SEMI通信 2012年11月号 記事1

欧州コンソーシアムとASML等サプライヤが450mm移行計画を検討

ドレスデンで10月に開催されたSEMICON Europaにおいて、ヨーロッパ政府代表者、コンソーシアム、そしてサプライヤが、予想される最先端ウェーハ製造の450mm移行に対する支援と参画について、計画を検討しました。G450C、imec、フラウンホーファー集積システム・デバイス技術研究所(IISB)は、おそらくは450mm計画の枠組みの大きな変化のきっかけとなるであろう、450mm開発に関するヨーロッパの参画の拡大と、新しい研究イニシアチブへのメカニズムを議論しました。さらに、TSMC、Intel、Samsungがこの夏にASMLに投資を決めた後では最初だと思われますが、ASMLから450mm EUVプラットホームのロードマップについて、包括的な講演がありました。

European 450mm Consortia先ごろニューヨーク州立大学アルバニー校CSNE(ナノスケール科学工学カレッジ)の上級副学長に就任したMichael Liehr氏は、G300Cのパイロットライン、装置ロードマップ、ウェーハ開発状況、ウェーハ供給状況予定について最新情報を提供しました。(尚、元IBMのPaul Farrar, Jr.氏は、G450Cジェネラルマネージャ、CSNE製造イノベーション担当副学長に就任)。SEMICON Europaで新たに発表されたのが、G450Cが世界各地域のコンソーシアムや政府機関との国際協力を歓迎することです。共同研究開発の混み合った舞台に新たに登場したG450Cの他コンソーシアムとの協力関係については、デバイスメーカー、サプライヤその他の主要関係者が疑問に感じているところです。450mmウェーハ用装置の事前検定というG450Cの役割は、彼らを今後の業界での協力かつ中心的な立場に押し上げることになるでしょう。業界では企業統合が進み、世界全体の研究開発費の集中と効率化が求められるなか、世界の共同研究の役割、コア・コンピテンシー、適切な配分について、大きく転換しつつあります。

G450Cの優先事項は特定の計画の成果であることに変化はありませんが、Liehr氏は講演の中で、グローバル産業の他のプレイヤーからの貢献についても評価し尊重する必要があると述べました。氏によると、G450Cのプロジェクトの選択、検証、評価は、技術面とビジネス面での移行における価値に重きをおいた基準に則っておこなわれ、「G300Cは、公的資金は納税者の地域で利用されなければならないことを理解しています」。

Liehr氏の発言は、ヨーロッパの半導体関連コンソーシアムにとって、歓迎されるニュースです。そのひとつであるフラウンホーファー研究機構には60の研究所があり、1,800人を雇用していますが、その年間の研究費16億5千万ユーロ(2010年)のうち14億ユーロは、委託研究によって賄われています。フラウンホーファーIISBの部門ヘッド Lothan Pfitzner氏は、統括する組織で実行中および計画中の450mm製造プロセス開発について紹介をしました。Pfitzner氏はフラウンホーファーが提供する450mm研究開発支援の基盤となるのは、装置評価、製造科学(プロセス制御、自動化、ウェーハハンドリング等)、Flying Wafer Concept、環境面、モデリングおよびテスティングにおける、その強力な専門知識と経験であると述べました。

コストを削減するため、フラウンホーファーは450mmウェーハの再生をしようとしています。さらにフラウンホーファーは、計測、欠陥検査・評価に加えて、BEOLとTSVの分野でもプロセスの最適化での貢献を望んでいます。こうした活動はフラウンホーファーIISBエアランゲン研究所で実施される予定です。

フラウンホーファーは、計画中のものも含め、450mm製造に関連した公的資金による研究において、重要な役割を果たします。ENIAC EEMI450では、ウェーハ材料、計測装置、プロセス装置、ハンドリングシステムの開発と評価が進められています。CATRENE NGC450は、クラスタプラットホームの性能分析と最適化を提供しています。欧州委員会のFramework 7の下で計画されているプロジェクトには、SEA450での洗浄および熱処理装置および対応する計測装置の評価があります。もうひとつ計画中なのが、ENIAC 450EDLプロジェクトで、450mm計測装置用のバーチャル計測およびメンテナンス予測モデルが対象です。

Imec 450mm R&D Pilot Lineベルギーのルーヴェンに本部があるimecは、600名の産業界および客員研究者を含めると2千人近い研究者が在籍していますが、ここでも450mmのパイロットラインが計画されており、2013年に着工し2015年の竣工を予定しています。計画の第一段階の資金は、フランダース政府、欧州連合ENIAC FP7、および産業界から拠出されると予想されます。imecは、アルファ機、ベータ機を「半導体産業に関連した技術交流」の中での初期学習のために設置することで、450mm装置開発の加速に重要な貢献を果たそうとしています。最先端のプロセスとリソグラフィの開発サポートの実績が、この組織を450mm製造プロジェクトの中で強力な役割を担う主な要因となるはずです。

その他にもヨーロッパの共同研究には、イスラエルの「Metro450」コンソーシアムがあります。これに参画するのは、AMIL(Applied Materialsの計測部門)、Nova、Jordan Valley、Nanomotion、そしてIntelの5社です。大学からのサポートは4研究機関から、また公的資金はイスラエル科学長官局から提供されています。イスラエルにおける450mm製造への関心は、同国がウェーハ計測装置で、世界シェアの30%以上を占め、13億ドルの売り上げがあることから生じています。Metro450会長のMenachim Shoval氏は、現在の300mm計測技術を450mmに移行するのは簡単なことではなく、現在のイスラエルの地位も安泰ではないと述べました。

フォーラムにおいて関心を発表した地域は、ほかにも、ドイツのザクセン州などがあります。同地域の半導体クラスタを代表する組織Silicon Saxonyは「2018年までに450mmの革新的製造技術におけるトレンドセッターとして認められ、ドレスデン地域に最初の450mm製造工場設置の計画も検討する」とのビジョンを示しました。

450mmに対する関心の大きさと多様性は印象深いものですが、ヨーロッパにおけるパイロットラインと公的資金の現実的な見通しははっきりとしません。G450Cは現時点では、1プロセスあたり「1または2機種、ことによると3機種」を検定する計画であるため、将来の450mm製造へ参画できるサプライヤの数は制限せれることになります。ヨーロッパのG450Cの検定プロセスを補完しようとする活動は、450mm製造への門戸を、特に公的資金の利用を望むヨーロッパ企業に対して、広げることにつながるでしょう。しかし、欧州連合および加盟国の450mm研究開発に対する資金拠出は、確実なものとはまだなっていません。現在のヨーロッパの債務危機と財政緊縮によって、半導体研究開発に対する資金拠出は限定的になるかもしれません。さらに、研究の優先順位についてはヨーロッパ半導体業界で大きな議論があります。ヨーロッパの大手デバイスメーカーは、「More than Moore」プロジェクトへ研究開発の重点を置こうとしているのです。

450mmの量産装置の検定プロセスをヨーロッパのコンソーシアムに開放することは、450mmデバイスメーカーにとっても、装置メーカーにとっても、そして450mmウェーハに移行する業界全体にとっても利益となるように思われます。検定される装置の数と公的研究開発資金源が増えるばかりでなく、ヨーロッパのコンソーシアムによって、3次元トランジスタや3D ICなどの重要なプロセス開発と450mm製造が結びつけられることが期待されるのです。EEMI450のプロジェクトの多くが、計測とマテリアルハンドリングに対する独自のアプローチをとっていることも、450mm開発に重要な「革新的」要素を付け加えることになります。450mm移行の現段階では、しかし、G450Cが装置の検定という主要な役割を、競合ともいえる組織に開放する公算がどの程度であるかは不明です。Lieher氏は「デバイスメーカーやサプライヤを襲う統合の波が、研究開発機関にも押し寄せているのです。専門化を推し進め、オーバーラップをできるだけ減らすことが必要になるでしょう。」

ASMLが450mm開発を開始

もうひとつの特筆すべきSEMICON Europa 450mmセッションでの議論が、ASMLによる450mm量産をサポートする大口径ウェーハ露光システムの開発計画です。ASMLはこの夏、Intel、TSMC、Samsungから、450mm用EUVシステムの開発を加速するための数十億ドルに上る出資交渉に成功を収めました。450mmのEUV露光システムが開発されるまでの間は、450mmパイロットラインはナノインプリント技術を使って開発されますが、観測筋の大方はこれを研究開発の大きな制限だとみています。

同社の450mm計画についての公の場での議論はおそらく最初のものだと思いますが、ASMLのFrank Bornebroek氏は450mm EUVシステムの製品戦略および技術課題を論じました。Bornebroek氏は、ASMLが450mm製造に対応するべく、4種類の装置を2種類のプラットホーム上でどのように開発しているかを説明しました。これによると、2016~2017年に予定される最初のバージョンでは毎時30枚のウェーハを処理し、2018~2019年にはEUVで毎時60枚を処理できるようになります。液浸システムに関しては、毎時50枚のシステムを2016年、量産システムを2018年に目指しています。

ASMLはG450Cの量産スケジュールに真剣に取り組んでいますが、そのためには大きな技術障壁を乗り越えなければなりません。「単に拡大すればよいわけではありません。重ね合わせ精度を大幅に向上する必要があります。重ね合わせ精度がパターニングを推し進めるのです」とBornebroek氏は言います。「ウェーハが大口径化すると、それだけ生産性を向上させることが難しくなります。私たちは質量を3倍にすると同時に精度を2倍にすることが求められているのです。」

ASMLは積極果敢な供給目標を達成するために、新たに200名の雇用を進めています。450mmシステムは「ベースフレームをいちから再設計」して、チャック、ミラーブロック、ステージ、テーブル、ハンドラーを大幅に変更し、センサーと計測システムに適応させる必要があります。Bornebroek氏は「450mmウェーハでは、スキャニングシステムのコストメリットは制限的なものになるでしょう」と述べました。

(初出 SEMI Global Update 2012年11月号)

 


 

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