SEMI通信 2017年6月号 Report3

リソグラフィトレンドの変化とフォトマス市場


SEMI 市場調査統計部門シニア市場アナリストマネージャー ローラ・チャムネス

 

1997年以前は、「マスクメーカーの休日」とも言うべき時代を業界は謳歌していました。ICの加工寸法はリソグラフィの波長よりも大きく、トランジスタの密度はコストの増加もなく倍増していました。この時代が終焉を迎えたのは、248nmリソグラフィが採用された時です。248nmリソグラフィによって、デバイスメーカーは従来の光リソグラフィを延命することができましたが、光近接効果補正(OPC)や位相シフトマスクといった解像度を高める技術の採用が避けられなくなりました。193nmリソグラフィは90nmノードに向けて導入され、業界はデバイスをされに縮小するために、これまで以上に複雑な、液浸、ダブルパターニング、そしてさらなる多重パターニングの採用をすることになりました。こうした技術によって、デバイスメーカーは従来の光リソグラフィの延命を続けましたが、EUV、マスクレス、ナノインプリントといった次世代リソグラフィへのアプローチも消えずに、背後に存在を続けています。

EUVは最も有望視されている次世代リソグラフィであり、記者の目と研究費が集中しています。当初はEUVを65nmノードから投入する計画でしたが、技術課題が依然として解決を見ていません。もっとも重大な障害となっているのは、十分な光源出力、EUVフォトレジスト、マスク製造インフラの整備です。著しい進歩が遂げられた結果、現在ではベータ版のEUV装置がフィールドに存在しています。このEUVの遅延の拡大によって、チップメーカーは193nm液浸リソグラフィを、多重パターニングを使ってサブ10nmまで延命させざるを得なくなりました。光リソグラフィにこうして多額の投資を続けると、EUVの準備が整った後も、チップメーカーはEUVと193nm液浸/多重パターニングを、最先端デバイスでも併用することが予測されます。

EUVの量産導入の遅延はフォトマスク市場に影響を及ぼしています。この4月にSEMIは、2016年の半導体フォトマスク世界市場が過去最高の33.2億ドルに達したと発表しました。また、最先端のフォトマスク製造には大きな資本の投下が必要なため、内製フォトマスクサプライヤのシェアが顕著に高まっていることを指摘しています。

SEMI通信6月号 repo3 図1

 

最先端リソグラフィのコスト増大スピードが、デバイス密度の増大を上回っている中で、ムーアの法則を持続するために業界がどのリソグラフィソリューションを選択するかは、まだわかりません。明白なのは、フォトマスク市場は成熟しており、財源となるチップメーカーに支えられた内製マスクショップが、今後一層重要な役割を担うことになるということです。

SEMIがこのほど発表した「Photomask Characterization Summary」は、2016年のフォトマスク市場について、北米、日本、欧州、台湾、韓国、中国、その他地域の全7地域について、2003年から2018年までの詳細な情報を提供します。また、リソグラフィの発達についても過去数年間についてまとめています。

Photomask Market Characterizationのエグゼクティブサマリは、こちらからダウンロードできます。SEMIの各種マーケットレポートにつきましたは、www.semi.org/jp/Marketinfoをご覧ください。

 

初出 SEMI Global Update 2017年5月9日号