SEMI通信 2016年9月号 Report 2

200mm以下の半導体製造は健在

ASML 成熟製品販売担当ビジネスマネージャー テッド・シェーファー

 

SEMIの中古装置スペシャルインタレストグループが主催したSEMICON Westでの「≤ 200mm manufacturing」セッションのハイライトを、ASMLのテッド・シェーファーが報告します。200mm以下の半導体製造の最新トレンドを手に入れるこの次の機会は、SEMICON Europaでの「Secondary Equipment Tech Arena」セッションとなります。

7月13日(水)のセミナーとパネルディスカッションでは、200mm装置市場の寿命と成長が議論され、デバイスメーカー、装置メーカー、サードパーティーがこの市場の成長によって提示された課題に対して意見を述べました。

Entrepixのティム・トービンがセミナーの口火を切りました。EntrepixはCMP等のプロセス装置の大手サードパーティー再生業者です。ティムは、その後の講演者やパネリストも繰り返し指摘した事実、つまり、私たちが日常使用するデバイスの中にあるチップの大半は、300mmの最先端製造を必要としないことを述べました。例えば、スマートフォンやタブレットに使われているチップの60~80%は200mmあるいはそれ以下の小口径ウェーハで製造されています。こうしたウェーハを加工する成熟装置は、中古市場から、Entrepixのような再生業者を通して購入されることがしばしばです。

次の登壇者、SEMIのクリスチャン・ディーゼルドルフは、「200mmファブ: 動向、ステータス、予測」というタイトルの講演で200mm市場の動向の全体を見渡しました。IoTの成長にけん引されて、200mmの新しいファブが建造され、また既存のファブも生産能力を拡張していることが語られました。なかでも重要な情報だったのは、200mmウェーハの生産能力について。2006年にピークとなったのち減少を続けましたが、2019年には再び2006年の水準である月産540万枚まで回復するということです。ここで誰もが疑問に思うのは、この水準を過ぎた先は、デバイスメーカーはどこから装置を入手できるのかということです。

Yoleのピエリック・グーギャンは、採用が増えているGaN、サファイア、シリコンカーバイドなどの変わった基板について語りました。こうした基板は、低消費電力、高いスイッチング速度、耐熱性など、数々の性能上の利点をもたらします。しかし、12インチまでの大口径化はまだできず、8インチさえできていない場合があります。そのため、こうした基板の採用が増えるということも、150mm/200mmの装置需要を拡大しているのです。

こうした200mmの議論と相対する見解として、Texas Instrumentsのカレン・エルツは従来200mmウェーハで製造していたアナログチップの300mmへの方向転換について講演をし、大好評を博しました。TIの成功のカギとなったのは、中古装置が売りに出ているときは、躊躇することなく機会をものにするということです。TIは最先端での競争をしていません。彼らの最小プロセスは130nmであることから、成熟し、かつ安価な中古装置が常に第一の選択肢となっているのです。実際に、余剰な300mm装置は、同様の200mm装置よりも入手が簡単で、安価な場合があるのです。TIは倒産した300mmファブであるQimonda Dresden、Qimonda Richmond、PROMOS、さらにはPowerchipの余剰装置をフルに活用して、低コストで大量の300mm装置を手にしました。TIはその後も余剰装置が市場にでると購入を続けました。時には、実際に必要となる時期より先立って購入することもありました。その結果、RFABのアナログ生産の92%は中古の300mm装置で行われるようになったのです。

Surplus Globalのエメラルド・グレイグは、セミナーの司会を務めると共に、余剰装置について深く調査された「欠くことのできない中古市場」の講演も行いました。Surplus Globalは、余剰装置取引業者最大手のひとつであり、中古装置市場を非常に詳しく調べています。エメラルドは、年間の中古装置の供給量がいかに劇的に下降しているかを論じました。2009年には6,000台が市場に出ましたが、その後は減少を続け、昨年は1,000台に満たない台数しかありませんでした。今年はわずか600台です。

AMATのジョン・カミングスは、装置メーカーとして最初の200mm市場に対する見解を述べました。ジョンは、自動車、ウェアラブル、モバイル分野に向けたチップの70%が200mm以下の小口径ウェーハで製造されていることを示しました。これらは成長している分野です。例えば、BMW i3には545個という驚くべき数のチップが使われていますが、その内の484個は200mm以下のウェーハで製造されています。AMATは、この需要に対応するだけの十分な量の装置は中古市場に流通していないことを報告しました。そのため、同社は新品の200mm装置を顧客に提供し、顧客が所有する装置のアップグレードや再生を増やしています。AMATはまた、自社の200mm成熟装置に向けた新機能を提供し、有用性の向上や延命化を図っているとのことです。 

最後に、装置メーカーによるパネルディスカッションが行われ、東京エレクトロンのケビン・チェイシー、LAMのデービッド・サックス、荏原製作所のハンス・ピーターズ、ASMLのテッド・シェーファーが壇上に並びました。装置メーカーは口々に、セミナーの講演で共通して語られた、200mm需要は旺盛であり、コアとなる装置の入手は困難になっているということを繰り返しました。東京エレクトロンはさらに、中国がこの市場で台頭しており、装置メーカーは中国の200mm製品ラインを当初予定したよりも長期間にわたってサポートしなければならなくなったとコメントしました。LAMは200mmのコア装置の供給がかなり不足しているため、価格が300mmの同様のコア装置を上回るまで高騰していると述べました。これに対応して装置の供給を増やすために、LAMは新しい200mm装置を製造しています。荏原製作所は市場に現れるコア装置は、望ましくない第一世代の装置であるか、状態がかなり悪い場合が多いと補足しました。この状況は装置メーカーに、こうした装置を製造に耐える状態にするという、新たな役割を与えたと言います。ASMLは、大手ユーザーの多くが200mm生産を、PAS 5500プラットホームからTWINSCANプラットホームに切り替えることを検討していると述べました。300mm用に開発されたTWINSCANは、200mm用の5500シリーズよりも、一般的に大型で高価ですが、15年にわたる生産性と信頼性向上の結果、200mmにおいても5500よりも優れたコスト・オブ・オーナーシップを提供できる場合が発生しているためです。さらに、200mm生産にTWINSCANを導入したカスタマーは、必要に応じて容易に300mmにアップグレードが可能になります。

まとめとして、活発な意見交換が行われ、講演者とパネリストは復活した200mm市場を検証し、数が限られた高価な200mmコア装置をめぐる共通課題の解決案を出し合いました。

ぜひ、SEMICON Europaで10月26日に開催するSecondary Equipment & Applicationセッションにご参加して、最新の動向を聞くとともに、レガシー装置の持続的な供給を実現するために、装置メーカー、デバイスメーカー、中古市場関係者が協力できる領域について議論をしてください。

(初出 SEMI Global Update 2016年9月13日号)

 


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