SEMI通信 2016年5月号 Repo 2

ネオンの需給トレンド 2016年最新情報

Linx Consulting Mike Corbett、Mark Thirsk、Andy Tuan

2015年後半に、当社では半導体産業に対しネオンの供給が不足していると警告しました(SEMI通信の翻訳記事は11月号に掲載)。その記事は次の文章で結ばれています。

「予想されるのは、ネオンの供給問題は1年から2年は続くということです。契約価格の決定、リサイクル、消費削減が状況を緩和するでしょうが、当面、ユーザーは信頼できるサプライヤを確保するために注意深い計画の必要があるでしょう。」

この時点から、業界ではその全体においても、またネオンの需給バランスにおいても、大きな変化がありました。さらなる不足を予測する者もいますが、業界の重要な決定は事実に基づいて判断されるべきです。以下は、業界がレーザー混合について十分な情報に基づく決定をするための、当社の最新の見通しです。

 

何が変わったのか?

ネオンはほとんどが半導体用途で消費されますが、最近の需要を押し上げているのは、最新型液晶ディスプレイである低温ポリシリコン(LTPS)バックプレーンのアニール用のエキシマレーザーガスです。LTPSはモバイル用の小型TFT液晶ディスプレイにも、またAMOLEDテレビ用にも使用されます。LTPSディスプレイは、中国、日本、韓国、台湾で生産されています。LTPSの需要が高まったのはここ2~4年のことで、それ以来、ネオンのエレクトロニクス需要に影響を及ぼすようになりました。BOEによると、LTPS用の市場は年間20%近い成長が予測されます。次の表にネオンのアプリケーション別需要の割合を示します。半導体用途が大半ですが、液晶ディスプレイもかなりの割合となっています。

 

 

ネオン不足が始まった2015年はじめには、半導体産業の生産量はシリコンウェーハの加工面積(MSI: 100万平方インチ)では記録的なペースでした。実際に、2015年第1四半期のシリコン需要は2,637MSIという最高量を記録し、同年第2四半期はさらに記録を塗り替える2,702MSIを記録しました。しかし、この時を頂点に、シリコンウェーハの面積需要は8%ほど減少し、これによって需給のアンバランスは緩和されました。2015年のシリコンウェーハ面積需要の推移を下図に示します。

 

出所: SEMI
 

2016年のシリコンウェーハの面積需要は、緩やかな上昇が予測され、2017年と2018年は、力強い成長が見込まれます。


 

出所: Linx ConsultingおよびHilltop Economics, Econometric Semiconductor Forecast
 

このシリコン需要の成長は、最先端デバイスのマルチパターニングの必要性と相まって、248nm、193nmドライ、193nm液浸のすべてのエキシマレーザーフォトレジストの需要を押し上げるでしょう。しかし、EUVが量産に採用されるようになれば(おそらくは7nmで限定的な使用、5nmで大幅な使用)、エキシマレジストの需要は抑制され、そのレーザーガス需要も低減するでしょう。


 

出所: Linx Consulting, Advanced Patterning Materials Report
 

Cymer(ASMLの子会社)およびギガフォトンのフォトリソグラフィー用レーザー光源大手2社は、それぞれの顧客である半導体メーカーに向けて、ガス消費量を削減する技術的オプションを提供しています。またCymerは回収/リサイクルのオプションも開発しました。これらにより、レーザーガスの高効率な使用が可能となりました。こうした努力の結果、新技術がすべて採用された場合、年間7,500万リットルのレーザーガスが節減可能となります。

さらに、タイトな供給状況はネオンのバリューチェーンからの投資拡大にも結び付きました。複数の大手産業ガス企業がネオン製品の増産に投資をし、また新たなネオンの供給ソースの開発も進んでいます。新たなソースの全てが、完全に認定を受けて量産用の製品を供給しているわけではありませんが、ネオンの供給量はプラス方向で推移しています。

 

展望

生産量の多くが依然としてウクライナに集中しているため、ネオンのサプライチェーンは脆弱なままであり、紛争が激化すると供給に問題が生じるでしょう。また、LTPSバックプレーンディスプレイのアニール用途の需要増加は、半導体用の需要と競合するようになるでしょう。しかし、供給拡大と利用効率向上が、現在の半導体でのネオン不足を緩和しており、当社は供給不足や割り当てを予測していません。

業界でのネオン供給は、供給量を需要に合わせようとしているため、今後数年間はタイトになることが予測されます。また、ネオン価格が2015年のスポット価格の急上昇以前の水準に戻ることもないでしょう。供給不足以前の水準の2倍程度の高価格が中期的には継続するでしょう。

材料についての豊富な情報が、9月20-21日に開催されるSEMI Strategic Materials Conferenceで入手いただけます。

 

Linx Consultingについて

Linx Consultingは、電子材料のコンサルティング会社のリーダーとして、世界中の半導体やエレクトロニクス業界、金融業界に、独自の情報を、薄膜プロセスと機能材料について提供しています。詳しくは、当社のWebサイト www.linx-consulting.com をご覧ください。

(初出 SEMI Global Update 2016年4月5日号)