SEMI通信 2017年12月号 Report 1

半導体はWOWの時代に突入

 

SEMI 産業調査統計グループ クリスチャン・ディーゼルドルフ

 

半導体産業は、投資が大きく増加した後、突然の景気下降に襲われることを繰り返してきました。過去最も深刻だった2001年と2009年の景気下降はマクロ経済が大きな原因でしたが、これまでこの産業は1年から2年の投資増加に続いて下降期が始まるのが通例となっていました。しかし今回は、ファブ投資の3年連続成長という、1990年代中期以降では見られなかった「WOW」を達成することになるでしょう。

今回は何が違うのでしょう。モバイル製品、IoT、自動車、ロボット、工場、バーチャルリアリティ(VR)、人口知能(AI)、5G通信といった多様なアプリケーションが、旺盛かつ長期的な成長を約束しているのです。これらの新技術のひとつひとつが導く、前途洋々たる成長の道程へと踏み出す産業界に、大きな「WOW」が響きわたります。

こうした技術にリードされて、半導体産業の2016年から2021年にかけての売上の年平均成長率(CAGR)は6%になると予測されています(2011年から2016年のCAGRは2.3%でした)。半導体産業の売上は、2017年に史上初めて4千億ドルの節目を突破するでしょう。チップの需要は高く、メモリー価格は強気で、競争は激化しています。これらすべてがファブの投資に拍車をかけており、多くの企業がこれまでにない高水準で、新規のファブ建設やファブ装置へ投資をしています。図1をご覧ください。


図1

 

SEMIが12月4日に発行したWorld Fab Forecastレポートの最新版によると、ファブ装置への2017年の支出額は前年比41%増の570億ドルになることが予測されています。2018年には支出額がさらに上昇し、11%増の630億ドルとなる見込みです。2017年と2018年の連続した支出額増大は、2年連続のファブ投資額の記録更新という「WOW」につながります。歴史的な巨大投資の後、2019年にはある程度の減速が見られるでしょう。

Intel、Micron、東芝、GLOBALFOUNDRIESなど、多くの企業が2017年から2018年にかけてファブ投資を増額しましたが、両年の躍進を導くのはこうした企業ではありません。ひとつの企業とひとつの地域がその主役となります。図2をご覧ください。

 

図2
図2

 

2017年の第一の飛躍、大きなWOWは、Samsungを中心とした韓国の投資の急増です。Samsungの2017年のファブ装置支出額は、前年の80億ドルから128%増となる180億ドルへと増える見込みです。一社の年間のファブ投資額としては空前であり、その多くが韓国内で支出されます。SK Hynixもファブ装置への支出額を増やしており、2017年の55億ドルは前年比70%増で、同社としては過去最高の水準となります。SamsungとSK Hynixの投資の多くは韓国内に対するものですが、いくらかは中国ならびにSamsungの米国ファブにも向けられます。両社は2018年も高水準の投資を維持することが予測されています。

第二の飛躍、もうひとつのWOWは、2018年の中国における投資の成長です。中国で建設された多くのファブへの装置搬入が2018年から始まることが予測されます。これまで中国でファブ投資を担っていたのは大半が外国の資本でしたが、2018年は中国国内企業が海外企業とほぼ同額をファブ装置へ投資し、はじめて海外デバイスメーカーの投資と均衡するようになるでしょう。

2013年から2017年にかけて、中国企業による中国国内でのファブ装置への年間支出額は、15億ドルから25億ドルの範囲にありました。この間の海外企業による年間支出額は25億ドルから50億ドルとなります。2018年は、中国企業によるファブ装置への支出額が58億ドルへと増大し、海外企業による支出額の67億ドルに近づくことが予測されます。長江ストレージ、泉州JHICC、ホワリー上海、合肥チャンシンIC等の新興企業の多くが国内で巨大な投資を進めています。

 

建設が進む新規ファブ

2017年から2018年の装置支出額の過去最高額は、需要の増大を反映したものです。この支出は前例のない新規ファブ建設への支出増加に連なるものです。SEMIのWorld Fab Forecastによると、中国が2017年は60億ドル、2018年は66億ドルを支出して新規ファブの建設投資を過去最高水準へと押し上げます。これまで年間に60億ドルの建設投資をした地域はありません。新しいファブが建つということは、ここ数年内にファブ装置への投資が再び増大することを意味します。図3をご覧ください。

 


図3

 

こうした「WOW」の要素を考えれば、半導体産業に楽観的な感触を持つことに十分な理由があるといえるでしょう。減速することがあっても、半導体産業の長期的な成長への見通しに変化はありません。この波を捉え、当面は「WOW」を楽しもうではありませんか。

上記に関する詳細な情報は、12月4日に発行されたWorld Fab Forecastの四半期データで調べることができます。入手方法はこちらを参照してください: www.semi.org/jp/MarketInfo/FabDatabase

 

(初出 SEMI Global Update 2017年12月12日号)