SEMI通信 2017年5月号 Report 1

2016年を総括する – 半導体装置・材料市場の動向と予測

SEMI シニア市場分析担当マネージャー ローラ・チャムネス

 

半導体市場の動向

世界半導体市場統計(WSTS)によると、2016年の半導体市場は前年比でわずかではありますが1%の成長を遂げ、半導体デバイスの販売額は過去最高を更新しました。材料市場は、半導体市場の成長を反映して、ゆるやかな2%の成長をし、装置市場は堅調な12%の成長となりました。しかし、装置市場は依然として材料市場の規模を下回り、この状況は9年間にわたって変わりません。全体として2016年の数値は、年初に予測されていたよりも好調なものとなりました。

半導体サプライチェーンの年間トレンド一覧
出所: SEMI(装置・材料)、SIA-WSTS(半導体)

 

2016年の日本円の対米ドル為替相場は、特に装置の販売額が上昇した後半に円高で推移しました。日本に本社を置く装置メーカーは半導体サプライチェーンの中で大きな割合を占めますので、円高になると、米ドルで集計する装置の世界市場の成長率を押し上げることになります。下表は円高による影響を日本半導体製造装置協会(SEAJ)のBook-to-Billデータで示したものです。日本円で集計した場合、日本に本社を置く装置メーカーの2016年販売額は5%増となります。同じ数字が米ドルで集計されると、上昇率は15%となります。

 

SEAJ Book-to-Billレポートの日系装置メーカー販売額

SEAJ Book-to-Billレポートの日系装置メーカー販売額一覧
為替レート: 2014 =~106 ¥, 2015 =~121 ¥, 2016 =~110

 

2015年の市場の好不調は、サプライチェーンの中で一定ではありませんでした(下図)。しかし2016年は、SEMIが調査しているどの分野でもプラス成長となっています。また、2015年とは違い、2016年は数量と金額の成長率が前提的に一致傾向にあります。半導体シリコンの出荷面積は3%増加し、3年連続で過去最高面積を更新しましたが、販売額においても1%のプラス成長となっています。同様の傾向が半導体の販売金額と出荷数においても見られ、金額は1%、数量は5%、それぞれ増加しました。円がドルに対して高くなったことが、市場の回復を後押しすることになりました。

 

半導体サプライチェーンの年間トレンド

半導体サプライチェーンの年間トレンド一覧
出所: *SIA-WSTS、他はSEMI

 

半導体製造装置

半導体製造装置の2016年の世界全体の販売額は前年比12%増となる412億ドルでした。これは前回のピークとなった2011年の435億ドルに迫る金額ですが、過去最高だった2000年の477億ドルには及びません。SEMIの装置分類では「その他の前工程装置」(ウェーハ製造装置、マスク/レチクル製造装置、ファブ設備装置等)だけが減少しましたが、ウェーハプロセス処理装置が14%増、組立及びパッケージング装置が20%増、テスト装置が11%増となりました。

 

地域別では、5年連続で台湾が世界最大の市場となりました。TSMCによる16nmの生産能力拡大と10nm製造への移行に向けた投資、Micronによる20nm、18nmの生産能力拡大が市場をけん引しました。韓国は、SamsungとSK Hynixの大型投資によって第2位を堅持し、第3位には30%以上の成長を遂げた中国が入りました。中国の装置市場は、Intel、Samsung、SK Hynix、SMIC、UMC、そして組立・パッケージング会社の旺盛な投資によって推進されています。日本市場は4位となり、僅差で北米が続きます。欧州とその他地域(東南アジア諸国)は、2016年にそれぞれ12%と80%の成長をしました。この2つの地域の成長は、Intelのイスラエルおよびアイルランドのファブに対する投資、Micronによるシンガポールの3D NANDファブに対する投資によるものです。

 

地域別装置市場推移

地域別装置市場推移グラフ
出所: SEMI/SEAJ Worldwide Semiconductor Equipment Market Statistics report

 

半導体材料

SEMIの調べでは、2016年の半導体材料世界市場(ウェーハプロセス材料およびパッケージング材料のトータル)は、前年比2%増の443億ドルとなりました。この内、ウェーハプロセス材料は3%増であり、パッケージング材料は1%増でした。しかし、パッケージング材料からボンディングワイヤを除くと、昨年の成長率は2%に上昇します。ボンディングワイヤの金線から銅線への移行の拡大は、パッケージング材料全体の販売額にマイナス影響を及ぼしています。

 

Worldwide Semiconductor Materials Market

Worldwide Semiconductor Materials Market 円グラフ
出所: SEMI, Materials Market Data Subscription, February 2017

 

地域別では、台湾が7年連続で世界最大の材料市場となりました。これに続くのは、韓国、日本、中国、その他地域、北米、欧州の順です(上図参照)。台湾市場のけん引役となっているのが、アドバンストパッケージング工場とファウンドリです。韓国は2015年に引き続き、第2位の地域市場となりました。昨年、最も成長が著しかったのは中国市場で、日本市場の規模に接近しています。この成長を導いたのは、国内半導体製造の拡大であり、中国が世界のファブ生産能力(ディスクリートを除く)に占める比率は、2015年の13%から今や17%へと拡大しています(下図参照)。中国はまた、パッケージング分野でも強力なポジションを占めており、SEMIの調査では、中国の材料市場の約68%がパッケージング材料となっています。

 

2016年地域別ファブ生産能力(ディスクリートを除く)

2016年地域別ファブ生産能力(ディスクリートを除く) 円グラフ
出所: SEMI World Fab Forecast, February 2017

 

予測

2017年の半導体市場は、大変明るい見通しで、3~11%の成長が予測されます。2017年初めのシリコン出荷面積、マスフローコントローラー、リードフレーム、半導体製造装置の月次データは、いずれも好調なものでした。半導体デバイス市場の成長が予測されることから、SEMIは半導体材料市場は2%成長すると予測しています。半導体製造装置については、現時点で発表されている投資計画や、2016年後半の旺盛な装置受注状況から見て、見通しはやはり明るいと考えられます。現時点では装置市場の成長率を10%台の前半と予測していますので、前回の市場ピークであった2011年を超えますが、2000年の過去最高額には達しないでしょう。
 

2016年は業界がゆるやかな成長局面に入った年となりました。サプライチェーンの全域にわたり、SEMIが調査している全ての分野で、数量ベースでも金額ベースでもプラス成長となりましたが、地域毎の成長率にはバラつきがありました。円高と半導体需要の増加は、半導体デバイス、製造装置、材料のいずれの市場にとってもプラスとなりました。2017年もまた、半導体サプライチェーンの成長の年となることが約束されています。
 

本稿では、SEMIの半導体製造装置市場統計レポート(WWSEMS)および半導体材料市場統計レポート(MMDS)のデータが使用されています。いずれのレポートも、半導体製造装置・材料市場の状況を掌握するためには欠かせないツールとなります。詳細については、SEMIのWebサイト(www.semi.org/jp/marketinfo)をご連下さい。

 

初出 SEMI Global Update 2017年4月18日号