SEMI通信 2012年4月号 記事2
ロシア半導体産業は65nmプロセスを目指す
SEMI Europe プレジデント ハインツ・クンダート
3月4日の大統領選挙の後でロシアを訪問し、当地で半導体やその関連技術での投資環境があと数年で整いつつあるとことを、これまで以上に強く感じています。政府や学会、産業界、投資業界の関係者との交流を通じ、ロシアの産業界全体には、もっと多くの資金が集まってよいと考えるに至りました。さらに、ロシアのWTO加盟により、輸入関税は2012年末までにほぼゼロになります。貿易障壁や時間のかかる官僚制度の排除に対する切迫感も強く感じられます。
Sitronics(Mikron)とAngstremが、ロシア半導体産業の旗艦企業であることに変化はありません。両社とも「More than Moore」アプリケーションへの投資を強めています。Mikronは最近200mmウェーハ90nmプロセスの新工場を完成しました。同社は300mm/65nm工場の建設計画も発表しています。この計画の実現性はかなりありますが、結果は政府の資金提供しだいとなるでしょう。Angstremはこれまで何度となく延期されてきたAngsrem-T計画を、ついに完成させる運びです。資金は確保されたと思われます。新しいラインからの出荷開始は、2014年の予定です。
Santa Claraに本社をおくCrocus Inc.とロシアの政府系投資ファンドRusnanoによる合弁企業Crocus Nano Electronics(CNE)は、3億米ドルにものぼる投資によって舞台に躍り出ました。CNEの計画では、MRAM市場に参入し、プロセスを当初の90nmから、65nm、そして最終的には45nmへと進めようとしています。同社はストレージ、モバイル通信、ネットワーキング、クラウドコンピューティングといった重要市場に取り組む予定です。汎用メモリアプリケーション以外にも、CrocusのTAS MRAMテクノロジは、スマートカード、ネットワーク処理、生体認証、近距離無線通信(NFC)、セキュアメモリなどの特定用途向けにも製品を提供します。CNEの投資は今後2年間にわたり、モスクワの東南に位置する「モスクビッチ」ハイテク工業団地に新しく工業を建設する計画です。
LED照明に対する関心がロシア全体で高まっています。現在のロシアのビジネスモデルは、LEDデバイスの製造よりも、LED照明システム市場を志向しています。Optogan がLED照明システムの旗艦企業として、大型投資をおこなっています。人工サファイアの製造技術はロシア企業によって発明され特許が取得されています。世界のさまざまな地域でLED製造に向けた材料市場の発展がみられますが、ロシアにおいても、この成長市場において国際競争力のある企業が8社あると考えられます。
太陽光発電では、ロシアは固定価格買取制度の法制化、送電網の整備、そしてセルやモジュールの生産においても遅れをとっています。ロシアは西側諸国のように高騰するエネルギー課価格に苦しんでいるわけではありませんが、再生可能エネルギー市場の発展に対する関心はあります。最も有望なビジネスの可能性は、ロシアにおけるポリシリコンの生産です。Rusnanoが資金提供するNitolは、積極的な生産計画を立てており、価格競争力もあるようです。また、ロシアは固定価格買取制度への取り組みも進めていますが、その詳細はまだ不明です。
「ロシア版シリコンバレー」と呼ばれるスコルコボの形が整いつつあるようです。スコルコボのITクラスタ代表によると、新興企業170社がスコルコボサイエンスパークでの研究に応募しており、そのうち40社がすでに補助金支給の認定を受けているとのことです。資格をえた企業は2013年にスコルコボサイエンスシティに移転することになります。
総括すると、ロシアには乗り越えるべき課題が数多くあるものの、マイクロエレクトロニクス関連産業を含む近代化計画を進めることになります。業界のムードは積極的で、西側企業にとっての投資およびビジネスの機会が存在します ― もしロシアのパートナーと共に双方の成功に向かって力を合わせる気持ちがあれば。
ロシアの半導体産業に関心があれば、5月14日~16日にモスクワで開催されるSEMICON Russia(www.semiconrussia.org)に出展あるいは来場されることをお勧めします。本稿で触れた企業や機関のほとんどが参加し、今後の投資計画を説明します。
SEMIのロシアにおける活動の詳細については、SEMI Moscowのリージョナルディレクタ Alla Famitskayaまでご連絡ください(afamitskaya@semi.org)。
(初出 SEMICON Russia Webサイト 2012年3月)
