SEMI通信 2017年7月号 Report 1

コンシューマからインダストリへ、データの爆発的増加がサプライチェーンを襲う

SEMI ポーラ・ドー

 

※7月11-13日にサンフランシスコで開催されたSEMICON Westに関連した記事のご紹介です。記事の内容からSEMICON Westの紹介部分は割愛して翻訳しております。

 

クラウドへの通信量は毎年倍増しており、携帯電話のRFフロントエンドからデータセンターのアーキテクチャにいたるまで、あらゆる場所で新技術の需要が高まっています。「5GはこれまでのGとは違います。これは、コンシューマからインダストリへの変曲点なのです」と、Ericssonの技術戦略担当VP、スリー・コラタラ氏は言います。

 

 

データの需要が指数的に増大し、1日あたりペタバイト単位(なんと1015バイト)になると、
5Gおよびクラウドで全てのデータを移動し、処理し、保存するためには、半導体技術の破壊的な変化が必要になる。出所:Intel

 

Ericssonの調査によると、インターネットに接続されるデバイスは2022年までに290億個に達し、その大半の180億個が、工場、運輸、送電網などのインダストリアルIoTデバイスとなり、民生用の電話やラップトップを上回ります。


インターネットに接続されるデバイスの大半は、間もなく携帯電話やコンピュータではなく、
インダストリアル他のIoTデバイスになる。出所:Ericsson

 

このアプリケーション領域の遷移は、通信性能の要求が著しく多様化することを意味します。遅延時間を5倍改善、データ速度を100倍高速化、データ量を1000倍大容量化といった需要があるでしょう。「3Dビームフォーミングによるエリア拡大、マルチユーザーMIMOによる高速化、そしてGaNやGaAsの大きな役割を利用した次世代技術の開発を、RFフロントエンドから、基地局、クラウドネットワークにいたるまで、システム全体を通して進める必要があります」とコラタラ氏はコメントしました。

 

帯域幅の需要がデータセンターの光配線を推進

データセンターは、データ通信量が毎年倍増する中で、高速コネクティビティへの投資を年平均60%の率で急増させています。「データセンターを出入りする膨大な量のデータは、これを上回る量のデータ通信需要をデータセンター内で発生させます。このため、データセンターに高速光配線が広がり始めましたが、光通信業界はこのようなタイプのデバイスを大量生産したことがないため、業界自体が大きく様変わりしつつあります」と、Intelのシリコンフォトニクス戦略マーケティング・事業開発担当ディレクタのロバート・ブラム氏は言います。データセンターがスイッチ間接続スピードを100ギガビット/秒までアップグレードする今、シリコンフォトニクスの浸透が始まっていると彼は述べ、将来のネットワークのコネクティビティは、高速シリコンフォトニクスがサーバーにいたる全ての配線で見られるようになるだろうと続けました。成熟しつつあるこの技術が、光学とネットワーキングシリコンの統合という可能性の扉を開き、プラグインモジュールは不要となるでしょう。

10年以上前から開発がされているIntelR シリコンフォトニクスは、300mmシリコンウェーハ上にリン化インジウム(InP)エピ材料を接合することでレーザーを組み込むユニークな技術で、通常のCMOS量産プロセスを利用し、高精度なレーザーアライメントは不要です。同一チップ上に波長の異なる複数のレーザーを、光学モジュレータ、マルチプレクサと一緒に組み込むことも可能なため、ウェーハレベルでの製造ならびにテストの効率を上げることができます。最初の製品である4×25Gの平行シングルモードの100Gデバイスが量産中であり、デュプレックス・シングルモード・ファイバーによる100Gデバイスも生産を拡大しているところです。

 

クラウドプロバイダの性能競争によって変化がスピードアップ

「通信帯域幅とクラウド容量に対する需要の急成長は、半導体サプライチェーンの変化スピードが加速することを意味します」と、米調査会社The Linley Groupの首席アナリストであるジャグ・ボラリア氏は述べます。スピード競争に奮闘するクラウドプロバイダ各社は、性能や特長の差別化のために、既成の部品を購入するのではなく、自社のカスタムシリコンの設計をはじめています。新規参入企業もまた、クラウドワークロードの実行を加速するパラレル処理に適したアーキテクチャのチップを提供しています。

「ネットワーク側も同様で、クラウドプロバイダは、2年毎にスピードを飛躍的に向上させるアップグレードを提供していますが、以前なら10年に1度のことでした」とボラリア氏は述べ、サーバーからトップ・オブ・ラックへのスピードが10Gbpsから25G、さらには50Gへ、ラック間は100-200Gbpsへ、データセンター間は400Gbpsへと加速していると指摘しました。クラウドプロバイダは、カスタム化によるソリューションを求め、時には自社特別仕様の製品を製造してもらう場合もあります。新規参入企業もこのスイッチング領域に商機を見出しており、新アーキテクチャに加えて、急速に変化する要求にも対応可能なプログラマブル機能を備えた製品を提供しています。この進化する環境は、スイッチ、ルーター、ネットワークのソフトウェア制御をする組み込みプロセッサのサプライヤにとってもビジネス機会となっています。

データの容量や帯域幅への需要は、従来からの電気通信のアップグレードサイクルを上回るスピードで増大しています。そのため、クラウドプロバイダは性能を維持するために自社でネットワークを構築するようになり、これが長距離光モジュールの需要を急増させています。その結果、電気通信事業者はラストワンマイル(屋内配線への引き込み)にフォーカスすることになり、各社はFTTN(光ファイバーの幹線を分配ノードからは同軸ケーブルを利用する方式)と、固定無線アセスブロードバンドでは5Gを検討しています。

 

(本稿の初出はEE Timesであり、許可を得て転載したものです。)