SEMI通信 2016年11月号 Repo 2

日本のMEMS産業動向

※本稿はSEMI会員向けに本年8月に発行されたレポートに基づいて作成されました。SEMI会員企業の方は、過去のレポートにこちらのページからアクセスいただけます。

 

仏Yole Developpementの調査によると、MEMSの世界市場は2014年時点で110億米ドルを上回っており、2020年までには年間200億米ドルに成長、出荷数量は300億個に達すると予想されています。

この成長を牽引しているのがスマートフォン、自動車向けの需要です。スマートフォンでは、ジャイロセンサ、加速度センサ、マイクロフォン、RFスイッチなどの部品がMEMS技術で製造されています。これらの部品はスマートフォンの需要増大に伴い、売上高を大きく伸ばしました。自動車向けではエアバックや運転制御、車体制御に使用される加速度センサやジャイロセンサ、燃料供給やパワートレイン関連でも使用が拡大する圧力センサ等が需要を牽引しています。

Yoleが発表している2015年のMEMSメーカーのランキングを見ると、日本メーカーは、自動車向けセンサを供給するパナソニック、デンソーがかろうじてトップ10に食い込んでいるものの、特にスマートフォン向けでは、旭化成エレクトロニクスの電子コンパス以外には、ほとんど実績を挙げられていないのが現状です。

以下に、日本のMEMS企業の状況をまとめていきます。

 

1) 自動車用MEMS

  • パナソニックのMEMS技術を応用したセンサ事業は、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社が担当しています。主力製品は、MEMS音叉型素子を利用したジャイロセンサ、加速度センサ、圧力センサ、赤外線センサなどですが、さらに医療用にMEMS技術を応用したシステムの開発も進めています。
  • デンソーは自動車用電装システム向けに加速度センサの製造を行っています。具体的には高度なMEMS技術を用い、エアバッグシステム、VSC(車両安定制御システム)、ABS(アンチロックブレーキシステム)のような安全システムに提供しています。また、圧力センサも提供しています。

2) MEMSミラー

  • ソニーはプロジェクタ向けにMEMSミラーを製品化しています。また、大型のレーザープロジェクション方式のディスプレイのコアデバイスとしてMEMS技術を応用した映像素子を提供しています。その他、自社製品だけでなくMEMSのファウンドリサービスも行っています。

3) 電子コンパス

  • 旭化成エレクトロニクス(AKM)は、ホール素子技術を用いた電子コンパス(3軸磁気センサ)を、スマートフォンをはじめとする民生機器に提供する主要メーカーです。
  • 愛知製鋼では電子コンパスのコアMEMSデバイスであるMI素子について、2013年からロームと製造を提携しています。

4) インクジェットプリンタヘッド

  • キヤノンはフォトリソグラフィなど半導体と同じプロセスと独自技術により、シリコンウェーハ上にインク吐出部に必要なヒーター、駆動回路、ノズルを均一、高精度に一体で成形しています。
  • セイコーエプソンは、インクジェットプリンタヘッドに加えて、水晶素材ベースの独自MEMS技術「QMEMS」で実現した小型水晶振動子、水晶発振器を伊那事業所などで製造しています。さらにこの技術を応用した、2mm×2mmという超小型のジャイロセンサを開発、製造しています。

5) MEMSマイクロフォン

  • オムロンは、フローセンサ、非接触温度センサ、圧力センサ、振動センサ、マイクロフォンなど多彩なMEMS製品をラインアップしています。また、MEMSマイクロフォンのコア・テクノロジをSTMicroelectronicsに提供しています。
  • 新日本無線は新事業として2013年8月から量産を開始したMEMSマイクロフォンの強化に力を入れています。国内生産に加えて、台湾ファウンドリのUMCにも同製品の生産を委託しています。

6) 電子部品メーカーもMEMSに注力

  • TDKは圧力センサなどのMEMSデバイスの製造を外部ファウンドリに委託していましたが、電子部品の製造を行っている甲府工場をMEMS製造ラインへの転換を進めています。またフランスのMEMSメーカーであるTronics Microsystemsの買収を2016年7月に発表しました。Tronics Microsystemsは温度センサ、圧力センサ、磁気/TMRベースのセンサ、MEMSの製造を行っています。
  • 村田製作所はMEMSジャイロセンサ/磁気センサを、カーナビ向けに提供しています。また、2011年にフィンランドVTI Technologies Oy(現Murata Electronics Oy)を買収し、3D-MEMS技術を利用した、自動車、医療用電子機器向けの各種センサをラインアップに加えました。同社の加速度センサは自動車の横滑り防止装置などで世界的に高いシェアをもっています。
  • アルプス電気ではジャイロセンサ、気圧センサ、圧力センサなどのMEMSデバイスを製造、提供しています。

7) その他のMEMSメーカー

  • ロームは薄膜圧電(ピエゾ)素子を利用したMEMSデバイスを製造し、同素子を利用して、加速度センサ、ジャイロセンサ、圧力センサなどを提供しています。さらに同素子を利用したMEMSファウンドリ事業を展開しています。2009年には加速度センサメーカーであるKionix社を買収、同社の持つ製品、技術を取得しています。
  • 富士電機は、MEMSファウンドリサービスを提供すると共に、自社製品としてもジャイロセンサなどの開発も進めています。
  • 日立製作所/日立グループでは、車載用途のMEMSエアフローセンサー、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、流体センサなどを製造しています。日立グループでもMEMSファウンドリサービスを提供しています。
  • このほか横河電機なども各種MEMSを製造。三菱電機はエアバッグなどに向けた加速度センサ、RF-MEMSなど、富士通ではRF-MEMS、レーザーMEMSなど、東芝もRF-MEMSなどを製造しています。


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