SEMI通信 2016年5月号 Repo 3

2015年を振り返る ― 半導体製造装置・材料市場とその展望 

SEMI シニアマーケットアナリストマネージャー Lara Chamness 

半導体市場の動向  

WSTS(世界半導体市場統計)によると、2015年の半導体の売上高は、実質的に前年から横ばいでした。材料市場は、デバイス市場の状況を反映した動きとなりましたが、半導体製造装置市場は3%の縮小をしました。半導体製造装置市場は、材料市場よりも一般的には注目度が高いのですが、実は、過去8年間にわたり材料市場は装置市場を上回るサイズとなっています。 

出所: WSTS (Semiconductor)、SEMI/SEAJ (Equipment)、SEMI (Materials)

2013年から大幅な円安が進行しました。日系企業は半導体サプライチェーンにおいて大きな部分を占めていますから、この円安によって、米ドルで集計される世界統計の成長が覆い隠される影響が出ています。日本半導体製造装置協会(SEAJ)のBook-to-Billデータに見られる米ドルでの統計への円安影響を下表に示します。もし円ベースで統計を集計していれば、2015年の日系サプライヤの売上高は3%のプラス成長をしていたのです。しかし、円をドルに換算すると、この日系サプライヤの売上高は10%のマイナス成長となってしまいます。

SEAJ Book-to-Billレポートに基づく日系サプライヤの半導体製造装置Billingデータ

為替レート: 2013年 = 約\98、2014年 = 約\106、2015年 = 約\121

世界全体のトレンドを見ると、2015年は出荷量と売上高が乖離した年として特徴づけることができるでしょう。半導体用シリコンウェーハの出荷面積は、この年、3%増加して2年連続して過去最高を更新しました。しかし売上高はその逆に6%減の72億ドルとなり、2007年に記録された121億ドルには遠く及びませんでした(下表参照)。この表には半導体製造装置市場のデータも記載していますが、2015%は2%の減少となりました。デバイスは出荷量が3%増加してはいますが、売上高は横ばいです。2015年のシリコンウェーハの売上高減少は、円安による値下げ圧力の高まりが影響が強く影響したと考えられます。

産業別年次市場動向

半導体製造装置

半導体製造装置の2015年世界市場の売上高は365億ドルでした。前年比では2%減で、2012年と同水準になります。SEMIのデータでは、装置の大分類の中では、「その他前工程装置」(ウェーハ製造装置、マスク/レチクル製造装置、搬送などファブ設備装置が含まれます)だけが16%成長しただけで、他は「ウェーハプロセス処理装置」が2%減、「組み立ておよびパッケージング装置」が18%減、「テスト装置」が6%減となりました。

台湾は、TSMCが2015年に設備投資を大幅に削減したものの、首位市場に留まりました。DRAMメーカーのテクノロジーアップグレードは年間を通じて旺盛で、主要メーカーは20nmプロセスへと移行しました。韓国の半導体製造装置市場は、北米市場を抜いて、世界2位となる75億ドルでした。日本は、Flash Alliance、Micron、Sonyの投資によって、3位市場へと躍進しました。中国市場は12%の成長を見せたものの、5位へとポジションを下げる結果となりました。Samsung、SK Hynix、SMIC、ならびに後工程企業による力強い投資が中国の装置市場をけん引しています。欧州市場は18%減、その他地域市場は9%減でした。その他地域は、シンガポール、マレーシア、フィリピンなどの東南アジア諸国と世界の小規模な地域市場を合計したものです。

Source: SEAJ/SEMI

半導体材料

SEMIのデータによると、前工程と後工程を合わせた2015年の半導体材料世界市場は、前年から1%減少し434億ドルとなりました。分野別では、ウェーハプロセス(前工程)材料が1%減、パッケージング(後工程)材料が2%減でした。しかし、ボンディングワイヤを除外すると、パッケージング材料は前年比で横ばいとなります。ボンディングワイヤの金から銅への切り替えが、パッケージング材料全体の売上高を引き下げているためです。

出所: SEMI Materials Market Data Subscription

台湾は6年連続で材料市場のトップに君臨しており、韓国、日本、中国、その他地域、北米、欧州の順で各地域が続きます(上図参照)。台湾の材料市場をけん引しているのは、OSATのアドバンストパッケージングとファウンドリです。韓国は昨年はじめて日本を抜いて2位市場となりました。一方の日本は大きなファブ生産能力を保有しており(下図参照)、また従来からの国内パッケージング工程も維持しています。中国の材料市場は、同国が国内半導体製造の拡大に注力した結果、東南アジアを主とするその他地域をはじめて抜きました。中国市場のおよそ70%は、SEMIの調査によるとパッケージング材料です。

出所: SEMI World Fab Forecast, February 2016

市場展望

2016年の半導体デバイス市場について、ほとんどのアナリストが一桁台の下の成長率を予測しています。今年初めの、シリコン出荷量、MFC、リードフレーム、半導体製造装置のデータも、低成長を示しています。デバイス市場の成長予測を背景に、SEMIは材料市場が今年は2%成長すると予測しています。半導体製造装置市場についても、現在までの設備投資発表を前提とすると、あまり楽観的ではなく、今年はわずかな成長となると現時点では見ています。その結果、半導体製造装置市場は、2014年と同水準になるでしょう。

2015年の成長率は、分野や地域でばらつきがあり、業界は小休止をした格好です。円安と半導体の需要後退が、半導体製造装置・材料市場にマイナス影響となりました。2016年が、半導体サプライチェーンにとって、昨年に引き続きばらつきのある年となるのは確実で、わずかですがプラス成長が期待されます。

本稿のデータの多くはSEMIの半導体製造装置世界統計(WWSEMS)、材料市場世界統計(MMDS)、World Fab Forecastレポートに基づいています。詳細についてはそれぞれのリンクをご覧ください。

(初出 SEMI Global Update 2016年4月19日号)