SEMI通信 2017年4月号 Report 2

ブリュッセルレポート: EU規制開発状況と世界の業界への影響

 

2017年には数多くのEU規制が改定または施行され、そのいずれもがSEMI会員の欧州におけるビジネスに影響を及ぼす可能性があります。

対応すべき規制のチェックリストをご用意しました。

 

  • PFOAのEU域内規制 – PFOAとその塩および関連物質がEU REACHで規制されようとしています。材料および装置サプライヤーが主に影響を受けるでしょう。PFOAはデバイス製造のプロセス材料として使用される他、化学物質の容器、チューブ、ガスケット、ダクト、フィルタや、半導体製造装置のコーティングに使用される場合があります。このEU規制は2017年第2四半期から施行されると予測され、SEMIの交渉の結果、半導体製造装置については5年間の猶予が得られています。材料サプライヤーは、使用している化学物質容器に規制される物質が使用されていないことを確認する必要が発生します。半導体製造装置ならびにコンポーネントのサプライヤーも、5年の猶予期間の終了までに、製品が規制物質を含有しないことを確実にする必要があります。デバイスメーカーの場合は、リソグラフィとエッチングの工程が規制案の対象から除外されましたので、この範囲での使用を継続することができます。

 

EUはまた、国連のストックホルム条約によってPFOAを世界的に規制することを提案しています。この提案は現在検討が進められており、SEMIは会員企業が必要とする除外規定を確保するために、ストックホルム条約の意思決定プロセスに関与しています。本件の進捗の詳細については、SEMI Global Updateに掲載された記事をご参照ください。(日本語翻訳のリンク

 

  • EU RoHS 2の改正 – 欧州委員会がEU RoHS指令の改正案を発行しました。これは数年前から予想されていた動きで、いくつかの意図されていなかった影響を回避することが目的です。提案によって指令の適用範囲が明確化され、「新たに適用範囲に加えられた電気電子機器(EEE)」(カテゴリー11 – EEEはRoHS 1では適用範囲に入っていなかった)が、2019年7月22日の適合開始日より前にEU市場に上市されていた場合は、中古市場においての取引、スペアパーツの交換が可能になります。欧州委員会はまた、カテゴリー11 EEEの適用除外について最長5年間の有効期間を設けることとし、業界からの除外の更新申請について委員会が6ヵ月以内に判断することを求める期限を削除することを提案しています。これらの提案は、現在EUの意思決定プロセスにあり、その後にEU立法機関(欧州議会および欧州理事会)による検討と投票が行われます。半導体製造装置は、「大型」適用除外の対象ですので、EU RoHS指令の要求は適用されません(据付型大型産業用工具ならびに大型固定装置の除外)が、SEMIは法文の改正によって会員の不利益が発生しないことを確認するため、このプロセスを監視します。

 

  • REACHの非常に複雑な製品への適用 – 「成形品(article)とは何か?」という議論は、EU REACH規則を「成形品に含まれる物質」に適用する際のガイドラインの改正が終了する見込みの2017年も続くことになりそうです。この改正プロセスの引き金となったのは、2015年9月の欧州司法裁判所の裁定で「成形品」の解釈が変更され、複合的に組み立てられた製品全体ではなく、より大きな製品に組み立てられる個々のコンポーネントおよび物体を意味することが示されました。この結果、EU内の輸入業者やメーカーにかかる負担が増すことになりました。

 

SEMIは、欧州化学品庁がガイダンスを改正するために設置した専門家パートナーグループ(PEG)のメンバーであり、SEMI会員の非常に複雑な製品とグローバルなサプライチェーンの現実を認識した、実践的で実施可能なソリューションを擁護しています。

SEMI会員は協力して、半導体製造装置用のガイダンスを、PEGメンバーの国家機関などの関係者とのコンセンサスに基づいて開発しています。このガイダンスがあれば、SEMI会員企業は、成形品中の物質についてEU REACH規則を遵守するためのデューディリジェンス(精査)プロセスやサプライチェーンとのコミュニケーションの精度を高めることができるでしょう。詳しい情報や活動への参加については、筆者までご連絡ください(gourania@semi.org)。

 

  • EUの紛争鉱物規制法が施行へ – 欧州理事会、欧州議会、欧州委員会は紛争鉱物の責任ある取引を求める新たなEU法について合意に達しました。立法は2017年末までに施行されます。このEUの下では、2021年1月時点で、EUのスズ、タングステン、タンタル、金およびそれらの鉱石の輸入業者の95%がOECDガイダンスに則した精査を求められます。原料輸入業から下流側にある企業には自主的な精査が奨励されますが、新法の施行から2年後に企業の遵守状況が見直され、必要であれば強制的な要求が追加導入されることになります。特に「非財務情報開示指令」の対象となる下流側の大企業(従業員500人以上)が「紛争鉱物」を使用する場合を対象に、紛争鉱物の責任ある調達を奨励するための達成指標が新法遵守のガイダンスで提供されます。

    米国でドッド-フランク法による紛争鉱物規制が今後改正されるとの憶測があった場合も、EU法は、アフリカ大湖沼地域だけではなく、世界のあらゆる紛争地域および高リスク地域で産出される紛争鉱物の責任ある調達とその報告を推進する方針に変更はないことがかなりの確度で予測されます。

 

  • エコデザインは省エネを超えて拡大 – EUエコデザイン指令は、これまで主に省エネに目的が絞られていましたが、今後は、資源効率化、再使用・リサイクルのための情報提供を求めて水平方向へ拡大することが、待望の2016~2019年エコデザインワーキングプランに明記されました。

    最近の例では、電子ディスプレイに対するEUエコデザイン要求事項の提案がありますが、これは他の製品に組み込まれるディスプレイにも影響するものです。提案では、電子ディスプレイ中に水銀あるいはカドミウムが存在する場合は、ロゴを使用してこれらの物質の含有表示をすること、また、上記の物質およびインジウムを含有する全てのコンポーネントの位置情報を示すことを求めています。(インジウムは重要原材料に分類されるので、EUは製品寿命の終りに際して当該物質の回収に力を入れています。)

 

SEMIは、これまでそして現在、上記の全ての問題に対して、会員の声を代表する活動を行っています。欧州におけるこうしたアドボカシー活動は会員によって支えられています。活動に関心のある方は、SEMI Europe(semieurope@semi.org)までご連絡ください。

 

初出 SEMI Global Update 2017年2月21日号