SEMI通信 2012年3月号 記事1
2012年の半導体装置市場はフラットまで改善、2013年は史上最高額へ
SEMI市場調査統計部門 クリスチャン・ディーゼルドルフ
今年1月、SEMIは半導体前工程ファブの設備投資と生産能力について、2012年から2013年の動向を分析しました(SEMI通信1月号記事「2012年以降の前工程ファブ投資および生産能力を分析する」)。その時点では、ファブ装置の投資額を前年比11%減と予測しましたが、大手メーカーの設備投資発表によっては4%減まで上振れする可能性が見られました。1月の分析では、Samsungの投資額は現在よりも多く推定され、TSMCは少なく推定されていました。Hynixの場合は、設備投資が増えるか減るかも不明でしたが、実際には同社は2012年の投資額を約23%増となる37.5億ドルまで引き上げました。UMCの設備投資も16億ドルから20億ドルへ増額されました。一番驚かされたのがインテルの予想を上回る投資拡大で、過去最高額の約125億ドルを発表しています。
SEMIの最新データからの予測では、2012年に20億ドルを超える水準の設備投資を維持する企業は8社となります(2011年は7社でした)。この中には、最大手のSamsungとIntelも含まれます。こうした大手企業の猛進によって、2012年の装置への投資額はマイナス予測からフラットにまで改善されました(下表参照)。マクロ経済が改善し、他社も設備投資計画を調整するような場合は、装置への投資額はプラス成長の領域まで入り込む可能性もあります。

Source: SEMI World Fab Forecast February 28, 2012 edition
この投資動向は、ファウンドリ市場、システムLSI市場、MPU市場、NAND市場における各社のシェア争いと共に、2013年も継続することが予測されます。テクノロジーアップグレードや先端技術への投資、ファブ生産能力拡大へ投資が続くでしょう。2月28日に発行されたSEMIのWorld Fab Forecastの最新レポートでは、192のファブで2012年に装置への投資を予定しており、内8つのファブでは10億ドルを上回ることが示されています。2013年を見ると、装置を購入するファブは162しかありませんが、10億ドル以上を投資するファブの数はほぼ倍増します。
ファブごとの詳細については、SEMIの各種ファブデータベースレポートの最新版をご参照ください。
建設投資はピークが過ぎ減少へ
ファブ建設の点では、2010は良い年でした。2011年はさらに良い年となり、建設投資は前年比24%増の64億ドルに達しました。2012年を見ると、建設投資額は28%減の45億ドルになり、2013年はさらに38%減の28億ドルまで縮小するでしょう。建設投資の対象となるファブ数も、2011年の79から、2012年は39、2013年は21と減少するでしょう。
最近の新規ファブ計画のほとんどはLEDファブですが、この分野でも建設投資が急激に減少する見込みです。その主たる原因は中国の政府補助金制度の変更にあります。2011年では建設計画の6割がLEDファブでしたが、2012年では半分以下まで比率が下がっています。2013年にいたっては、LEDファブ建設計画は3つしかありません。
SEMIのWorld Fab Forecastレポートには、2012年のファブ新規建設計画として、LEDファブが3、目盛ファブが3、合計6計画が記載されています。2013年については8計画です。建設投資の分野別内訳で最も多いのがMPUで、メモリとファウンドリがこれに続きます。2013年にはメモリの建設投資額が上昇する一方、ファウンドリの建設投資は縮小します。
生産能力全体の増加率は減速傾向だが、例外の分野もある
世界同時不況の前、2003年~2007年にかけては、世界全体の半導体生産能力は毎年10~23%の範囲で成長していました。不況から脱した2010年以降の年間の生産能力成長率は、年間5~10%まで減速し、今後も当面はこのペースが続く見込みです。
2012年2月のアナリスト説明会で、SanDiskはフラッシュメモリの需要が2015年までに現在の7.5倍の約1500億GBに増加すると述べました。SEMIのファブデータベースでは、2010年以降、こうした需要予測に対応したNAND生産ファブの装置投資額の急増を示しており、フラッシュ分野の生産能力は高い伸びにつながっています。

Source: SEMI World Fab Forecast February 2012
2010年から2013年の期間、DRAMの生産能力は横ばいが予測されますが、フラッシュの生産能力は急成長を続けます。新規のファブ建設は少ないのですが、既存のファブの中には月産300mmウェーハ20万枚以上の生産能力を持つ巨大なメガファブがあり、そのひとつであるFlash AllianceのFab 5は、第1期のクリーンルームの生産能力拡充を続けており、SamsungはLine 16の量産を開始し、IM Flashはシンガポールのラインの生産能力を引き上げ、またHynixも2012年後半にM12の量産開始をすることが予測されます。
専業ファウンドリ分野も、生産能力の拡大が今後見込まれています。その中心となるのが、TSMC、Globalfoundries、UMCです。TSMCは2012年のFab 12第5期工場とFab1第1期工場の量産を同時に開始します。さらにTSMCは、Fab 15第2期工場と同第3期工場の建設をそれぞれ2011年の中旬と年末に開始しています。一方でGlobalfoundriesはドレスデンのFab 1に新たにモジュール3を増設し、またニューヨーク州マルタのFab 8へも投資を継続して、生産能力の追加を図っています。UMCはFab 12Aの第3期、第4期300mm工場へ投資中です。SamsungはシステムLSIファブへの投資を劇的に拡大しており、2009年~2013年の期間にシステムLSIの生産能力を90%増加し、月産98万枚以上とする計画です。(SEMIのファブデータベース各種レポートでは、プロセスルール、製品タイプ、地域、企業あるいはファブごとにデータを分析することが可能です。)
IntelとSamsungの猛進のおかげで、今年のはじまりはファブ装置の投資は思ったよりも良いように見えます。来年は他社もこの猛進に加わり、2013年が記録的な年となることを予測しています。多くのメーカーが、既存のファブのテクノロジーアップデートに投資を継続します。ただ気がかりなのは、建設投資が、特に新規ファブ建設について減少していることで、2013年から先の生産能力が懸念されます。全体としては、業界は2009年の不況の後、生産能力をより妥当な水準にコントロールしようと努力してきました。現在は、需要の増加により、フラッシュ、ファウンドリ、システムLSI等の分野で、生産能力の拡大に転じているのです。
世界に広がるSEMIの市場交差統計チーム
2011年11月に前回ファブデータベースレポートを発行して以来、世界各地のSEMIのアナリストは、58のLEDファブを含む190以上のファブについて、220回以上のデータ更新をしています。2012年2月28日に発行された最新のWorld Fab Forecastレポートには、300のオプト/LEDファブを含む1,153のファブが登録されており、その内の69のファブがこれからの生産開始を予定しているものです。
SEMI World Fab Forecastは、ボトムアップのアプローチをとり、ハイレベルのレポート要約とグラフ、そして、各ファブの設備投資、生産能力、テクノロジー、製品の詳細分析を提供します。さらに、18か月先までの四半期毎の予測も提供します。レポートが提供するこうしたデータは、半導体製造の2011~2013年を見通し、また建屋や装置の設備投資を掌握するためにも有益です。詳細については、次のWebページをご覧ください:
http://www.semi.org/MarketInfo/FabDatabase
http://www.youtube.com/user/SEMImktstats
尚、SEMIの半導体製造装置世界統計(WWSEMS)は、装置メーカーから報告される新品の装置に関するデータを集計したものです。ファブが購入する中古や内製を含むあらゆる装置を対象とするWorld Fab Forecastとは、数値が異なりますのでご注意ください。
(初出 SEMI Global Update 2012年3月号)
