SEMI通信 2012年5月号 記事5

技術革新を脅かす知的所有権侵害

SEMI Americas パブリックポリシー マギー・ハーシー

世界知的所有権機関(WIPO)はIPの価値について認知度を高めるため、4月26日を世界知的所有権の日と定めています。この日に、SEMIとTokyo Electron America、そしてWIPOはWEBキャストを開催し、IP保護のために世界中の産業界で取り組まれている問題点や活動について議論をしました。今からでもこのWEBキャストはお聞きいただけますので、こちらをクリックしてください。

企業にとってIPは、新たな技術や手法を開発し、また競争の激しい産業界で前進を続ける力の基盤となるものです。あまり知られてはいないかもしれませんが、私たちの産業が他産業と異なる点に、各社が売上の大きな部分を研究開発に再投資しているということがあります。

平均すると、半導体装置・材料メーカーは、毎年、売り上げの10~15%を研究開発に再投資しています。昨年の各社の売り上げの総額は910億円でしたので、研究開発費の総額は2011年だけでも90億ドル~140ドルの範囲になったと考えられます。この投資の回収には大変なプレッシャーがかかります。その一方で、知的財産権の管理自体もコストがかかり、人でもかかります。グローバルな環境ではなおさらです。こうした問題は、サプライチェーン全体に当てはまることであり、SEMI会員のみならず、その顧客も例外ではありません。

IP問題の程度

Degree of IP Challanges SEMIは最近、IP問題について会員にアンケート調査をしました。これは2006年と2008年に実施した調査と同様のもので、今回も以前の結果の多くを支持する結果となりました。アンケートは世界のSEMI会員から抜粋して送られ、半分近くの回答が得られました。

回答者は以前の調査時と同様に、IPの侵害とそれに関連する技術革新の困難について、多大なる懸念を抱いています。IP問題が「重大ではない」と回答したのは、わずか3%にすぎず、残りは「ある程度重大」から「きわめて重大」と回答しています。

60%以上の回答者は、IP問題によって会社に悪影響が生じていると報告しました。そのおよそ半数は、問題のいくつかに顧客が関与していることを示しています。このことによって問題が特殊化している可能性があり、また工業会としてのSEMIが、世界半導体会議IPタスクフォース(作業部会)との対話を通じて有効な役割を果たせる領域となります。

アンケートでは法的手段によるIP保護の経験を各社に質問していますが、回答者の4分の3が何らかの法的手段をとったことがあると述べています。その内、半数近くがその結果に満足をしました。満足が得られなかった理由として共通にみられるものには、侵害の証明が困難であること、費用と時間がかかるという訴訟の性質、適切な罰則の欠如があげられます。

侵害の種類についての質問への回答では、特許権侵害と模造品が繰り返し言及されました。

知的所有権侵害の形態
IP問題の形態
また、侵害を受けた地域と、その地域での状況が改善しているか、悪化しているか、変化がないかもアンケートで質問しました。この質問の回答も、他の質問と同様に以前の調査結果と同じ傾向となりました。

地域別の知的所有権への懸念

地域別の知的所有権への懸念

知的所有権侵害の地域別動向

知的所有権侵害の地域別動向

このようにIP問題は継続しており、SEMIはIP保護の推進に向けた活動を続けています。2006年にSEMIの役員会はIPポジションステートメントを承認しましたが、これに加えて、すべてのSEMI会員企業は、会員資格の一部として、IP原則ステートメントを公約することが求められています。

SEMIのIP活動に興味がある方は、前述のWEBキャストをぜひお聞きください。日本でのお問い合わせは、SEMIジャパン Standards & EHS部 (jstandards@semi.org)までご連絡ください。

(初出 SEMI Global Update 2012年5月号)