SEMI通信 2018年3月号 Report 2

米国の対中貿易緊張が最高潮に

 

SEMI パブリックポリシー担当 ジェイ・チットゥーラン

 

トランプ大統領は2016年の選挙戦の公約に従って、これまでのワシントンDCや米国事業者の良識を足蹴にする貿易政策の実施を始めました。高率関税の導入と長年にわたる貿易協定の廃止です。この新たな措置は、半導体産業に波及し、ダメージを与えることになるでしょう。中国は、トランプ政権が自分たちに攻撃の矛先を向けていることを再認識し、両国間の貿易緊張は最高潮に達しています。

トランプ政権は、中国の知的財産権の侵害を不公正な貿易慣行だと批判してきました。2017年8月には、大統領は米通商代表部に対し、中国の貿易慣行によって米国企業が技術移転を不当に強制させられているかどうかを通商法301条に基づいて調査し、貿易政策の検討と勧告をするよう求めました。この調査が進むにつれ、米国が中国に対してすぐにでも関税を設けるだろうことが明らかになってきており、その範囲は家電から玩具にまで及びます。他にも、民生にも軍用にも利用可能な軍民両用物品の貿易規制強化、中国による米国への投資制限、中国市民へのビザ発給数の制限などが検討されています。

半導体サプライチェーンの主要勢力であり、力をさらに増している中国に向けて関税を引き上げることは、米国そして世界経済の頭上にダモクレスの剣を吊るすようなものです。関税によって貿易戦争に火がつくようなことがあれば、イノベーションは抑えられ、半導体産業の長期にわたる健全性は弱体化し、ひいては消費者価格の高騰、生産性の低下、失業や世界規模での経済成長の減速といった大きなマイナスを招きかねません。

最近発表された米国の別の貿易措置もまた、半導体企業の将来に影を投げかける恐れがあります。トランプ政権は通商法232条に基づく2つの調査結果に基づいて、鉄鋼とアルミの過剰生産が米国の安全保障を脅かしていると主張し、カナダとメキシコを除く各国に対し、一連の関税および輸入数量の割り当てを導入しました。関税が実行されるのはまだ先ですが、その見通しだけでも米国の貿易相手国を怒らせることとなりました。中でも注目される国は、韓国、EU、そして中国です。複数の国が報復措置で対抗するとし、また本件を世界貿易機関に提訴した国もあります。

貿易は半導体業界にとって酸素のようなものであり、昨年は30%近く成長し、2030年には1兆ドルになると予測されています。間違いを犯すことはできません。SEMIは知的財産権保護の強化に向けた活動を全面的に支持します。しかし、トランプ政権が次々に公表する貿易政策は、米国の貿易相手国に敵意を抱かせかねません。そのため、本件については、SEMIは米国通商代表部に介入し、半導体産業にとって貿易が最重要であることを強調し、これまで政策立案者に対して行ってきたように貿易障壁が産業の成長に及ぼす影響の理解を求め、半導体の進歩により可能となる新たなテクノロジーが誕生を促す国境を越えた自由な交易を求めます。

会員の代表として、SEMIは世界の市場へのアクセスの増加、そして世界貿易に対する規制の軽減に努めます。貿易情報をもっと知りたい方、SEMIのパブリックポリシー活動に興味のある方は、パブリックポリシーマネージャーのJay Chittooran(jchittooran@semi.org)までご連絡ください。

 

(初出 SEMI Global Update 3月20日号)