SEMI通信 2013年3月号 記事2
日本半導体の再興を目指すSEMI Forum Japan(SFJ)2013のプログラム

SEMI Forum Japanプログラム委員長
ローム株式会社 研究開発本部
パワーエレクトロニクス研究開発ユニット
ユニットリーダー
中村孝
ここ数年、日本の半導体産業を報じるニュースというと、ネガティブなものばかりですが、客観的にみて日本が半導体大国であることは揺るぎない事実です。日本の半導体生産能力は、トータルすると世界最大であり、最新の300mmウェーハファブだけをとっても、世界第3位の生産能力となっています。
SEMIのアナリストによると、日本の2012年のシリコンウェーハの消費量は、台湾とほぼ同面積とのことであり、また、半導体製造装置の設備投資も、フラッシュメモリ、パワー半導体、高輝度LED、CMOSセンサといった分野では、各社の積極的な動向が報じられています。
日本半導体の再興は、こうした得意分野をどんどん伸ばしながら、新たな成長点を見いだせるかにかかっていると言えるでしょう。その意味で、私たち技術者が担う責任は重大です。新しいビジネスにつながる技術は何か、その解を求めるためのヒントを提供することこそ、SFJのテーマだと考えています。
そのため、SFJは従来から、その時々の新しい技術トピックスをできるだけ取り入れた、幅広いプログラム構成を心がけており、また、SEMI以外の半導体関連協会にも独自のセミナーをSFJのフレームワークの中で実施いただくことで、多彩な情報発信を実現しています。本稿では、来る5月21日・22日に開催されるSFJ 2013のプログラムの中から、SEMIが主催するセミナーについて、その特徴をご紹介します。
基調講演は東京エレクトロンの東会長
日本の半導体製造装置産業は、世界市場で約35%のシェアを占め、確固たるポジションを築いていますが、東京エレクトロンにおいて今日の成長をリードしてこられた東哲郎氏に、ご自身の経営的観点から日本の半導体産業の持続的成長についてご提言いただきます。半導体業界にとどまらず、広く日本の製造産業が耳を傾けるべきこの基調講演は、無料で聴講いただけます。
エネルギー問題の鍵を握る半導体技術
日本における社会的、経済的、政治的な最重要課題となったエネルギー問題にソリューションを提供するのはエレクトロニクス技術であり、それを可能にするのは半導体だといえるでしょう。PV・再生可能エネルギーセミナーでは、関西電力からスマートグリッドについて、積水化学工業からスマートハウスについて解説いただき、その上で、次世代パワーデバイス、シリコン太陽電池について検討していきます。
デジタルヘルスケア市場の将来像を探る
これからの半導体市場として注目されるもうひとつの市場が医療です。デジタルヘルスケアセミナーでは、広く関係者のビジョンを聞き、その将来像を描き出します。国立医療機関、通信事業会社によるサービスの展望、日経BP記者による解説、そして、バイオセンサ・システム、MEMS、フレキシブル有機デバイスの技術開発状況をシェアし、議論を深めていきます。
ワイドギャップ・パワーデバイスを多角的に解説
ワイドギャップ化合物半導体を使ったパワーデバイスの実用化がついに始まりました。パワーデバイスセミナーでは、まず、日経エレクトロニクス記者から技術および市場動向の解説を、トヨタ自動車から応用技術とデバイスへの期待を講演いただきます。その後SiC、GaNを中心にそのウェーハ技術、デバイス技術、モジュール技術について、最前線で開発に従事する技術者に報告いただきます。研究が進む酸化ガリウムデバイスについても報告されます。
注目の圧電MEMSの最前線を報告
MEMSセミナーの午後のセッションでは、圧電材料の薄膜化を契機にさまざまな開発が進む圧電MEMSデバイスを取り上げます。圧電MEMSの応用は、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、インクジェットプリンタヘッド、マイクロポンプ、マイクロミラーなど多岐にわたります。PZT薄膜やポリ乳酸積層フィルムの材料技術、また各種センサ・アクチュエータの開発動向について、第一線研究者からの報告をお聞きください。
プリンテッドエレクトロニクスがもたらす未来
印刷技術による表示素子などの電子デバイス製造は、従来のプロセス技術に置き換わる破壊的技術となる可能性をもっています。最先端の研究成果を、大学、材料メーカー、そしてフルカラー電子ペーパー、有機TFTフレキシブルディスプレイのデバイスメーカー研究者から発表いただき、その将来性を探っていきます。
実用化がせまるTSV 3次元実装
実用化にあと一歩まで近づくTSV 3次元実装技術の最新状況を、TSV/3次元積層化技術セミナーでお届けします。野村証券アナリストによる市場分析、TSV埋め込み技術を中心とした要素技術、そしてイメージセンサ、モバイル機器、FPGAへの応用、さらにSEMIで進めているTSV技術標準化の進捗について、それぞれの分野の第一線研究者、技術者に発表いただき、TSV 3次元実装技術の総合的な理解を参加者と共有します。
普及が加速するLED照明の最新動向
省エネのキーデバイスとして、一般家庭へも急速な浸透が進むLED照明ですが、高効率、高品質、低コスト化の国際的な競争が繰り広げられています。LED/OLEDセミナーでは、その市場動向をIHSグローバルのアナリストに解説いただき、LCDパネルメーカーからはバックライト技術について、大学からは高効率化の研究状況、デバイスメーカーからは赤色GaNの開発状況を講演いただき、LED照明のこれからの動向を明らかにします。
微細化・高集積化技術の最前線
いわゆる「More than Moore」技術と同時に、微細化・高集積化による進化を延長する「More Moore」技術についても、2つのセミナーを実施します。先端CMOSデバイス・プロセスセミナーでは、MRAM、FinFET、グラフェンFET、DDCトランジスタの開発状況と関連する製造装置技術をカバーします。また、リソグラフィーセミナーでは、ポストEUVの候補であるナノインプリント、誘導自己組織化をとりあげ、またEUVリソグラフィーの要素技術として、露光機、光源、レジストの開発状況を報告します。
誌面の都合でご紹介しきれませんが、その他にも、半導体プロセス技術の教育セミナー、マーケットセミナーが、5月21日~22日の両日に繰り広げられます。
SFJは、関西の半導体技術者がSEMIと共に、手作りで企画運営する半導体技術交流イベントです。参加者は関西周辺に限定されず、例年、関東を含め日本全国からお集まりいただいています。ぜひ、私たちの発信する情報とメッセージを、ひとりでも多くの技術者に受けとめていただき、日本半導体再興への小さな足がかりとなれればと願っております。
SEMI Forum Japan 2013の詳細はこちらSEMIのWEBサイトのページで、4月1日よりご案内の予定です。
