SEMI通信 2017年3月号 SEMIスタンダード情報


コンポーネントに起因する欠陥を測定するためのベースラインの確立

 

SEMI ストラテジック・イニシアチブ担当シニアマネージャー ポール・トリオ

 

半導体コンポーネント、計測機器およびサブシステム(SCIS)グループは、高度なプロセスノードでの大量生産(HVM)に必要な要求を満たすため、プロセスに不可欠なコンポーネントの課題に取り組むことを目的としたSEMIの特定業界グループです。 SEMIの特定業界グル―プ(SIG)です。このグループでは、SEMI会員企業と連携し、SEMI会員の事業開発の重要なテーマについて議論し、解決に向けた提案などを行います。このようなSEMIのコミュニティはSEMI会員企業に 協調的なプラットフォームや電子産業界の意見を会員に提供、つまり、拡大する電子産業サプライチェーンの情報をSEMI会員が手に入れることを可能にし、また、コミュニティのグローバルにビジネスの可能性を高めることができるようSEMIスタンダードの入手を可能にします。

7nm以下のプロセスでの大量生産のためには、サプライチェーンを緊急に整える必要があります。これまで、さまざまなコンポーネントやサブコンポーネントの欠陥の測定方法や、その結果の報告方法に関する業界の調整は行われてきませんでした。コンポーネントやサブコンポーネントの誘発する欠陥に関連して歩留低下がおこる場合には、特に憂慮すべきことです。また、現在のコンポーネントおよびサブコンポーネントの欠陥トレーサビリティのためには、特にディフェクティビティ(欠陥)、センシティビティ(感度)、メトロロジー(方法論)に関する確立した高度な技術がありません。そして、いくつかのスタンダードは存在するものの、先端プロセスの制御要件に対処するにはその内容が不十分である場合が多いといえます。業界が先端ノードでパーティクルと欠陥の制限値を決定するためには、まず、さまざまなプロセスクリティカルなコンポーネントの現在の寄与を理解する必要があります。したがって、SCISの活動はこれらのクリティカルコンポーネントによって生ずる欠陥を測定するためのベースラインを作り上げることに焦点を当てています。

SCISは、戦略的および戦術的レベルでの欠陥の問題に対応すべく組織構成されています。
主要な関係者からのインプットに基づき、サブチームのいくつかは、欠陥測定のフレームワーク(骨子)の開発とともに、コンポ―ネントの特性を検討することを目的として設立されました。



また、デバイスメーカとファウンダリ、主要装置メーカで構成されるSCIS運営委員会(Steering Committee)はサブチーム(Working Group)にガイダンスを提供し、持ち上がった課題解決、活動メンバー補強を支援しています。SCISエクゼクティブ・アドバイザーズ(Executive Advisors)は活動全体の監視機能やロードマップ機能を提供し、関係者の活動を支援します。

各SCISワーキンググループは、さまざまなアプリケーションやプロセス領域への適用性を考慮しながら、コンポーネントの重要なパラメータ、特に欠陥の原因となるパラメータを特定してきました。シールズ・グループ(Seals Group)は現在、シールの真空保持能力を考慮したパーフルオロエラストマー(FFKM)の漏れ率測定方法に取り組んでいます。 この測定方法の開発が完了後には、厳しい化学物質にさらされた際のシールの性能を考慮した耐薬品性に焦点を当てて活動する予定です。

 

 

ドライポンプグループ(Dry Pump Group)は、振動やノイズを測定する方法を開発しています。振動やノイズは潜在的にポンプの健康状態に起因する可能性があり、結果的にコンポーネントの故障を招く恐れがあります。ポンプの振動とノイズ測定に関する作業の次は漏れ率と排気圧に取り組む予定です。

RFグループ(RF Group)は、RFジェネレータに関連する欠陥パラメータに焦点を当てて活動するグループです。このグループは、現在、半導体装置に使用されているRFジェネレータの過渡応答の測定に焦点を当てています。SEMIスタンダードSEMI E135はすでにRFジェネレータの過渡応答試験方法を提供しています。 しかし、SCISのRFグループは、現状に対処するためにSEMI E135を大幅に改訂する必要があり、RFジェネレータのワーストケースレスポンスタイムの決定には、このような検討が役立つと判断しました。SEMI E135の改訂作業完了後は、極度に変調したプラズマ負荷の電力測定に焦点を当てることになっています。現在のところ、これについての業界仕様は存在しないため、新たなスタンダードが策定されることになります。

SCISのサブチーム(Working Group)において、コンポーネントの欠陥パラメータを測定するための枠組み(骨子)が完成すると、それぞれ、正式なスタンダード開発のためにSEMIスタンダードプログラムのプロセスへその提案が送られます。そして提案文書はSEMIスタンダードプロセスを経て標準化されるため、SEMIスタンダード策定プロセスにおいても、SCISメンバーは引き続き文書開発をサポートします。

SEMIスタンダード化におけるSCISの最初の成果の一つが、「SEMI F51 - 弾性シーリング技術のガイド」の全面改訂です。2015年11月に発行されたこの改訂版では、浸出性、灰分、アウトガス、および総有機物含有量の測定方法が確立されました。SCISにおけるシールズ・グループ(Seals Group)は、2016年にシールのクリーニング、包装、取り扱いに焦点をおいた検討をしました。寸法の正確さと仕様を保証するためのプロセス制御は確立されていますが、製造後のシールのクリーニング、パッケージ化、および取り扱いに関する業界標準はありません。これらの最終製造工程で業界内の調整が整っていないことはしばしばウェーハ製造プロセスに汚染物質が混入する結果となります。シールズ・グループは、2016年末までに、シールのクリーニングとパッケージングに関する提案を作り、SEMI Standards組織、北米(NA)地区の設備技術委員会下にあるF51改訂タスクフォースにその活動を移しました。2017年の初めのバロット投票期間(サイクル1)に提案文書(SEMIドラフト文書6105:Revision to F51-1115, Guide for Elastometric Sealing Technology)が提出され、投票の結果は2017年北米地区春の委員会で審議されることになっています。

SCISにおけるガス供給グループ(Gas Delivery Working Group)は、ガス供給システムのための炭化水素汚染だけでなく、金属汚染を測定するために提案された試験方法の開発を行いました。この提案は、湿った表面上に存在する金属元素を抽出して測定する方法を確立することです。このグループは、炭化水素化合物についても同様のアプローチをとりました。彼らの狙いは、これらの試験方法を、外付けおよび組込みコンポーネントやシステムに使えるようにし、それによって、同様のアプローチをより広く利用できるようにすることでした。ガス供給コンポーネントのパーティクル限界値はまだ明確に定義されていませんが、これらの試験方法は現状のレベルでのベースライン確立に役立ちます。これらの提案については、SEMI Standards組織、北米(NA)地区の設備技術委員会下にあるガス供給システム構成材料タスクフォースにその具体的活動を移しました。

すでにSCISにおけるいくつかの活動は完了していますが、同時にそれぞれの提案が正式なSEMIスタンダード策定プロセスにかかっている間に、やるべき仕事はまだまだ沢山あります。例えば、液体供給グループ(Liquid Delivery Group)は、パーティクル、金属、イオンの欠陥源に取り組んでいます。この取り組みは、北米地区の設備委員会においてSEMIF57: Specification for Polymer Materials and Components Used in Ultrapure Water and Liquid Chemical Distribution Systems(フィルタの追加)およびSEMIF104: Particle Test Method Guide for Evaluation of Components used in Ultrapure Wager and Liquid Chemical Distribution System (動的粒子試験)規格の改訂に取り組んでいる高純度ポリマー材料およびコンポーネントタスクフォースとの間で調整がなされています。高性能フィルタのパーティクル排出に関するSEMI C79の改訂も予想されていますが、それは、また別のタスクフォースによって実施されます。

クリティカル・チャンバー・コンポーネント・グループ(Critical Chamber Components Group)は、シャワーヘッドプロセスの特性評価と品質確認のための測定手法を開発しています。 これらには、穴の直径/粗さ、平坦度、ならびに粒子および金属の計測が含まれます。バルブ・グループ(Valves Group)は、ウェーハトランスファーバルブの動作上の清浄度およびその他の重要な領域を検討しています。また、欠陥トレーサビリティグループ(Defect Traceability Group)は、クラウドベースのアプリケーションを介して容易にアクセスできるコンプライアンス情報で重要な特性を制御することを保証する情報交換モデル提案について調整を行っています。

サブチーム(Working Group)は、毎週2回のペースで電話会議を持っており、四半期ごとにすべてのSCISグループが集まってface-to-face会議を開催しています。次回のface-to-face会議は、ニューヨーク州サラトガスプリングスのSEMI先進半導体製造会議(ASMC)と合わせて5月18日に予定されています。SEMICON West 2017においてもface-to-face会議が予定されています。

SCISへの参加は全てのSEMI会員企業に開かれています。現在、SCISに参加している企業は以下の通りです。

Advanced Energy、Applied Materials、Applied Materials、Applied Seals、AP Tech、ASM、ASML、Busch Vacuum、CKD、DuPont、Ebara、Edwards、Entegris、Festo、GLOBALFOUNDRIES、Greene Tweed、Horiba、Intel、Kashiyama、KLA-Tencor、Lam Research、Micron、Pall、Parker、PPE、Tokyo Electron、Valqua America、VAT

本活動は北米地区の活動ですが、ご興味のある方はSEMIジャパンのコリンズまでご連絡ください。(jcollins@semi.org
スタンダード活動に参加を希望される方は以下までと連絡下さい。(jstandards@semi.org

(初出 Standards Watch 2017, Volume 12, Issue 1)