SEMI通信 2017年5月号 SEMIスタンダード情報

SEMI S2 19章「地震保護」改訂

(株)ジェラン EHS事業部 EHSソリューション部 EHS企画課 西口直克(地震対策タスクフォース元リーダー)
 SEMIジャパン スタンダード&EHS コリンズ純子

 

SEMIの安全ガイドライン「半導体製造装置の環境、健康、安全に関するガイドライン」における第19章(地震保護)は、地震発生時の移動、転倒、化学物質の漏洩等により作業者が受ける傷害、環境への悪影響、装置の損傷を最小限に抑えるための指針です。この章に関する改訂は、2017年2月にSEMI S2-1016aとして出版(時限付改訂)されました。

注意)時限付き改訂(Delayed Revision):変更部分が有効になるのが次の(時限付きでない通常の)改訂(改訂年月を示す4桁の数字が変更になる)まで保留とされる。ただし,次の(通常)改訂以前に時限付き改訂部分を実装することは任意である。

 

2011年SEMICON Japan期間中、その年の東日本大震災を受けて、「地震対策とSEMI安全ガイドライン」というワークショップが開催され、SEMIS2/S17/S26地震対策設計およびS12汚染除去を中心とした議論が持たれました。

その結果、その当時のS2の問題点の洗い出すこと、その改善に向けた活動のグループの設立について合意が得られ、翌年2012年12月に第19章(地震保護)改訂のための新規提案書が提出され、承認されました。

2011年当時は、以下がディスカッションのポイントとなりました。

  • S2が参照しているUniform Building Code(UBC)がすでに無効となっていることから、現時点で参照されている規格を基に仮定や計算例をS2のRelated Information(関連情報)の章に取り入れ、計算実例を示すとともに、予測される水平、垂直地震力の値を定めることが必要。

 

その後、上記の通りUBCが無効であることから、現在参照されているASCE 7-10: Minimum Design Loads for Buildings and Other Structuresをはじめ台湾、日本の規格をもとに検討が進められ、地震力の計算時に必要な設計係数が論点となりました。

ユーザーごとに設計を変更することは現実的でないことから、半導体製造装置仕向け先の中で、最も厳しい地震保護設計要求が適用される地域での規格に基づいた水平地震力と垂直地震力を予測される地震力(Anticipated seismic forces)として使用することを検討しましたが、単一地域での規格に基づく地震力の値を使用できないことが判明しました。

半導体製造装置の地震保護に対する水平設計地震力は、現在は、改訂前のSEMI S2第19章(地震保護)における設計地震力を使用してアンカー固定を行っていますが、これまでに日本で発生した異なる3つのタイプの大規模地震(阪神淡路大震災・中越地震・東日本大震災)において、装置転倒や装置起因による災害は発生していません。

検討の結果、改訂前のSEMI S2における水平設計地震力は、これらの大規模地震の結果からみても、有効であることが証明されていることから、改訂時にもこの値を使用することで合意されました。

一方、垂直地震力については、改訂前の設計地震力は当時のタスクフォースにおける検討結果によるものであり、ベースとなるものが不明確であったことから見直しを行いました。そして、これらに基づき、S2本文およびRelated Information(関連情報)の章に記述すべき文言が検討されました。

Doc. 5556(2015年2月バロット投入)、Doc. 5556A(2015年11月バロット投入)、Doc. 5556B(2016年4月バロット投入4月)およびDoc. R5556B(2016年8月バロット投入)の投票プロセスとその後の必要な手続きを経て、2017年2月にS2-1016aとして、英語版(公式版)の出版に至っています。

日本語版の出版については、2017年夏の予定で作業を進めています。

また、毎年恒例のSTEP/S2では、今年は地震保護に関する改訂内容を説明することが検討されています。

 

タスクフォースでは、今後も、これまでのディスカッションや投票プロセスの中で新たに浮彫になったポイント(下記参照)について検討を続けていく予定です。

  • 構造的に独立したモジュールと構造的に依存するモジュールの評価基準(19.1.2、19.1.3の例外)
  • 地震固定箇所の位置表示の明確化(19.4

なお、SEMI S2は現時点では以下が最新版です。

SEMI S2-1016b: Environmental, Health, and Safety Guideline for Semiconductor Manufacturing Equipment

 

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