SEMI通信 2018年2月号 Report 2

仮想通貨が加速する最先端ファウンドリビジネス

SEMI 市場分析担当シニアマネージャ クラーク・ツェン

 

仮想通貨の市場の発展と導入はまだその黎明期にあるかもしれませんが、半導体産業がブロックチェーン技術に可能性を見出していることは確かです。TSMCの2017年第4四半期決算発表で同社は、仮想通貨関連のビジネスからの需要が2017年後半から拡大しているとコメントしました。この「マイニング*」市場は、TSMCの最先端ビジネスを、アプリケーションプロセッサ、通信チップ、高性能コンピューティングと共にけん引しているのです。

*訳注:仮想通貨の取引を確認するためのブロックチェーンの計算を分担して請け負って、仮想通貨の報酬を得る作業。

 

写真:ビットコインイメージ

2017年の仮想通貨価格の高騰は、仮想通貨マイニングマシンのかつてない需要を創出しました。現在の典型的なマイニングマシンは、ハイエンドのGPUとASICによって構成されています。この突然の需要拡大が、主にゲーム、ビデオ処理、機械学習等に利用されていたGPUチップ/グラフィックカードの供給不足を引き起こしたのです。

ASICマイニングハードウェアは、マイニング市場をここ数年にわたり席巻しています。中国を中心に、ロシア、ヨーロッパ、日本から多数のスタートアップ企業がこの市場に参入し、特定の仮想通貨マイニング専用のASICソリューションを提供しています。現在主流となっているビットコイン用マイニングハードウェアは、14nm/16nmプロセスがベースとなっており、また多数の企業のロードマップは次のASICがさらにシュリンクし、ファウンドリが提供する12nm、10nm、7nmプロセスを利用することを示しています。

最先端プロセスを仮想通貨マインニングに採用する主な要因は2つあります。まず、トータルのマイニングコストです。電気料金が仮想通貨マイニングコストの半分以上を占めており、マイニングマシンの消費電力低減がマイニング業者ならびに投資家の増益のためには欠かせないのです。第二に、マイニング業者の数が増えるにつれ、仮想通貨のマイニングが困難になり、より高性能なハードウェアが必要とされるようになりました。つまり、最先端プロセスを採用するメリットは、性能向上と消費電力削減なのです。マイニング業者間の競争の性質もまた、マイニングハードウェアの置換えサイクルを加速しており、さらに最新のシステムやチップの販売を押し上げています。

爆発的に拡大する仮想通貨マイニング需要は、ファウンドリからOSATへと広がっています。ハイエンドGPUとASICのパッケージングおよびテストビジネスが、2017年後半から特に好調となり、この勢いは今年も続く見込みです。GPUおよびASIC用のフリップチップ実装用パッケージ基板の需要もブームとなっています。ASIC設計サービス、ファウンドリ、OSAT、装置/材料に至るサプライチェーン全体が、仮想通貨マイニングの急成長の恩恵を受けているのです。

仮想通貨の合法性や不安定さという大きなリスクはありますが、基盤となるブロックチェーン技術がビジネスの多分野へと広がることは間違いないでしょう。機械学習/人口知能と共に、ブロックチェーン技術は「マイニング」だけではなく、将来の半導体産業の成長を推進する大きな力となる可能性があります。

ファウンドリやOSATの投資計画については、SEMIのファブデータベース製品をご参照ください。

 

SEMI Global Update 2018年2月13日号