SEMI通信 2017年8月号 SEMIスタンダード情報

電子顕微鏡グリッドに関する標準化活動開始

 

7月に開催されたSEMICON West 2017期間中のSEMIスタンダード北米地区Physical Interface & Carriers (PI&C)技術委員会で、電子顕微鏡(EM: Electron Microscopy)ワークフローに関するタスクフォースの設立が正式に承認され、活動が開始されました。

それに呼応して、このタスクフォースをリエゾンするためのタスクフォースが、日本地区でも立ち上げられました。

 

1.背景

LSIが、設計が意図した通りの機能を実現できるかは、材料やデバイスの特性が重要な役割を担っています。長年にわたり、電子、イオン、光子のプローブを基礎にした様々な顕微鏡技術が、この需要を満たしてきました。これらの技術の多くが複雑困難であればあるほど、設置されるのはファブ周辺の分析ラボ内くらいで、ウエハ工程内にはめったにありません。最新技術の装置は、数年前まではたいていR&D部門のようなところにはありましたが、今や工程内で必須とされる装置となっています。

即ち原子スケールでのプロセスや欠陥の管理を要求するデバイス設計がより高度になった結果、半導体製造ラインでの透過型電子顕微鏡(TEM: Transmission Electron Microscopy)の需要は、ますます拡大すると予測されています。この需要に対応するため、TEMは、自動化と使いやすさが求められていますが、現実には、TEMは、いくつかの装置をまたいで人手による一連の作業が行われ、最終データが生成されている状況にあります。

図1

TEMデータをより短時間で作成する主な阻害要因は、システム間手動移送を含む人的操作にあります。しかし、サンプル移送をしっかり行うためのTEM Grid(メッシュ)のスタンダードは存在しないのが現状です。TEM Gridの標準化をすると、完全な自動化が可能となり、加えて、ツール選択がより柔軟になり、作業効率も改善されるなど、業界にとって有益となると考えられます。

TEM Gridを標準化することで、サンプルのシステム間手動移送から次の段階へと移行する第一歩になるでしょう。

 

2.標準化必要性の調査実施

SEMI本部では、当該関連分野の標準化が必要か否か、関係者に意見を聞くため、今年6月に調査を実施しました。調査にご協力いただいたのは、ICメーカーとSEMIスタンダード技術委員会(Physical Interface & Carriers、シリコンウェーハ、3DS-IC)活動関係者です。

この調査で、次のことがわかりました。

  • 回答全件のうち現在のTEMサンプルハンドリングの90%が人手で行われており、さらに回答全件のうち75%が自動化したいと考えている。
  • 回答全件の80%が次の項目の標準化に賛成している。
    • 更なる自動化(80%)とTEM作業の効率化(75%)
    • 一連の作業で使われるツールの互換性(70%)

 

3.北米地区でのタスクフォースの設立

そこで、7月に開催されたSEMICON West 2017期間中のSEMIスタンダード北米地区Physical Interface & Carriers (PI&C)技術委員会で、Electron Microscopy Workflow Task Forceの設立が承認されました。概要は次のとおりです。

(1). Charter: (タスクフォース設立の目的)

半導体デバイスやシリコン他の半導体ウエハの製造や開発を支える走査電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡など電子顕微鏡を含むワークフローのためのスタンダードを開発する。

(2). Scope: (タスクフォースの活動範囲)

  • 次の項目のスタンダードを開発・メンテナンスする。 
    • 半導体デバイス製造ラインでの電子顕微鏡(EM)の操作
    • 電子顕微鏡(EM)の性能調査
    • 電子顕微鏡(EM)のサンプル準備と移送
    • 本件での消耗部品
  • 標準化されていない分野の特定
  • 共通認識のための用語の定義・作成 など

また、完全なウエハからTEM薄膜を作り出す際に使われるイオンビームシステムに焦点をあてたようなツールから、このプロセスの自動化を可能にするEMまで、サンプルを移送するのに使用される、いわゆる試料薄膜の搬送手段の仕様を開発する。

詳細は次のサイトにてご参照ください。

http://downloads.semi.org/web/wstdsbal.nsf/TFOFSNARF!OpenForm&Start=1&Count=500&Expand=18.4.1&Seq=3

(3).現時点での活動参加企業

Thermo Fisher Scientific、Ted Pella など

 

4.日本地区でのタスクフォースの設立

その後すぐ、北米地区でのタスクフォース設立に呼応し、日本地区の関係企業もこの活動に参画するため、Electron Microscopy Workflow Task Forceの活動をリエゾンする目的のタスクフォース「Japan Electron Microscopy Workflow liaison Task Force」の設立が、7月26日に開催された日本地区PI&C技術委員会で、承認されました。

詳細は次のサイトにてご参照ください。

http://downloads.semi.org/web/wstdsbal.nsf/TFOFSNARF!OpenForm&Start=1&Count=500&Expand=18.3.2&Seq=4

現時点での活動参加企業は、(株)日立ハイテクノロジーズ、日本電子(株)です。

日本地区のJapan Electron Microscopy Workflow liaison Task Forceキックオフ会議が、9月に開催予定で日程を調整中です。

 

この活動にご関心のある方は、次までご連絡ください。

SEMIジャパン
スタンダード & EHS 部
柳澤智栄
03-3222-6018(部代表)
jstandards@semi.org