SEMI通信 2017年9月号 Report 2

ビジネスサイクルはまだ生きている!


Consulting Group ウォルト・カスター

 

エレクトロニクスの世界産業全体は、歴史的に激しいビジネスサイクルを経験してきました。このサイクルは次の要因が組み合わされることで発生しています。

  • 経済的変動(好況と不況)
  • 大異変(戦争、気候、地震)
  • 新製品サイクル(特に、PC、携帯電話などの大量のコンシューマ製品)
  • 在庫の増減(販売の増加または減少の見通し)
  • 品不足を見越した二重発注
  • 不十分な管理能力(パニックや、十分な知識に基づかない判断)
  • 地理的変化(高コスト地域から低コスト地域への生産移動)
  • 競争または急激な技術変化によるサプライヤの変化

一般的に、こうした変動はエレクトロニクス製品よりも、その上流の部品や設備投資(半導体製造装置を含む)で振幅が拡大します。

 

経済的変動

図1に、各国の購買担当者景況指数(PMI)の2009年からの変化をまとめました。PMI値は、3ヵ月ごとの前年同期比で示されています。PMI値が1.20の場合は、前年同期比で20%上昇していることになります。HIS Markit(www.markiteconomics.com)は同様のPMI値を主要国について毎月発表しています。

 

図1

PMIはその地域の生産成長率を示す、速報性の高い指標です。ほとんどの主要国の経済成長率は現在プラスとなっていますが、今年の初めから減速傾向にあります。ただし日本は例外となっています。2009年の経済不況と2010年の回復は経済活動を激しく上下動させました。その時以来、世界経済のサイクルは穏やかになっていますが、なくなったわけではありません。

 

半導体製造装置の販売額

図2では、各国の半導体製造装置の販売額を、3ヵ月ごとの成長率で比較しています。販売額の成長率は時間と共に大きく変動しています。現時点で各国の成長率は足並みが揃っていません。

  • 韓国はメモリの旺盛な需要と良好な価格によって、成長が加速しています
  • ヨーロッパは減速しています
  • 日本は拡大しています
  • 中国、台湾、北米は、ほぼゼロ成長となっています

 

図2

グローバルな半導体製造装置の3ヵ月成長率は、6月は34%でしたが、地域によって劇的に差が出ています。

 

グローバル電子機器サプライチェーン

図3は、半導体の世界出荷額、台湾のファウンドリ売上高、半導体製造装置の世界販売額と、グローバルな購買担当者景況指数を比較したものです。直近の状況を見ると、半導体の出荷額は現在も成長が加速しており半導体製造装置はプラスではありますが、減速傾向です。PMIは穏やかな成長を示しており、台湾ファウンドリはほぼゼロ成長となっています。

 

図3

この先を展望すると、半導体市場の成長は最終製品市場の成長率からは逸脱してオーバーヒートし、また現在の地政学的状況(特に北朝鮮)は非常に危ういものであり、経済的なランドスケープを急変させる可能性があると見ています。

当社の結論は、ここ最近のビジネスサイクルは穏やかではありますが、過去のものとなったわけではない、ということです。

 

初出 SEMI Global Update 2017年8月15日号