいオフィスを開設し、現地の顧客の近くでより良いサポートを提供しています。最後に、当社の最新・最大の試みとして、半導体製造装置クラスターを2021年7月にオープンすることをお知らせします。詳細についてはこちらをご覧ください。 Emerald GregはSurplusGLOBALの米国担当エグゼクティブ副社長です。
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SEMIでは、「EHSS(Environment, Health, Safety and Sustainability:環境、健康、安全、持続可能性)」と呼ぶコミュニティを組織し、新型コロナウイルス感染拡大(パンデミック)の影響に関する情報を共有するため、隔週でミーティングを開催しています。その中の作業部会「EHSS COVID-19ワーキンググループ」は最近、従業員のワクチン接種のために有給休暇を提供した企業の状況や、職場でのワクチン接種実施の可能性等について、調査報告を明らかにしました。 EHSS COVID-19ワーキンググループの調査によると、職場復帰に関する方針を策定している企業や、フルタイムのオフィス勤務やハイブリッド勤務についての従業員の希望を把握するためにアンケート調査を実施した企業もあります。米国のワクチン接種率が上昇するにつれ、一部のSEMI会員企業は、企業のパンデミック対応を管理する州の職場規則がつぎはぎだらけであることに懸念を示しており、職場復帰スケジュールに間に合うように、州の職場規則を更新することを求めています。 調査では、マスク、保護メガネ、フェイスシールド、手袋、除菌用具、検温装置、その他の個人用保護具(PPE)の調達状況についても確認しました。それによると、これらの点に関しては、安定的に調達できているようであり、物資不足や納期の長期化等の報告はありません。 米国疾病管理予防センター(CDC)は、屋外でのマスク着用のガイドラインを緩和し、完全にワクチンを接種した米国人は、見知らぬ人が大勢いる場合を除いて、もはやマスクで顔を覆う必要はないとしています。CDCによる、ワクチン接種を完了している方が安全にできることのリストは、こちらにあります。 最後に、EHSS COVID-19ワーキンググループのメンバーによると、米国のエレクトロニクス業界では、主にサテライトオフィスの従業員が企業の本社に出向くなど、航空機での出張が徐々に再開されているとのことです。こうした出張は、通常、ビジネスにとって「ミッションクリティカル」なものに限定され、上長(ディレクター以上の職位)の承認が求められます。 2月、SEMIジャパンは、日本から中国、韓国、シンガポール、台湾の顧客拠点へ社員が出張する際に企業がとるべき措置を調査しました。その結果、非常に困難な作業であることが判明しました。 日本の企業は、出張申請が拒否されるリスクを回避するために、いくつもの書類を提出し(わずかな誤りも含まれないように精査して)、複数の政府承認を得る必要がある。 渡航の日時、都市、航空会社は限られています。 PCR検査、およびインターナショナル・メディカル・グループ(IMG)による検査を含む、渡航前、渡航中、および渡航後の複数回にわたる健康診断の実施も義務付けられています。 一部の国では、ホテルでの14日間の検疫滞在が規則となっており、一部のホテルではサービスや食事、その他のアメニティが非常に制限されています。 企業は、従業員の位置情報や健康状態を把握するために、複数のアプリをダウンロードして管理する必要があります。 SEMI EHSS COVID-19ワーキンググループへの参加をご希望の方は、SEMI EHSSチーム([email protected])までご連絡ください。 危機対応や規制から、環境維持や安全基準に至るまで、SEMIのメンバーは教育を通じてマイクロエレクトロニクス業界を発展させるために、重要な問題に共同で取り組んでいます。SEMIの環境・健康・安全・持続性に関する取り組みについては、ウェブサイトをご覧ください。 Michael Ciesinskiはテクノロジーコミュニティ担当副社長、James Amanoは国際スタンダードおよびEHS担当シニアディレクター、Nishita RaoはSEMIのシニアプロダクトマーケティングマネージャーです。
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半導体は高集積化、高機能化、高性能化の歴史の中で、次々と新規の化学物質を採用してきました。1985年には、わずか11種類の元素しか半導体には使用されていませんでしたが、現在では約50種類の元素が使用されています。多様化する半導体材料の中には、毒性や可燃性、あるいは温室効果などの環境への影響等の危険有害性のあるものもあり、例えば2006年の欧州RoHS指令による鉛規制などに対し、業界は代替技術・材料の開発に多大な努力をしてきました。 フッ素系化学物質も規制対象のひとつであり、国連の「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(ストックホルム条約)では、2009年にはペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)が、2019年にはペルフルオロオクタン酸(PFOA)が規制対象となりました。このような有害性のある化学物質を一つ一つ規制するよりも、危険有害性が懸念されるフッ素系化学物質をPFASというグループにまとめ、この定義に当てはまる新たな化学物質も含めて規制しようとする動きがあります。 SEMIでは、PFAS規制に対し半導体製造サプライチェーン全体が速やかに対処すべき業界共通課題として取り組んでおり、日本でも5月12日にSEMIビジネスアップデート「半導体業界に甚大な影響を及ぼす化学物質PFAS規制動向」をオンラインで提供いたしました。本稿は、SEMIジャパン EHSスペシャリスト 嶋田 昇による講演の要旨を、一般の方にもわかりやすくまとめたものです。 PFASとは何か PFASとは、特定の化学物質の名称ではなく、「パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」の頭文字で、現時点で米国化学会のCAS番号がついたものでは4,730種類の化合物のグループの総称となっています。さらに、今後製造・使用される新たな化合物でも、パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物であれば、PFASに含まれることになりますから、4,730化合物に限定されるものではありません。尚、すでに規制対象となっているPFOSやPFOAもこのグループに入ります。 EUはPFASを、少なくとも1つ以上の-CF2-または-CF3の脂肪族分子を含む化合物と定義しています。この条件を満たすものであれば、例えばPTFE(テフロン)のような有機高分子化合物(ポリマー)も対象となります。 PFASの利用範囲は広範な産業で利用されており、半導体では、ノンポリマーのものが、フォトレジストに、ポリマーが半導体製造装置の配管、バルブ、ポンプ等の接液部材、フォトレジスト、反射防止膜に使用されています(図1)。その他にも、ケーブルの被膜に難燃剤として添加されるなど、様々な形で半導体製造サプライチェーンのどこかで含有している可能性があります。 図1 PFASの用途例 PFAS規制の経緯 化学物質規制としては、国連ストックホルム条約の他にも、EUのREACH規制、米国の有害物質規制法(TSCA)、日本の化審法などがありますが、PFASグループの化学物質として最初に規制されたのが、2003年のTSCAによるPFOS規制です。PFOSは長期的な水生生物に対する毒性、発がん性の疑い、生殖毒性が懸念されました。 2019年にはこのPFOSに加えPFOAが、2004年に発効したストックホルム条約の規制対象に追加されました。ストックホルム条約は、毒性、難分解性、生物蓄積性、長距離移動性のある残留性有機汚染物質を地球規模で規制するもので、現在182か国が加盟しています。加盟国には、規制対象化学物質の追加があった場合、通常2年程度で国内法を整備することが求められます。 これに加えて、TSCAはペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)を2007年より規制対象としており、ストックホルム条約でも2021年7月より規制対象に追加することが予定されています。 こうして、フッ素系化合物の規制物質が増加していく中で、2020年に欧州委員会は根本的で広範な化学物質規制戦略を発表しました。発がん性、変異原性または生殖毒性物質(CMR)、難分解性で高蓄積性および毒性を有する物質(PBT)、免疫毒性物質、神経同棲物質、およびその他の危険有害性資料について、グループ化手法を使用し、REACH規制の対象とするというものです。この手法を初めて導入するのがPFASなのです。EUは、PFAS規制を2025年に発効する予定で、現在策定を進めています。また、米国環境保護庁(EPA)も2019年にPFAS行動計画を公表しており、現在はPFAS行動法案の審議が進められています。 図2:各種PFASの規制およびスケジュール 半導体業界・企業に求められる対応 前述のようにPFASは4,700種以上の化学物質のグループであり、半導体の製造にも様々なかたちで使用されていることが分かっています。半導体製造で使用されるPFASは、特定の用途に従って設計されているので、事実上、代替できないものが多く、そうした場合は「必須用途」で代替技術がないことを主張し、規制からの適用除外を求める必要があります。 これまでのPFOS、PFOAの規制に対しても、半導体製造においてそれらの使用が必須であり代替ができない用途については除外規定を獲得し、現在の半導体産業を維持しています。ここで重要となるのは、規制が発効する前の所定の期間内に申請をすることで、発効後では適用が除外されることは非常に困難になります。 しかし、PFASの利用は多くの産業に及んでいるため、企業が直接使用している以外にも、サプライチェーンの川上で使用されていることを、川下のユーザーが知りえていない可能性もあります。PFASは意図的に使用されている場合だけではなく、知らず知らずのうちに不純物として含有される場合もあるでしょう。また、半導体製造装置は数千点から1万点を超える部品から組み立てられており、その全てにPFASが含有されていないことを、サプライチェーンを遡って確認するのは非常に困難です。 サプライチェーンの川上から川下まで全体のPFAS使用に関する情報の共有が、PFAS規制への対応には不可欠となります。 SEMIのPFAS規制への対応活動 SEMIは半導体製造サプライチェーンにおけるPFASの必須用途を擁護するため、次のような活動をしてきました。 2020年7月29日に欧州委員会に対し、PFASの必須用途として半導体関連部品・材料についてREACH 規制管理オプション分析(RMOA)への回答を提出 2020年12月3日に開催された産業界と欧州連合の意思決定者を対象とした英Chemical Watchの会議で、これらの物質の重要な役割と半導体製造サプライチェーンにおける「必須用途」について説明 今後の取り組みに関しては、次の2点が課題となっています。 PFASの適用除外申請に対して、必須用途としての社会的利便性・経済性等が評価されますが、最終規則で必須用途として認められるようアンブレラ効果も活かして、業界が一丸となって所轄官庁へ意見出しをしていく必要があります。 PFAS含有の情報共有が希薄であり、今後はサプライチェーン上の川上の供給者と川下使用者間の情報共有化が重要な課題となります。 こうした活動についてのお問い合わせ、参加希望につきましては、SEMIジャパン EHS部 コリンズ純子([email protected])までお問い合わせください。 今後の化学物質規制に関する情報提供の予定 SEMIジャパンでは6月9日に「欧州SCIPデータベースの最新動向と問題点」と題し、EUの懸念物質のデータベースについて解説をいたします。講師は、SEMIジャパン EHSスペシャリストの嶋田 昇が担当します。詳細はこちらをご覧ください。皆様のご参加をお待ちしております。 SEMIビジネスアップデート 「SEMビジネスアップデート」では、マーケットトレンド、最新技術やアドボカシーなど幅広い分野の専門家を講師にお迎えし、テーマを掘り下げます。なお、ファシリテーターには経済リポーター 大里 希世氏があたります。 詳しくはこちら
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はじめに 電子機器製造の生産を自動化することで、高品質の製品を生産することができますが、人間が介入しないため、特定の故障につながる可能性があります。IIoT(産業用IoT)、ビッグデータ解析、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)などの急速な技術進歩により、多くの製造工程のインテリジェント化が進み、インダストリー4.0も近い将来に実現する可能性がでてきました[1]。スマート製造では、オペレーショナルデータや検査データをベースにしたリアルタイムの意思決定がされ、製造工程全体がひとつのフレームワークに統合されます。この先、未来の製造工程は、デジタルのサイバーフィジカルシステムに転換し、高い効率性を確保すると同時に、あらゆる不確実な状況にプロアクティブに対応します。 表面実装組立ラインでは、IIoT技術によって機器の状態や品質データの収集ができます。従って、AIや機械学習アルゴリズムなどのデータ駆動型ソリューションを利用することで、異常な欠陥を診断し、生産中の予期せぬ変化や状況に対応して、装置パラメータを最適に調整することが可能です。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(通称ビンガムトン大学)の研究チームは、プリント基板組立にスマート製造ソリューションを導入し、歩留まりとスループットを改善するため、表面実装業界のさまざまなパートナーと協力して、AIベースのクローズドループフィードバック制御とパラメータ最適化を基盤とする斬新なフレームワークを開発しました。このAIベースのフレームワークによって、表面実装組立におけるデータ駆動型工程制御のロードマップが示される可能性があります。 表面実装組立における装置のAI化 表面実装組立の一つ一つの工程が、プリント基板製品の品質とスループットに大きく影響をします。とりわけ、はんだ印刷工程は、プリント基板のはんだ不良の60%がこの工程に起因するため、非常に重要となります。プリント基板のパッドのひとつでも、十分な量のはんだペーストが塗布されないと印刷不良となり、プリント基板のリワークとリペアのコストが発生します。ピック&プレース工程は、高額の装置への投資、長い工程時間など、最もコストがかかる部分です。はんだリフロー工程では、リフロー炉の温度他の設定がはんだ接合の品質と信頼性を左右します。このため、はんだペースト検査(SPI)、自動光学検査(AOI)等の複数の検査装置が表面実装組立工程で使用されています。特にAOIは、はんだリフローの前後の部品不良の検出するために、2台の装置が使用される場合があります。 多くの電子部品が小型化し、表面実装の組立工程に起因する不良が増加しています。ビンガムトン大学の電子機器スマート製造研究所(SEML)は、2台のはんだペースト印刷機、2台のチップマウンター、1台のリフロー炉に加え、SPIおよびAOI装置を完備しています。研究チームは、SEMLでこれまで8,000枚以上のプリント基板をテストしました。その結果、物理的特性に基づく数値手法だけでは、小型部品の挙動の説明することには、実際上、限界がある可能性が判明しました。温度や湿度といった未知の環境要因、装置の較正、測定精度、振動などが、表面実装組立の生産の質に影響を与えているかもしれません。しかし、最近の研究では、AIを用いた手法によって、従来のアプローチよりも、製品品質が最大35%改善し、スクラップ率が低減し、半導体製造におけるファブオペレーションを最適化できることを示しています[2]。これは、データ駆動型のインテリジェントな工程制御によって、表面実装組立工程が進化する可能性を示唆しています。 表面実装組立のスマート化の目標は、オフラインとオンラインの双方のシナリオで、設定の最適化を維持することにあります。AIとデータ解析によるソリューションは、全ての表面実装組立工程を、生産前にはオフライン制御で、生産中はオンライン制御で最適化することが可能です。AIベースのクローズドループフィードバック制御の全体図を図2に示します。 表面実装組立AIモジュール はんだ印刷工程では、4つのAIモジュールで構成されています。 印刷アドバイシングモジュール(PAM) 印刷最適化モジュール(POM) 印刷診断モジュール(PDM) メタルマスク洗浄工程制御(CPC) 図2:AIベースのクローズドループフィードバックプラットホームの模式図 図3:カスタマの最も良く知られた印刷パラメータに対するPAMの有効性 PAMの目的は印刷機の重要パラメータの理想的な初期設定を、ハイブリット機械学習とヒューリスティックな最適化によって推奨することです[3]。これには、印刷速度、印刷圧力、セパレーション速度などがあります。ケーススタディとして、研究チームは自動プリント基板テストベッドを使い、最も良く知られた印刷パラメータ設定とPAMによる設定の印刷結果を比較しました。実験結果は、PAMの方が工程能力指数(Cpk)を50%上回ることができることを示しました(図3)。 POMは、印刷品質をモニタリングし、動的な条件に適応するためにオフセット値および工程パラメータを微調整することで、印刷パラメータをリアルタイムに最適化します[4]。実験の結果、POMの印刷パラメータ調整により、オフライン制御と比較してCpk値で30%以上の生産品質向上を達成しました。PDMは、工程品質を向上させ、ダウンタイムを削減するために、潜在的な印刷障害の異常検出と診断を行います[5]。実験結果によると、PDM は、基板サポート、スキージ、ペースト条件などの不適切な印刷機のハードウェア問題を 87% 以上の精度で予測することができました。CPCは、図4に示すように、SPIの情報を使用して、メタルマスク下面の残留物の蓄積レベルを推定し、メタルマスクの適切な洗浄プロファイルとサイクルを決定します[6]。CPCを導入すると、生産ラインで使用されている既知の洗浄パラメータと比較して、印刷品質の安定性が34%、Cpkが10%向上することが期待できます。 図4:メタルマスク洗浄制御のための残留物堆積予測 ピック&プレース工程では、マウンター装置のパラメータの最適化に加えて、マウンター最適化モジュール(MOM)とマウンター診断モジュール(MDM)を装置自動化工程として利用することができます。MOMは、セルフアライメント効果を適切に利用することで、図2に示すように、SPI装置、リフロー前AOI装置、リフロー後AOI装置で収集したデータをもとに、部品のリフロー後の位置を予測して最適な配置を決定します。また、MOMは、生産中にも変化に適応した配置位置を提供します。MOMのフレームワークでは、まず、はんだペーストのオフセット情報に基づいて、複数のダイナミックな配置オプションが生成されます。部品のX方向とY方向の最終的なオフセットは、K近傍法回帰モデルと勾配ブースティング回帰モデルを重ね合わせたハイブリッドAIモデルによって予測され、リフロー後のずれが最小となる最適な配置が、MOMによって特定されます。 実験の結果、MOMは従来のP P配置方法(パッドセンターに部品を配置する方法)と比較して、最終的なずれを18%減少させることができることがわかりました。MDMは、P P装置のオペレーショナルデータとAOI検査データを用いて、P P不良の根本原因にさかのぼり、将来の故障を予防する予知保全手法です。MDMでは、不適切なノズルサイズ、部品の汚染、フィーダーの問題など、欠陥の既知の根本原因を84.50%の精度で特定することができます。これは、AIベースの診断アルゴリズムによって異常が検出された場合、複数の異なる実装不良を自動的に検出・分類できることを意味します。 図5:MOMによる最適な配置 リフロー炉で対策が必要な課題のひとつに、リフロー炉温度の最適な設定を見つけることがあります。これはプリント基板製品の最終的な品質に影響します。はんだペーストメーカーは、はんだペーストの組成の物理的特性に基づいたターゲットプロファイルを通常は提供しますので、これと一致するはんだ接合部の温度が必要となります。それゆえ、リフロー技術者は、接合部の温度プロファイルがターゲットプロファイルと正しく一致するように、マニュアルでリフロー炉の温度を微調整しなければなりません。これには相当のコストと労力が必要です。研究チームは、プリント基板の熱プロファイルとそのレシピに基づいた、自動リフローレシピ最適化モデルを提案しています。 図6:温度レシピと温度プロファイルの最適化 まず、当初のレシピで予測モデル用のデータを収集し、熱プロファイルとレシピの関係を明らかにします。次に、レシピに基づいて熱プロファイルを予測するAIベースのモデルを開発します。従来の手法と異なり、AIベースの手法では、予測された温度と与えられたプロファイルのギャップが最小となる最適なリフロー炉のレシピを生成します。その結果、AIベースの予測モデルでは、1時間以内の処理時間で、与えられたプロファイルの温度曲線に対する適合率が97%になるなど、有望な結果を得ることができました。提案されたモデルは、時間、労力、材料の節約といった大きな利点が他にもあります。こうして、プリント基板のリフロープロセスの自動化度合いが高まります。将来的には、複数の検査装置からのデータを統合して、リフロー最適化プロセスを完全に自動化し、より信頼性の高い結果を得られるようにする予定です。 まとめと結論 小型の電子機器製品は、プリント基板製品の品質を高めるために、表面実装組立工程が複雑化しており、多くの不確実要素があるため、表面実装組立プロセスの理論的解釈が困難になっています。AIと各種検査から収集されたビッグデータを活用することで、表面実装組立工程はインテリジェント化し、動的な環境状況に柔軟に対応できるようになります。表面実装組立工程全体で最適な制御パラメータを維持することで、設計されたスループットを維持しつつ、最終的なプリント基板製品の品質を向上させることができます。自動化されたスマートシステムは、次のレベルのエレクトロニクス製造の道を切り開きます。エッジ/クラウドコンピューティングを通じてエンドユーザーからのデータや情報を活用し、多品種/少量生産の効率を高めてカスタマイズされた製品の製造を高速化します。また、設計の多様性を高め、納期を短縮することができます。 著者について Sang Won Yoon教授は、2019年にSUNY Chancellor's Award for Excellence in Scholarship and Creative Activitiesの受賞者であり、多くの生産性の高い長期的な産業界とのコラボレーションをリードする、優れた功績のある研究者です。Yoon教授は、パデュー大学生産工学部で博士号を取得した後、2010年にニューヨーク州立大学ビンガムトン校のシステム科学・生産工学部のワトソン・スクールの教授に就任しました。 2010年にニューヨーク州立大学ビンガムトン校システム科学・産業工学科ワトソン・スクールの教授に就任しました。 Yoon教授の研究は、統計的学習手法を用いて大規模データセットをより良く理解することに留まらず、最適化、ソフトコンピューティング、シミュレーション、および従来の機械学習アルゴリズムを用いた複雑な理論を活用しています。その結果、ユン教授は130以上の国際的学術誌や会議録に論文を発表しています。また、データサイエンスの学際領域(TAE)のメンバーであり、現在は健康科学のTAEのメンバーとして活躍しています。 著者は本稿の執筆にあたり、以下の方々にご協力いただきました: Daehan Won, [email protected], Assistant professor Jingxi He, [email protected], Ph.D. candidate Shrouq M. Alelaumi, [email protected], Ph.D. candidate Yuanyuan Li, [email protected], Ph.D. candidate Yuqiao Cen, [email protected], Ph.D. candidate 参考文献 [1] Qi, Q., and Tao, F., 2018. Digital twin and big data towards smart manufacturing and industry 4.0: 360 degree comparison. IEEE Access, 6, pp.3585-3593. [2] 10 Ways machine learning is revolutionizing manufacturing in 2019. https://www.forbes.com/sites/louiscolumbus/2019/08/11/10-ways-machine-learning-is-revolutionizing-manufacturing-in-2019/?sh=7cd2e9e22b40. [3] Khader, N. and Yoon, S.W., 2018. Stencil printing process optimization to control solder paste volume transfer efficiency. IEEE Transactions on Components, Packaging and Manufacturing Technology, 8(9), pp.1686-1694. [4] Lu, H., Wang, H., Yoon, S.W. and Won, D., 2019. Real-Time stencil printing optimization using a hybrid multi-layer online sequential extreme learning and evolutionary search approach. IEEE Transactions on Components, Packaging and Manufacturing Technology, 9(12), pp.2490-2498. [5] Alelaumi, S., Wang, H., Lu, H. and Yoon, S.W., 2020. A Predictive Abnormality Detection Model Using Ensemble Learning in Stencil Printing Process. IEEE Transactions on Components, Packaging and Manufacturing Technology, 10(9), pp.1560-1568. [6] Alelaumi, S., Khader, N., He, J., Lam, S. and Yoon, S.W., 2021. Residue buildup predictive modeling for stencil cleaning profile decision-making using recurrent neural network. Robotics and Computer-Integrated Manufacturing, 68, p.102041.
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新型コロナウイルスが引き起こしたパンデミックによって、半導体サプライチェーン企業の多様性が、これまで以上に重要であることが明らかになりました。そのために私たちは、利用可能なすべてのリソースを活用し、あらゆる機会を捕らえる必要があります。2021年は世界的なチップ不足で始まりましたが、従来のサプライチェーンが生産能力の限界に達しているにもかかわらず、生産歩留まりを向上させる競争が止むことはありません。このような技術やサプライチェーンの問題を解決するためには、世界中の英知を結集した総力戦が必要です。残念ながら、半導体サプライチェーンを見渡すと、いかなる理由にせよ、経営陣に多様性のあるサプライヤーは多くありません。これは半導体業界にとってどのような意味を持つのでしょうか。それはまるで、片手を縛られながら仕事することを求められているようなものと言えるでしょう。 サプライヤー・ダイバーシティ サプライヤー・ダイバーシティとは、組織内で利用する製品やサービスの調達において、経営陣に多様性のある企業を受け入れるための戦略です。多様性グループが何であるかは各地域の法律よって異なりますが、多くの場合、女性や国内の少数民族などの過小評価グループ(国の人口比率よりも小さな割合しか含まれていないグループ)が当てはまります。現在、多様性のある企業として認定されるには、企業の所有、運営、管理に携わる人の51%が過小評価グループによって占められる必要があります。サプライヤー・ダイバーシティは、多様性の状況に応じて入札基準を下げたり、発注を決めたりすることではありません。サプライヤー・ダイバーシティが正しく実施されれば、結果として、その企業のアイデアと競争力を高めることになります。 サプライチェーンの多様化により、競争を通じてプロセスを改善するイノベーションの流入にも期待できます。新しい市場に参入する多様性のある企業は、独自の視点を持ち、大規模な多国籍企業が見落としている研究開発の問題に焦点を当てることがしばしばあります。半導体産業に参入することで、地域の中小企業はすでに市場に存在するものから学ぶことで、これまで考えられなかった新たなアイデアを提供することも可能になります。さらにこうした企業は、プロセスのカスタムソリューション提供にも柔軟に対応できるでしょう。 多様なサプライヤーが新たに加わることは、すでに負担がかかっている供給基盤を補う生産能力が追加されることを意味します。もし、現在のサプライヤーが「生産能力に余力が無い」と言っているのであれば、手を広げるべきタイミングかもしれません。 多様性のあるサプライヤーは、「スケールアップが苦手だ」という固定観念は持たないでください。多様性を認定された数十億ドル規模の企業が、既存の半導体サプライチェーンに世界クラスの規模、ソリューション、能力をもたらしている例は数多くあります。単発の試作から大規模な製造まで、多様性のあるサプライヤーは様々なスキルセットを提供できます。 多様性のあるサプライヤーを開拓することは、イノベーションの加速や生産能力拡大に加え、他にも多くの利点があります。 認証された企業群で構成されるサプライチェーンを利用する場合、政府の税制上および契約上の優遇措置があります。 2020年には、多様性や企業の社会的責任(CSR)に対する社会の認識が高まっています。多様性の拡大は、ステークホルダーの期待に沿うものです。 優れた顧客サービスを提供する非上場企業は、上場企業よりも煩雑な手続きが少ない場合があります。 行動を起こしましょう サプライ(チェーン)とデマンド(需要)の間にギャップを感じているのであれば、できることはたくさんあります。もし、あなたの会社が精密製造分野の多様性のある企業であれば、半導体業界への参入をぜひ検討してみてください。半導体産業については、あなたの会社の多様性を認証したNGOから詳しい情報が得られるでしょう(SEMIはこうしたNGOと連絡を取っています)。 もしあなたの会社が、入札プロセスにおいてより広く、より包括的なグローバルネットワークを構築したいと考えているのであれば、他の選択肢もあります。まずは、自社のサプライヤー・ダイバーシティ・プログラムを立ち上げることから始めましょう。既存のサプライチェーンを精査してみると、既にパフォーマンスの高い多様なサプライヤーと取引している可能性もあります。高い基準と公正な入札を維持しながら、多様なサプライヤーを積極的に参加させることで、彼らは競争しながらビジネスを進めていくでしょう。 製造業のオーナーシップの多様性 2018年、SEMIのメンバーであるApplied Materials社、Lam Research社、東京エレクトロン、Intel社は、半導体業界における多様なサプライヤー企業を増やすために活動するスペシャルインタレストグループを結成するアイデアをSEMIに持ちかけました。その結果、SEMI MOD(Manufacturing Ownership Diversity)が設立されました。SEMI MODワーキンググループは、半導体メーカー、OEM供給先、部品メーカー、NGOなどで構成されており、半導体業界におけるサプライヤー・ダイバーシティを定義するための共通基準を策定し、成功事例を提供することを目的としています。すべての企業が歓迎され、ベストを尽くすことが求められていますが、ここでは多様性のあるサプライヤーの機会に焦点を当てたいと思います。早くから参加している事例では、Intel社とApplied Materials社が2019年からサプライチェーンに導入している、経営陣がマイノリティ中心のHeateflex社が挙げられます。 今こそ私たちの業界は、多様性のある企業を含む、あらゆる有能なサプライチェーンパートナーを見つけ、招待し、育成するための積極的なアプローチをとるべきです。私たちは、多様性のある企業にビジネスの機会を開いていることを明確にしなければなりません。サプライチェーンの多様性を高めることは、生産能力の問題を解決するだけでなく、技術革新やコスト削減を促進し、企業が新たな機会を得ることを可能にし、共通の企業価値を持つ企業を結びつけることにもつながります。 私たちのメッセージはシンプルです。「一緒に取り組みましょう」 半導体業界は「ビジネスにオープン」であり、競争上の優位性をもたらす多様性のあるサプライヤーを求めています。MODの詳細については、SEMI Foundationの下にあるSEMI Manufacturing Ownership Diversity (MOD)(https://www.semi.org/en/workforce-development/semi-foundation/manufacturing-ownership-diversity)をご覧ください。
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2020年は人類の歴史に残る年となりましたが、半導体にとってもそうでした。COVID-19によって企業も個人も混乱し、サプライチェーンが分断し、そして各産業がパンデミックによって課せられたニューノーマルへの即応に追われた年でした。それにもかかわらず、半導体製造材料を含めた半導体業界にとっては、驚異的な成長の年となりました。 ここ数年の半導体材料世界市場は継続成長を記録しており、2018年以降の年間市場規模は500億ドルを超過しています。この市場成長はチップ出荷量の増加だけではなく、ウェーハプロセスとパッケージングの両分野における先進プロセスからの要求が背景にあります。2020年の半導体材料世界市場は、前年比5%増の553億ドルに到達し、過去最高記録を更新しました。成長の勢いは、長引くパンデミックをよそに、2021年も衰えないことが予測されています。 増加傾向が続く主たる要因は、世界経済のデジタル化の進展、5G技術の導入、データセンターやクラウドサービスへの旺盛な投資にあります。微細ノードIC、3Dメモリー構造、ヘテロジニアスインテグレーションの製造では製造工程が増え、その結果、ウェーハプロセスおよびパッケージングの材料消費量も増加します。 2020年には、ウェーハプロセス材料の売上高が6.5%上昇し、349億ドルとなりました。中でも成長率が高かったのは、フォトレジストおよびその関連材料、ウェットケミカル、CMP(スラリー及びパッド)でした。 フォトレジストのカテゴリーでは、2020年に22%の伸びを示した先進フォトレジストが最大のシェアを占めました。微細化の弛まぬ探求により先進的リソグラフィー技術の必要性を高まり、そのため、クリティカルレイヤーに対するEUVやマルチパターニングの使用が拡大し、193nmおよび13.5nmのフォトレジストの消費量が増加しました。特にEUVは、最先端のロジックデバイスの量産への導入が急速に進んでおり、2020年末までに85台以上の装置が設置・稼働をしています。 CMPとウェットケミカルは、製造工程の増加に伴う消費量の増加に加え、最先端デバイスの製造に対応した先進的な配合成分のCMPのコスト増が、CMPおよびウェットケミカル市場の拡大に寄与しています。2020年にはCMPが15%、ウェットケミカルが17%の成長率を記録しました。 2020年のウェーハプロセス材料は、スパッタリングターゲットとシリコンを除き、全体として記録的な売り上げとなりました。シリコンウェーハ市場は過去よりサイクル変動があり、通常、需給バランスに敏感に反応します。2020年のシリコンウェーハの出荷量は前年比で5%上昇しましたが、2020年の前半に価格が軟調であったため、売上高は横ばいとなりました。300mmエピウェーハに対する旺盛な需要や、200mmおよび300mmポリッシュトウェーハの成長回復により、2021年のシリコンウェーハ市場は、大きく反発するでしょう。 2020年のパッケージング材料市場は、前年比2.3%増の204億ドルとなりました。材料種別では、有機基板が依然として最大のパッケージング材料分野となります。基板市場の堅調を支えているのは、高性能コンピューティングや5Gの導入です。しかし、現在のタイトな供給状況は、様々なアプリケーションの成長の可能性にマイナス影響を与える可能性があります。 ワイヤボンディング材料は、家電、ラップトップPC等の在宅勤務や在宅学習関連のアプリケーションの後押しにより、2020年に需要が回復しました。OSAT(半導体後工程請負企業)はこうした需要に対応しようとワイヤボンディングの生産能力を増強しており、今後のワイヤボンディング材料の成長を支えることになるでしょう。2020年のリードフレーム市場は前年から横ばいとなりました。これは車載分野を筆頭としたパンデミックによる混乱による前半の不調によるものです。2020年末からの急激な回復に力を得て、車載分野は2021年のリードフレーム市場拡大をけん引するでしょう。その他のセラミックパッケージや封止材等のパッケージング材料も、やはり2020年は低調でしたが、2021年は上昇するでしょう。 地域的には、台湾が10年以上にわたって世界最大の半導体材料消費地となっています。中国は積極的に生産能力を増強した結果、2020年は世界第2位の材料市場となりました。韓国は第3位となりました。台湾の大規模なファウンドリ生産能力と先進パッケージング基盤、中国の大規模な政府投資、韓国の強力なメモリー生産力を考慮すると、各地域とも今後数年間は同様の傾向が予想されます。最近の貿易および地政学上の緊張や輸出規制は、サプライチェーンや法規制の不確実性を助長する可能性がありますが、ハイテク分野は全体的に堅調で長期的な成長が見込まれており、半導体材料への大きな投資に結びつくと考えられます。 いずれにしても、新型コロナウイルスのパンデミックは、多くの企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、それが半導体の消費を劇的に増加させた結果、半導体製造のエコシステム全体に利益をもたらしています。地政学的な貿易摩擦やマクロ経済全体の不確実性を念頭に置きながらも、2020年の半導体材料市場は好調であり、パンデミック後のニューノーマルに適応していく中で、今後も健全な成長が期待されます。 半導体材料の、地域別、分野別の詳細な市場トレンドについては、SEMIの半導体材料市場統計レポート年間購読(MMDS)をご参照ください。 イナ・スクヴォルツォヴァは、SEMIの市場調査統計部門の市場アナリストです。
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