SEMIスタンダード文書(案)「GEM-PV」について
SEMIスタンダード文書(案)「GEM-PV」について
―日本地区を中心に開発中の太陽電池製造工場における装置オペレーションのためのソフトウェアスタンダード案―
PV Equipment Interface Specification (PV-EIS) タスクフォース リーダー 坂本見恒
太陽光発電産業が世界の主要産業となるのに伴い、SEMIのステークホルダーの皆様からも同産業の健全な発展のために国際標準(スタンダード)を求める声が高まるのを受け、SEMIの標準化活動(スタンダード)では、欧州地区と北米地区に続いて、SEMIスタンダード日本地区におきましてもPV委員会が2009年5月に発足しました。(詳細は、バックナンバー「SEMIスタンダード PV(Photovoltaic)技術委員会-日本地区PV委員会の活動進捗-」をご参照ください。)
同委員会傘下では、「PV Equipment Interface Specification (PV-EIS) タスクフォース」が、昨年来、日本地区におけるデータ制御系の標準化文書開発のため、欧州関係者とも緊密に連携をとりながら活動中です。このタスクフォースが起案した、表題の「GEM -PV」の文書案が一定の段階を迎え、より広範な意見を集約するため、2010年2月に「インフォメーションバロット(Information Ballot)」*1が発行され、SEMIのWebに掲載されました。
*1:「ブルーバロット(Blue Ballot)」ともいう。インプット収集のためのアンケート的なバロットのこと。
GEM-PVとは、Generic Equipment Model for Thin Film Photovoltaic Manufacturingの略称です。300 mm の半導体製造では、GEM300 と呼ばれている複数のスタンダードのセットが規定され、これが業界での効率改善の役割を担ってきました。
PV製造のためには、GEM300の下層にあたるメッセージ定義とメッセージの伝達方法(SEMI E5, SEMI E30, SEMI E37)を再利用し、更にPVのための定義を追加したSEMI PV2が既に標準化されています。しかしながら、半導体製造で仕様のバリエーションを少なくする効果をもたらした高位の装置運用は、PVのためには未だ規定されていません。例えば、プロセス・ジョブ、コントロール・ジョブ(SEMI E40とSEMI E94)、キャリアの管理(SEMI E87)、基板の追跡(SEMI E90)のようなスタンダードです。
PV製造で半導体工場でのGEM300と同様な効率化をもたらすには、装置運用のスタンダードのセットが必要とされます。GEM-PVは、装置運用のコンセプトとそれに必要な機能を定義し、装置のインテグレーションにおける効率改善を提案します。
GEM-PVの提案では、プロセス、搬送、基板の追跡の機能をひとつの文書を中心にまとめ、システムに一貫した仕様を定義します。これによりGEM300で起きた問題、すなわち機能ごとに分割された文書が個々に仕様を定義したために一貫性が損なわれることが起きないように配慮しています。
一方で、PVの特質も考慮する必要があります。PVの製造では以下に列記されるような特質があると考えられました。
- 枚葉の扱いが必要である
- 半導体と比較して、プロセス・ステップが少なく、装置を繰り返して使うことも少ない
- 基板は切断せずにそのまま製品になる場合が多い
- 10年から20年間の保証と追跡が必要とされる
また、製造ラインでは以下の考慮も必要となります。
- 枚葉での搬送とバッチでの搬送の併用
- 枚葉での処理とバッチでの処理の併用
ロット管理を基本とするシステムで枚葉を管理することは簡単ではありません。これに対して枚葉管理のシステムでバッチを構成することは比較的容易です。上記のPV製造の特質を踏まえると、いわゆるロット(搬送またはプロセスする基板のグループ)に依存して基板を管理するのではなく、枚葉で基板を識別、追跡し管理することが必要になります。これらの要求からの結論として、GEM-PV(文書番号4848)は”Substrate Oriented Operation”を提案しています。
図1 GEM300とGEM-PVの対比
図2にGEM-PVの領域と階層を示します。スタンダードはUmbrella, Operation, Communication の3階層に分けて定義します。特にUmbrella階層では装置運用のコンセプトを規定します。ここで定義されたコンセプトに従ってOperation、Communicationが定義されます。
日本地区PV-EIS(PV Equipment Interface Specification)タスクフォースは、ヨーロッパのタスクフォースと協議しながら、2010年12月に開催予定のPV技術委員会においてSEMIスタンダードとしての発行可否の審議を求めるべく、文書の準備を進めています。
図2a GEM-PV スタンダードの領域と階層
図2b GEM-PV Umbrella スタンダードの内容
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この記事に関するお問合せ先:
SEMIジャパン スタンダード部 (奥田)
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