SEMI通信 2017年9月号 Report 1

業界は上向き:サイクルは終わったのか?

 

SEMI ローラ・チャムネス

 

SEMIのプレジデント兼CEO、アジット・マノチャがSEMICON Westで述べたように、今年は半導体産業にいることがエキサイティングに感じられる年です。半導体関連の企業は過去最高の業績となり、半導体デバイスは出荷量も売上高も記録を更新し、製造装置の売上高も同様であることが予測されています(図1)。この成長の原動力となっているのは、車載エレクトロニクス、医療向けエレクトロニクス、携帯電話、産業向けエレクトロニクスなどの需要です。最近の最終製品市場におけるアプリケーションの爆発的成長によって、半導体の消費量は増加の一途をたどり、業界のサイクルは終わったと思わせるものがあります。

2017 pushing All Time Industry Records

 

7月のSEMICON Westで開催されたSEMI/Gartner Bulls & Bears Industry Outlook Symposiumにおいて、米国の金融サービス大手Stifelsのパトリック・ホー氏は、「あなたのお爺さんの時代のサイクルは、もう遠い昔のこととなった」と発言しました。米国コンサルタント会社Semiconductor Advisorsのロバート・マリー氏は「サイクルの形は、需要のけん引役、企業統合、成熟などの要因で変化した」と主張しました。

しかし、Gartnerのボブ・ジョンソン氏は「人々がサイクルは終わり、産業は永遠に成長を続けるだろうと言うとき、産業はかならずそのピークにある」と言い返しました。ジョンソン氏によると、Gartnerは、半導体の売上が今年4000億ドルを上回り、来年は2%成長するものの、2019年は減少に転じると予測しています。今年の市場拡大をけん引しているのはメモリですが、上昇したメモリ価格が今年の第4四半期から下落をはじめ、来年の市場の成長の足を引っ張るということです。2018年が軟化すると、業界の投資計画に悪影響を及ぼすことが予想されます。Gartnerは、来年の設備投資はわずかですが1%減少し、2019年は7%減少すると予測します。

短期的にメモリ価格が下降気味となることに加え、Gartnerは中国の投資額が巨額化するのは、2020年/2021年まで待たなければならないと予測しています。SEMIはその一方で、2018年のファブ装置への支出額が世界全体で9%上昇すると予測しており、その大きな部分は中国によるものと考えています。SEMIによると、中国の設備投資は2019年に世界第1位へと上昇する可能性があります。

需要をけん引するもの、具体的にはIoTについて目を向けると、コネクトされるモノの爆発的拡大によって、私たちの産業が根底から変わることは明白です。本質的に分散しているこうした市場が求めるのは、ニッチなアプリケーションとデバイスであり、こうしたデバイスのアーキテクチャは、ほとんどがMEMSなどの半導体センサとして商品化されます。市場の売上増大は必ず産業の利益につながるのでしょうか。図2に示したデバイス平均価格の下落を見ると、そうとは限らないのです。

 

Global sensors snd Actuators Forecast

 

それでは、業界がIoTから利益を得るにはどうすればよいのでしょうか。Gartnerのサム・ワン氏はIoTがどのように人口知能(AI)を実用化したか、そしてAIがIoTの価値を引き出したのかを検討し、AIについて次のようにコメントしました。

 

  • 先進的なウェーハプロセス技術の需要を喚起する
  • HMC、HBM、eDRAM、ReRAM、PCM、STT-MRAM、メモリスタ
  • Encourages the adoption of HMC, HBM, eDRAM, ReRAM, PCM, STT-MRAM, memristors processing in memory
  • ADCとセンサの統合、またセンサ内でのコンピューティング
  • 2.5D、3D、TSV、SiP技術の利用を促進する
  • EDAでのチップ設計フローの最適化を可能にする
  • 複雑なAIチップをテストする新たなATEテスターの必要性を刺激する
  • スタートアップを促進しM&Aの機会を増やす

 

IoTで使用される半導体デバイスのほとんどは特殊なものではなく、これを製造する小口径ウェーハファブを復興させました。IoTの価値は、データセンターやネットワークなど、インターネットへの接続をサポートするエコシステムによってもたらされます。しかし、Gartnerのウェルナー・ゲルツ氏が指摘したように、新しいプロセッサ技術が採用される可能性があります。彼の主張は、現在IoTで採用されているプロセッサは、本来まったく異なった用途にむけて設計されたものであり、エッジコンピューティングをベースにしたAIに最適化された全く新しいプロセッサのサプライチェーンが誕生する条件はすでに整っているということです。

 

2017年は半導体産業にとって本当に素晴らしい年となるでしょう。デバイスの平均価格は劇的に改善し、デバイスメーカー各社は生産能力拡大のために投資し、サプライヤ企業の株価は上昇しています。2018年も、多くの業界専門家が成長の年になると予測しています。ただし、その成長率については今年よりも低く見ています。IoTが産業界に数えきれないほどのアプリケーションを提供していますが、その影響の全てはまだわかっていません。また、中国の発展についても、当然ながら目を離すことができません。中国の情報については、Window on China(www.semi.org/en/window-on-china)をご覧ください。

 

初出 SEMI Global Update 2017年8月8日号

 


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