SEMI通信 2017年4月号 Report 3

2017FLEX Japanレポート
FHE産業のエコシステムとコミュニティの発展への大きな一歩

 

写真:スピーカー第1回となるFLEX Japanが、4月11日から12日の2日間、品川のコクヨホールにおいて開催されました。国内外から270名の科学者、技術者、事業開発担当者が詰めかけ、大盛況となった本イベントをレポートします。

日本、米国、オランダ、ノルウェー、中国、韓国から17名の講師が登壇したコンファレンスでは、フレキシブル・エレクトロニクス、IoT、MEMS/センサー、スマート・テキスタイルの4つのセッションを通じて、フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)の可能性が明示されました。

また、併催のテーブルトップ展には次の23社が出展し、FHEの技術と製品を紹介しました: アキレス(株)、SPPテクノロジーズ(株)、JSR(株)、新光電気工業(株)、(株)SCREENホールディングス、住友化学(株)、太陽インキ製造(株)、(株)ディスコ、デュポン(株)、(株)東京精密、東芝ナノアナリシス(株)、東洋紡(株)、東レエンジニアリング(株)、長瀬産業(株)、ハイソル(株)、(株)堀場エステック、日立化成(株)、(株)日立ハイテクノロジーズ、村田機械(株)、メルクパフォーマンスマテリアルズ(株)、やまなし薄膜技術開発、ユアサシステム機器(株)、レーザーテック(株)

コンファレンスのオープニングキーノートには、SEMIのフレキシブル・エレクトロニクスおよびアドバンスト・パッケージング担当CTOのメリッサ・グルーペン-シャマンスキーが登壇し、ウェアラブルなコネクテッド・デバイスとパーソナル・コミュニケーション・デバイスの接続は、エレクトロニクス製品に新たなチャンスを提供すると述べました。SEMIは、FHEが可能性を有する市場は、医療診断・治療、ヘルスケア、エアロスペース、アセットトラッキング、構造モニタリングに広がると考えています。このためのデバイスの製造には、従来からのシリコンICプロセスと印刷技術の優れた点を組み合わせたFHEが適しているからです。

米空軍研究所(AFRL)のマイケル・ダーストック氏からは、フレキシブル・エレクトロニクスおよびフレキシブル・バッテリーについて発表がされました。米空軍の関心事は、パイロットのパフォーマンスをモニタリングすることであり、そのために、軽量かつ、短期間に製造可能で、衝撃や振動に対して堅牢なFHEを研究開発しています。ダーストック氏は、複合電極を印刷することによって可能になったプリンテッド・バッテリーについて述べました。AFRLの発表に続いて、産業技術総合研究所(AIST)の鎌田俊英氏が登壇し、FHEはIoTデバイスを実現する技術であると論じました。

写真:講演

FHE技術のアプリケーションについて、複数の発表がされました。オランダHolst Centerのヘレン・カルダン氏は、同センターがFHEの研究開発でフォーカスしているのは、自動車産業、特殊スマートサーフェス、医療デバイス産業であり、医療デバイスのアプリケーションが成功するためには、電力、快適性、正確性の課題をクリアした使い捨てパッチが鍵となる要素だと述べました。

Sumsungの研究員、ヨン・ウク・リー氏は、プリンテッド・エレクトロニクスの研究開発は、バイオセンサーとフレキシブルIoTデバイスを対象としていると発表しました。韓国の国家プロジェクト「Printed Electronics Total Solutions Program」では、プリンテッドOLEDによる照明、デジタル・サイネージ、アクティブ・ウォールの開発が進められており、このために1億2600万ドルの資金と31名のメンバーが投入されていることが説明されました。

この後、テーブルトップ展示会場においてレセプションが開かれ、2017FLEX Japanの初日は終了となりました。

2日目のコンファレンスは、MEMSとスマート・テキスタイルの2つのセッションが提供されました。合計9名の講師により、IoTやそれを可能にする次世代技術に大きな影響を及ぼすこれらの技術に対する広範囲な検討が展開されました。

写真:レセプション東北大学 マイクロシステム融合研究開発センターの江刺正喜教授は、MEMSの発展の概要について講演し、これまでのボトルネックは、いつも製造効率を高めるための判断にあったと述べました。MEMSには多くの開発がなされており、そのペースは今も続いています。MEMSは急速に複雑化しましたが、深堀り反応性イオンエッチング(RIE)によって、生産能力と生産性は飛躍的に高まったのです。

ゴアテックジャパン 日本研究所のアシスタントディレクター林 育菁(リン・ユーチン)氏は、コンシューマー・エレクトロニクス製品分野での競争を抑制し、標準化が速やかに進行して、製品が各社のソフトウェアシステムに閉じ込められなくなることを期待しています。また、MEMSセンサーがいかに人間の感覚を模倣しているかを例示し、MEMSセンサーをベースにしたコンシューマー・エレクトロニクスが、今後のIoTの発展に大きく寄与すると述べました。

産業技術総合研究所(AIST)の小林健氏と大日本印刷の鈴木浩介氏は、橋梁のひずみ分布をモニタリングするセンサーシートの共同開発について発表をしました。Si/FPC基板上にMEMS技術により極薄化したPZT/Siひずみセンサーを集積したシートは、公共建造物の厳しい建築基準が求める膨大なテストサイクルを通過しました。大日本印刷はビッグデータの収集と操作を利用した同社のビジネスモデルは、この新製品に資本を投下する上で、良いポジションにあると認識しています。

写真:テーブルトップ出展企業2日目午後のコンファレンスは、スマート・テキスタイルの様々な検討が発表されました。コーネル大学のジュアン・ハインストローザ教授は、ALD成膜技術によるコットン表面への金属膜形成と、膜種による色の違いによるデザイン性を論じ、東京工業大学の松本英俊教授は、ナノファイバーを利用した発電・蓄電デバイスの高機能化による自立電源を内蔵したデバイスの可能性を論じました。また、ゴールドウィンテクニカルセンターの中村研二氏は、ウェアラブル・デバイスのスポーツ分野での応用について発表をしました。最後に、今回発表が予定されながら来日ができなかったGoogleに代わって、信州大学 木村睦教授より、彼らが進めているジャカード織によるエレクトロニクス回路の形成が解説されました。

SEMIのFlexTechグループ プレジデント マイケル・シジンスキーは、今回の開催を振り返って次のように述べました。「第一回のFLEX Japanは、素晴らしい講演と製品展示会場での打ち解けたネットワーキングにより、大成功を収めることができました。FLEX JapanはFHE産業の発展、そして日本の強力な業界と海外のプレイヤーの協力関係の推進において、極めて重要な役割を果たしていくでしょう。」

 

FLEX Japan ならびに日本におけるFHEの活動については、SEMIジャパン 沢田信之までお問合せ下さい。
nsawada@semi.org