SEMI通信 2013年2月号 記事1

欧州3次元TSVサミットレポート:  3次元TSVは十分な発達段階に到達

3D InCites フランソワーズ・フォン・トラップ

私は今、フランス、グルノーブル市のMINATECキャンパスでSEMI Europeが主催したEuropean 3D TSV Summit(欧州3次元TSVサミット)からの帰路にあります。まったくもって目まぐるしい数日間でした。半導体製造業界によるTSVのあらゆることについての最新の進歩が実証された質の高い講演、そして業界の仲間や友人との素晴らしい食事でぎゅうぎゅうの日程が終わり、我が家へ向かう機中ではじめて、記事を書く時間ができました(ただし、Twitterにつぶやいた断片的な情報は別です。ここで読むことができます: #3DTSVSummit)。

SEMI Europeが、20ヶ国から集まった300名の参加者に対し、3次元TSVの製品化にヨーロッパが真剣に取り組んでいることを、全力をつくして示したことに疑いの余地はありません。そしてそれをフランス人お得意の優雅さをもって行いました。昼休みにワインを飲み、夕食は何百年もの歴史のある女子修道院で催される祝賀ディナーで、フォアグラのテリーヌや、プティフィレ肉のステーキ、ポテトのガレット、そしてアルザス産チーズ盛り合わせを楽しむなんて、他のどこでできるでしょうか?

European 3D TSV Summit image 1ひとつ明らかなことは、私たちが初期の概念実証発表の時代から、長足の進歩を遂げたということです。私が新興技術の取材を始めた2005年から、それらが成熟する2013年までの間、多くのことをこのようなカンファレンスから学んだことに感謝します。そしてその年月の中で、私は3次元TSVが発達を遂げるのを目撃することになったのです。

imecのエリック・ベンヌ氏が火曜日の講演で述べたように、初期には数多くのプロセスソリューションの開発が進められていました。量産アプリケーションも現れてきた今は、どの技術がどんな場合に最適かが明らかになり、その分野は大きく狭まりました。ベンヌ氏はこれを「技術収束」と呼び、コスト・オブ・オーナーシップ(CoO)の低減につながると言います。

数々の講演の中から、共通するテーマが浮かび上がりました。個々の技術ブロックは、2.5次元用にも3次元用にも整っているのですが、現状でこうした技術を利用できるのは、高額の値札をつけられる製品に限られているのです。それ以外の製品は、プロセスが最適化されてCoOが低減するのを待つしかありません。Amkorのロン・ヒューメラー氏は、インターポーザー基板の2014年における価格が$2900/ウェーハであることを図で示し、これを$750/ウェーハまで下げなければ、ハイエンド市場以外への導入は正当化できないと述べました。この水準まで価格が下がるのには、2016年頃までかかるでしょう。

しかし、FPGAのようなハイエンド製品では、2.5次元技術が、SoCによるスケーリングよりも低いコストと高い歩留りのソリューションを提供しています。Xilinxのスレシュ・ラマリンガム氏は、2.5次元インターポーザーが、コネクティビティ、ロジック容量、機能のクロスオーバーを改善すると説明しました。インターポーザーが提供するレイテンシが小さな高密度配線プラットフォームは、ワット当たり帯域幅では、従来の構造に比べて効率が100倍になります。複数のダイを使うことで、ムーアの法則では実現できない容量が得られ、歩留についても単一のダイよりも改善が急速です。そして最後に、複数のダイでは、多機能の混載(メモリ、アナログ、プロセッサ)が可能になります。ラマリンガム氏は「それでも一見SoCのようですが、当社ではクロスオーバーSoCというような方法で製造しています」と述べました。

European 3D TSV Summit Image 2ディスカッションのもうひとつの焦点となったのが、ビジネスモデルです。特に、「TSVは量産対応の準備が整ったか」と題したパネルディスカッションで大きく取り上げられました。これは、Yole Developpmentのリヨネル・カディ氏とSEMI Europeのヤン・ギユー氏が司会し、ASEのブラッド・ファクター、Amkorのロン・ヒューメラー氏、STATS ChipPACのハインツ-ピーター・ヴィルツ氏が登壇しました。

未解決の技術課題に関する質問に対して、ヒューメラー氏は再度、個々の技術ブロックは、(純粋な3次元では、熱対策がまだ課題となっていますが)整っていると述べました。誰にとっても天敵となっている仮接合/剥離は、長い間ボトルネックと考えられてきましたが、これでさえ、Amkorが歩留り100%を達成したと報じられています。しかし、ウェーハサポートシステムのコストが障害となっていることに変わりはありません。ヴィルツ氏は熱問題を重視しており、ハイパワーのプロセッサをメモリと隣接させると生じる接合部の高温が、大きな問題となる恐れがあり、解決する必要があると述べました。

ビジネスモデルについての質問には、信頼性と「オーナーシップ」に関する懸念はあるものの、共同モデルが望ましいという意見の一致がありました。(もちろん、これはOSATの視点に限られたものです。Globalfoundriesのジョン・グリーンウッド氏が専業ファウンドリの視点を述べる予定でしたが、悪天候のため到着が遅れてしまったのです。しかし、グリーンウッド氏は翌日の基調講演の中でこれに同意しました。)ブラッド・ファクター氏は、メモリとプロセッサを一緒に組み立てると複雑化すると説明しました。最も論理的なソリューションは、モジュールのオナーが勘定を払うという「委託モデル」です。ヴィルツ氏も同じ考えで、OEMがリーダーシップをとるべきだと発言しました。「メモリを適正プライスで入手できるのは彼らです。これによりOEMは、モバイル大量市場に参入し、プライスダウンを進めることが可能です」と言及しました。ファクター氏は、ASEの同僚であるリッチ・ライスの言葉を引用して、1社ですべてが揃うプレイヤとしてSamsungをあげました。同社はメモリ、プロセッサの両方を製造し、パッケージも行っているからです。「Samsungが始めれば、他社もすぐに(ビジネスモデルを)見つけ出すでしょう」とファクター氏は述べました。

このサミットの目的は、ヨーロッパにおける3次元TSVの活動を世界に示すことですから、話題は最後にヨーロッパのTSV市場における役割へと向けられました。ヨーロッパがこの技術の研究開発のハブとなっており、半導体装置の製造でも世界を強力にリードしているのは明らかですが、NokiaあるいはEricssonが闘いの先頭に立ってくれない場合、製造側に少々心配だと、ヒューメラー氏は述べました。ヴィルツ氏は、STMicroelectronics、Leti、imec、フラウンホーファーが参画する強力なコンソーシアム活動と、3次元TSVの車載、産業、および医療市場における可能性を指摘しました。

ジュネーブへと戻る車の中で、私はSEMI Europeプレジデントのハインツ・クンダートに彼の見解を尋ねてみました。クンダード氏はパネルディスカッションでの決めつけには異を唱え、ヨーロッパにおけるTSVをサポートする製造機会は、ドレスデンのGlobalFounries、STMicroelectronics、Infineonなど数多く存在すると言います。「アプリケーションには関係なく、あらゆるデバイスメーカーがTSVを検討している」と彼は説明しました。これには、車載半導体、MEMSセンサー、パワー半導体など、3次元以外のTSVアプリケーションも含まれます。また、ロシアでも半導体デバイス製造への関心が高まっており、ロシア人は「国外」からチップを入手するわずらわしさを嫌っていると説明しました。

クンダート氏はまた、ヨーロッパにおける米国同様に拡大しているメガトレンドとして、製造を域内に取り戻す動きについて話しました。彼が欧州員会に対して、ヨーロッパにおけるビジネスコストを緩和し競争力を高めるのを望んでいるのは、このためです。海外生産は、技術移転や海外へ駐在員を派遣するためのペーパーワークを考えると、もはやコスト効率がよいとは言えなくたったと言います。「中国の技術者は、ドイツにいる技術者より高くつく」とクンダード氏は言い、賃金の上昇率に比べて生産性は低いと続けました。「我々がアジアに行くのは、そこが大市場だからであって、労働力が安いためではありません。」

こうしたすべてをひっくるめて、第1回目の3D TSV Summitは素晴らしいものとなりました。本稿では、私が取材した情報をほとんど掘り下げていません。それどころか、装置・材料サプライヤの講演には触れてもいません。各サプライヤはプロセスの最適化によるコスト低減について多くを語りました。これについては、次の記事をお待ちください。まずは、来年の1月21日~22日に開催される第2回の日程をお忘れなく。ぜひレポートの続きを3D InCitesでお読みください。

本稿は、3D InCitesにフランソワーズ・トラップ氏が執筆した記事を翻訳転載したものです。
関連記事(英文): 3D TSV: Focus on Cost of Ownership