SEMI通信 2013年1月号 記事1

財布のひもが引き締まる

2013年の前工程製造装置への設備投資はゼロ成長へ縮小

SEMI市場調査統計部門 クリスチャン・ディーゼルドルフ

半導体前工程ファブの設備投資、生産能力、プロセスルールの変化を予測するためには、アナリストは半導体産業を調べるだけでなく、GDP、政治的イベント、原油価格、失業率、消費者信頼感といった経済要因も考慮する必要があります。2012年11月末に発行されたSEMI World Fab Forecastの最新レポートは、2013年の予測について前回レポートと大きく異なるものとなりました。中国の景気減速、中東地域における紛争、米国における財政の崖問題や債務上限問題、公式に認められた欧州不況の2番底などのマクロ要因によって、大型設備投資が見込まれていた半導体大手が計画を見直したのです。韓国の大統領選挙の結果やAppleとの特許訴訟も、Samsungの2013年の設備投資判断に影響を及ぼした可能性があります。

不確実の年

現在の厳しい不透明な状況にも係らず、タブレットやスマートフォンに代表されるモバイル機器向けの需要は拡大しており、2013年の半導体市場予測は改善しています。さまざまな予測が4~16%の範囲を示し、平均すると7%の市場成長が来年見込まれます。

一般的に、半導体の売上と設備投資は歩調が一致することがこれまで観測されていました。しかし、2013年は様子が異なるでしょう。半導体の売上は2013年に上昇しますが、装置売上に対する各社の見通しは、1桁成長からマイナス2桁成長の範囲となっています。

前工程製造装置に最も多額の支出をするのは、TSMC、Samsung、Intelですが、TSMCを除く2社は2013年の設備投資計画を公式に発表していません(訳注: Intelは1月17日に130億ドル+/-5億ドルの投資計画を発表)。World Fab Forecastは、ボトムアップのデータ積み上げ式手法をとっているため、現時点で公開されている情報や計画に基づいて、装置や建設への投資額、また生産能力やプロセスルールの動向を、四半期毎に予測することができるのです。

2013年の前工程装置への支出額はゼロ成長

昨年8月のWorld Fab Forecastレポートでは、2013年の前工程装置への支出額が17%増加すると予測しましたが、11月の予測はゼロ成長まで下方修正されました。金額は324億ドルで、これにはディスクリート、LEDの製造装置も含まれ、また中古装置、内製装置も含まれます。2013年に考えられる装置支出額のシナリオは、-5%から+3%の範囲となりますが、主な変動要因はTSMC、Intel、Samsungの保留中の投資計画です。装置の設置が予想される工場数は、2012年の212から2013年には182へ減少しています。さらに、前工程製造装置への支出額は2012年後半に大幅な落ち込みを見せましたが、季節変動と短期的な不確実性から、2013年第1四半期はさらに落ち込むことが予想されます(図1)。

図1

Fab Equipment Spending by Region

装置への支出額を製品タイプ別に調べると、2013年に減少するのはシステムLSIです。フラッシュは2012年後半に40%以上もの急激な減少をしましたが、2013年後半には立ち上がることが予測されます。ファウンドリも、TSMC、Samsung、Globalfoundriesがけん引役となって、2013年は支出が増加するでしょう。

2013年の建設投資は増加

2012年はファブ建設投資額が-15%の減速をしましたが、2013年は3.7%増加し、前年の56億ドルから58億ドルになると、World Fab Forecastレポートでは予測しています。レポートに登録された建設計画数は、2012年の51から34へと減少しています。これに加えて、10の新しい建設計画があり、その実現性はさまざまですが、2013年に着工する可能性があります。2013年の建設投資額をけん引するのは、ファウンドリとフラッシュ関係の工場です。

生産能力の拡大は2012年も2013年も低迷

多くのデバイスメーカーが、平均販売価格の低迷と高い在庫水準を理由に、生産能力拡大の投資に消極的です。これはフラッシュ分野で顕著であり、Sandiskは2012年はじめから、Samsungと東芝は2012年第3四半期から、設備投資を控えています。図2はWorld Fab Forecastの生産能力データを示していますが、2012年と2013年の増加率が、2010年と2011年の増加率に比べて急激に下がっているのがわかります。

図2

Worldwide Installed Capacity

製品タイプ別に調べると、システムLSIは昨年ほど旺盛ではないでしょう(2012年の20%増から2013年は13%増に下降)。フラッシュの生産能力の拡大は2012年後半に減速し、年間で2%増と停滞しました。しかし、World Fab Forecastのデータは、2013年の中頃までにはフラッシュ分野の投資が活発化し、年間6%の増加、300mmウェーハ換算で月産7万枚の生産能力が加わることを示しています。また、生産能力の微細化が急速に進むことも示されており、28nmノードだけでなく、24~18nmノードも投資が進み、17~13nmノードの生産能力も2013年に加わるでしょう。

2013年が上振れする可能性

世界経済とGDPが上向き、半導体の売上が1桁台後半の成長を実現すると、前工程ファブの装置への支出は、半導体の売上と再び歩調を合わせるようになるかもしれません。その場合は2013年の成長はさらに高まるでしょう。いくつかのシナリオを検討した結果、2013年の前工程ファブによる装置支出額は、-5%~+3%の範囲となるとが予測されます。

世界に広がるSEMIの市場調査統計チーム

2012年8月末に前回ファブデータベースレポートを発行して以来、世界各地のSEMIのアナリストは、Opt/LEDファブを含む200以上のファブについて、307回ものデータ更新をしています。2012年11月に発行された最新のWorld Fab Forecastレポートには、300のOpt/LEDファブを含む1,150以上のファブが登録されており、その内の78のファブがこれからの生産開始を予定しているものです。

SEMI World Fab Forecastは、ボトムアップのアプローチをとり、ハイレベルのレポート要約とグラフ、そして、各ファブの設備投資、生産能力、テクノロジー、製品の詳細分析を提供します。さらに、18か月先までの四半期毎の予測も提供します。レポートが提供するこうしたデータは、半導体製造の2012~2013年を見通し、また建屋や装置の設備投資を掌握するためにも有益です。詳細については、次のWebページをご覧ください:

尚、SEMIの半導体製造装置世界統計(WWSEMS)は、装置メーカーから報告される新品の装置に関するデータを集計したものです。ファブが購入する中古や内製を含むあらゆる装置を対象とするWorld Fab Forecastとは、数値が異なりますのでご注意ください。

(初出 SEMI Global Update 2013年1月号)